第2話
そう、俺はとんでも地味スキル持ちなのだ。
料理は、少し努力すれば人並みのものは作れる。
レストランとかの人材ももうすでに足りてるし。
だから、正直言ってこのスキルは外れだ。
だけど、パンを作るときには少しは役に立つだろう。
そうして、10日後。
店舗が完成し、建ててもらっている間に調達したダンジョン産の小麦といろんなフルーツなどを持ってきた。
オーブンはさすがに自腹で買った。痛い出費だ。
俺は、さっそくパンを作ってみることにした。
「最初は、食パンでいいかな」
なんとなく覚えていたレシピで作り、イースト菌で膨らませて、オーブンへGO。
少し時間がたち、焼きあがったので取り出して食べてみる。
うん、上手い。
俺天才だ。
これ売れるわ。
普通のベーカリーで売ってる食パンと比べ物にならないぐらいうまい。
本当にニートが作ったのかっていうぐらいうまい。
しかも、ダンジョン産の素材はいろんな効果がある。
例えば、ダンジョン産の小麦は魔力が一時的に上昇する。
ベリーは、体力を回復する。微量だけど。
俺は、数種類のパンを作り、その材料と作り方をノートにメモした。
そして、宏にもそれを食べさせた。
「何これ、めちゃうまいやん」
宏も気に入ってくれたようだ。
俺は、数日間準備をして、ついにパン屋をオープンさせた。
-MENU-
食パン:500円
ダンジョンパン:50円
ベリーパン:100円
カレーパン:150円
チョコパン:150円
まずは五種類。
ダンジョンパンは、なんか色々混ぜたらできたおいしいやつ。
隠し味にスライムゼリーを入れているので、足が速くなる。
とまあ、こんな感じで準備してさっそく人を待ってみたのだけれど、、
誰も来ない。
そりゃそうだ。ダンジョンの中だから。
ここは、都市部にある初級ダンジョン、、、の中層。
上層は人が集まりやすいのだが、すでに露店が大量にできている。
中層にも結構あるので、俺は誰にも気づかれない隅のほうで店を立てた。
立地が悪いから、人は当然来ない。
SNSとかで宣伝するしかないのかなぁ、、
そう思っているうちに、客が来た。
「すみませーん、食パン一つください」
「はい、500円です」
「え、このパンってダンジョン産のを使ってるんですか?」
「そうですよ」
「ダンジョン産のものって確か、上位料理スキルがないと毒抜きとか、上手く加工できないはずですけど、、」
「自分、特級料理スキルなので大丈夫です」
「特級?!」
そう、ダンジョン産のものがたくさんある理由。
それは、毒抜きが必要だからみんなは欲しがらないからだ。
毒抜きができるのは上級料理スキルを持つ人のみ。
そして俺は、
「特級」だ。なぜか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます