第34話 水棲生物を仲間にせよ
バジリスクへと進化したアオの性能を確認できた俺は、ファルドとアクベスの故郷である沼地へとまたやってきていた。ある魔物を仲間にするために来ているんだが…あ、来た!
「モヒィ!」
「ザァ—!」
黒い影が草むらから飛び出してくる。その影の正体は血吸いアリゲーターだ。来るべき海進出へと向けてこの沼地で水棲生物を仲間にしに来たのだ。あとは獰猛ヒルも仲間にしようと思う。ちなみに、アガスたちはここにはいない。彼らは今アムニの森にいるのだ。
「そういやチハイザメ生息区域の調査ってやってないんやろ?ほな、俺たちがレベル上げついでにやっとくわ」
「ガチで?」
やっぱり持つべきものは仲間だわ。アガス、サフン、ハリム、アリサ、そしてゼアトの5人がアニムの森の調査を俺の代わりにしてくれているのだ。ありがてぇ!!
あ、いつのまにか血吸いアリゲーターが倒れてた。仲間にしておこう。確か…血吸いアリゲーターは一見ちょっと大きいただのワニなんだけど舌がめちゃくちゃ長いとかなんとか。殺した獲物の血をその長い舌で吸う習性があるらしい。
「君の名前は今日から…そうだな。リゲルとかどうよ」
「ザァ」
よし。あとは獰猛ヒルかな。リゲルは水中で主に使う魔物になると思うけど獰猛ヒルは陸上でも使うことは多くなりそう。
「確か獰猛ヒルは敵のスタミナとかを奪うことができるとかなんとかかんとか…」
攻撃力や体力は弱スライムとほぼ同等だからアレだが、使いようによってはめちゃくちゃ使えそう。見た目は…まあ。うん。
あと稀に病気持ちの個体もいるらしい。だから、それ対策でミスリルの鎧を着てるオリオンと硬い殻で身を包むアクベスで木を薙ぎ倒しながらこの沼地を行進している。彼らなら、ヒルなんて普通に弾き返せるはず!
「?」
「お、どうした?」
何かが自分の体にぶつかってきたとアクベスが言う。多分、近くに獰猛ヒルがいるな。
普通に攻撃するともしかしたら殺してしまうかもしれないので…
「マタンゴの胞子ー!」
どこかで聞いたことのある効果音が頭の中で流れる。まあ、それはともかく。
「これを下の水の中にちょっと流しておけばあら不思議!獰猛ヒルがすやすや寝てしまった!」
ちなみにオオトカゲの毒を流すと自然にめちゃくちゃ悪いからやめた。てか流したらファルドとかかなりキレると思う。
とにかく、これで難なく獰猛ヒルも仲間にできた。
「スタミナ減らせるらしいし飛行生物を墜落させるのに使えないかな?」
クロツバサくらい大きいと無理だろうけどな。あと、墜落はさせれても回復してすぐ飛んじゃいそう。
使い方が今までの魔物たちと違ってかなりトリッキーだから難しいな。とりあえず仲間にした獰猛ヒルにはヤツメと名付けた。
「よし、ここにはもう用はない!次だ!」
スワンプサウルスも仲間にする予定だったんだけど完全に忘れて帰っちゃったよね。
「ツクツク!!」
「あー見覚えあるわ!キジクジャク記憶力いいね」
俺たちはかつてラグナロクからアカタキへと亡命した際に通った湖に来ていた。いや当初はここに来るつもりなかったんだけどキジクジャクが強そうな水棲生物がいたところを知ってるって言ってたから来たのだ。確か…
「ツク!」
そう、シーサーペントだ!
でも前から思ってたけど普通湖にシーサーペントっているもんなん??
近くにあった巨大な岩の前に着地したキジクジャクを杖の中に戻し、俺は今の水中戦力であるワニコンビを出す。
「ザァー!」
「ゴァ…」
すげぇ、ファラクだけガチで嫌そう。一応ヤツメも水棲生物ではあるけど真っ向勝負だと殉職するリスクが高いのでやめた。で、
「シーサーペントをこっちから探し出すのは面倒だしリスクがあるから向こうから来させるか」
サフンがいないから俺は水の中だとほとんど活動することができない。なので普通にやるとファラクとリゲルの2人だけでシーサーペント討伐をする必要がある。ファラクはかなり強いからそう易々と負けることはないと思うが…なにせシーサーペントの強さも未知数なのだ。流石にリスクが高すぎる。
「まあアオのテレパシー使ってもし危ない状態だとわかったら杖の中に引っ込めればいいとは思うけどさ」
とりあえず安定策を取ることにした。で、誘き寄せる餌なんだが……魔物の血とかでいいよな?現実のサメとかも血にめちゃくちゃ反応するはずだったよな?
「ッ!」
「ニャン」
メアリとブライガーがそこら辺にいたサーベルベアの死体を引き摺ってきた。まあ、これでいけるかな?
「アルタイルはサーベルベアの死体を掴んで湖に落としてくれ!マティスはそれのサポートたのむ!」
どこに落とすかは…アオさんが誘導してくれてる。
「ゴシャー」
「ヒョ」
アルタイルが湖にサーベルベアの死体を落とした。すぐに飛びかかってきたよ…キラーピラニアが。いやここにもキラーピラニア入るのかよ?しかもめっちゃいるし。
「サバル、キラーピラニアの処理頼むわ」
「ァ!」
キラーピラニア程度なら雷の範囲攻撃で余裕だろ。今度はベガが持ってきたドレイクの死体でも落とそうかな。
そう思ったときだった。
「ゴシャ!?」
「どうした!?」
何かが湖の底から上がってきてるようだ。どんどん大きな影が浮かび上がってくる。
「ファラク、リゲル任せた!危なくなったらファルドのところまで逃げてくるんだ!」
「ゴァー」 「ザァー!」
もし危なくなったらファルドのところまでシーサーペントを誘導するよう彼らには頼んである。ファルドなら例えシーサーペントのレベルが200でも勝てる。
「キラ?」
先ほどまで餌を貪り食っていたキラーピラニアたちが違和感に気づいたようだ。自分たちに対しての殺気を本能で感じ取ったのだろうか?
だが、もう遅い。
「ザファァァァ!!」
この湖の食物連鎖頂点である巨大な水龍が、海でもないこの湖に強烈な波を発生させ、キラーピラニアたちを丸呑みしたのだ。
その巨大な水龍こそが、シーサーペントである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます