第4話 血肉を喰らう獣、ブラッドタイガー

ブラッドタイガーは水を飲まない。水を嫌う。ブラッドタイガーは血を飲む。血を好む。ブラッドタイガーは狂った獣である。



獲物を見つけた。カメが1匹豚が1匹猿が1匹。どれも美味だろう。歓喜する。歓喜する。歓喜する。


この狂った獣こそが、ブラッドタイガーなのである。




俺は銅の剣にチュウトカゲの毒を塗った。ブラッドタイガーがこちらに向かってくる。


「かかってこいやああああああああ!!!」


棒と盾を持ち吠える。隣にはメアリがいる。俺とメアリの2人がかりでブラッドタイガーを抑える。ブラッドタイガーのレベルは26。高いが、勝てないほどではない。


ブラッドタイガーが飛びかかってきた!ライオンよりも速い、だがやってることはライオンと全く同じだ。ライオン戦の時に学習した俺は危なげなくブラッドタイガーの攻撃をかわす。


「盾の力を舐め…ぐ!?」


やはり超危険生物なだけあってか相手の攻撃が重い。まさか盾が一撃で貫通するとは思わなかった。どんだけだよ、マジで。

ただブラッドタイガーの左前足が盾にはまってしまったようだ。俺は盾を離す。


「これこそ名付けて盾作戦!」


盾はそれなりに重いのだ、これで奴の左前足は思うように動かなくなったはず。そして…


「メアリ、やってしまえ!」

「!」


メアリをブラッドタイガーにけしかける。今のブラッドタイガーは盾によって動きが落ちている。体力攻撃力が高い代わりに移動速度が遅いメアリでも翻弄されずに戦えている。


そこに…

「ほら、チュウトカゲの毒だ!」


チュウトカゲの毒ってのは便利だね。俺はメアリとやり合ってるブラッドタイガーの目に毒をかけた。失明とかは絶対にしないがそれなりに痛いだろう。


「ーーー!!!!!!!!」


ブラッドタイガーが助けを呼び、激しく悶える。そしてよく見ればメアリの体にもそこそこ傷がついている。このままでも倒せるとは思うが、もしも2体目のブラッドタイガーが来た場合おそらく全滅するだろう。なので…


「とどめは俺でもメアリでもない、やっちゃえオリオン!」


「モヒィ!」


伏兵、オリオンだ。

オリオンにはチュウトカゲの毒をつけた銅の剣を持たせてある。この戦いが始まる直前、俺は銅の剣をオリオンに渡して後ろからブラッドタイガーの不意をつくよう命じていたのだ。流石にこれはブラッドタイガーもたまらなかったようで、とうとう地面に倒れた…!




あとは魔物杖をかざしてすんなりと仲間になった。血肉を好む猛獣ってことで、なかなか餌代が大変なことになりそうだな…


さて、ブラッドタイガーの見た目だが…見た目は完全に赤色の虎だ。ただし、普通の虎より一回り大きい。俺はブラッドタイガーに騎乗してみた。うわ、高い。怖い…あとお尻が少し痛い。こりゃ長くは乗れないな…サドルとかないの?

だが今まで騎乗できる魔物はいなかったからそこはありがたい。いやまあメアリでも騎乗はできるんだけど、めちゃくちゃ嫌がられて振り落とされたから。何故?


体力とかはどっちかというとメアリの方が高いかも。ただメアリにはない機動力がこっちにはある。総合的に見ればほとんど互角っぽいな。


「君の名前は今日からブライガーだ」


この名前語感良くて好き。まあそれはともかく、これで仲間がまた増えた。

メガドン、オーク、ブラッドタイガー。

今の戦力ならキラーウルフにも勝てそうだが、慢心はいけない。もうちょっと強くなってから奴には挑むとしよう。


「おっと、そんなことしてる暇ではないな」

ブラッドタイガーのことで忘れていたが、ヒトクイチョウを仲間にするのが今日の目標だった。俺はメアリとオリオンを杖にしまい、ブライガーに騎乗する。


「ブライガー急げ!日が暮れる前にヒトクイチョウを見つけるぞ!」


「ニャン」


「え、お前ってそう鳴くの?」


いやまあ確かに猫の仲間だけどさ。



いた。ヒトクイチョウだ。


「ずいぶんカラフルだな…」


なんか、孔雀みたいな色したデカい雉。

人は乗せれるくらいの大きさしてる。


「メアリ、オリオン出てこい」


杖からメアリとオリオンを出す。正直、メアリはあの鳥に翻弄される未来しか見えない。ま、一応出しとこ。


「メイン戦力はおまえだ、ブライガー」


いやほんとに、ブライガーなしでどうやってあの雉倒そうとしてたんだろ。ものすごい機動力のブライガーじゃないとあんなん倒せないよ。本来、弓か槍、または魔法じゃないとあの鳥は倒せないらしい。ま、どっちも俺は使えないんだけど…


ブライガーから振り落とされる未来が見えた俺は、ブライガーから降りてこう頼む。


「あの鳥と戦ってくれ」


戦闘が始まる。ほぼ奇襲同然の攻撃だったためヒトクイチョウは何が起こってるのかよくわかってなさそうだ。だが、ヒトクイチョウも戦闘を始める。


「あのヒトクイチョウのレベルは30。ブライガーよりレベルが少しだけ高いが、大丈夫かな?」


ヒトクイチョウはブラッドタイガーほど強い生物ではないし、そもそもこちらは先制攻撃でかなりのダメージを与えてある。大丈夫だとは思うが…


「あ、キジが倒れた」


あっさり終わった。まあブラッガーもそこそこ傷はついてたけれど。ただ元気っぽいから大丈夫だろ。


そしていつもの如くあっさりと仲間になった。こう考えると…メアリってかなりめんどくさかったんだなぁ……ま、まあそれは置いておくとして。

とりあえず4人で仲良くお肉を食べながらヒトクイチョウの回復を待つとしよう。ちなみに彼の名前はキジクジャク。いい名前でしょ。

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