「やることねえ……」

　有給消化2日目の夜にして、早くも俺はこの生活に飽きてしまった。

　それに、仕事を休むということが後ろめたいというか、なにか罪悪感めいたものを感じてしまう。

　むしろ俺がこうして休んでいる間にも仕事は回り、俺と周囲の人間の実力差は開いていく一方で──

「──いやいやだめだ。仕事のことは一旦忘れよう……うん、そうしよ」

　そうだ。

　せっかく時間があるんだから、色々やりたいことをやっていこう。

　自分の人生を豊かにするものは、誰かに与えられるものじゃない。

　自分で見つけていくもののはずだ。

　明確にやりたいことがあるわけではないが、それはきっと今はまだ心と体を休める時期だからだ。

　そのうち、やりたいことだらけになって逆に困るようになる未来が容易に想像がつく──

　──そう思っていた。

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