第9話 悪魔とのお茶会?

その言葉を聞いて私は目を見開いた。悪魔にとってこの国は過ごしにくいはず。悪魔が好む闇の魔法がタブーとされているから。それなのに何故かこの目の前にいる彼は楽しそうに話している。


「……あの。そろそろ帰りたいんですけど」


「まぁまぁ。まだ付き合ってよ。こんなに楽しいのは久しぶりなんだ」


「……私は楽しくないって言ってるでしょう?」


「ふむ……なら君が楽しくなる話をしよう。"禁忌の魔法"についてならどう?」


その言葉を聞いてガタンと私は勢いよく立ち上がった。"禁忌の魔法"。生徒に授業でも教えたその魔法は使うことを禁止されている。私はため息を吐き座り直した。


「へぇ…興味あるみたいだね?死んだ者を生き返らす魔法。いわゆる死者蘇生の魔法。」


「……それはこの国で……いやこの世界で禁止されているはずよ。それに死んだ者は元に戻らない。」


「でもそれは魔法使いの力だけでの話。もしそこに悪魔の力を加えたらどうなると思う?完璧な死者蘇生魔法が使えるはずだよ」


「……そうかもしれない。でも禁忌の魔法は同時に代償を払わなければならない。その代償は自分自身の命かもしれない。だから禁忌と言われている」


「へぇ……流石だね。でも命じゃない可能性もある。君にもいるはずだ生き返らせたい人。違う?」


「っ……貴方に教えるつもりは無い。」



「その反応……居るんだ?家族?友達?それとも……恋人かな?」


「……貴方に関係ないと言ったはずよ。もう帰る。」


私はため息を吐いて席を立った。あぁ腹が立つ。全部見透かされているみたいだ。悪魔が放つ言葉には耳を貸しちゃいけないってわかっていたのに……




私は勢いよくドアを閉めて自分の家へと帰った。後ろで笑みを浮かべたままの彼に気付かずに。

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