第5話 実技授業

私は生徒たちを連れて中庭へと移動し、くるりと回って生徒たちの方へと振り向いた。


「さて皆さん。準備はいいですね?一定間隔を空けてから自分に合っていると思う方法で簡単な魔法を使ってみてください。では始め!」


私はそう告げたあと生徒たちを一人一人見て回った。教科書を見ながら詠唱をする子や魔法陣を見様見真似で書いている子が殆どだった。


「先生。詠唱を覚えるにはどうしたらいいですか……?俺覚えるの苦手で」


「そうですね……書いて覚えたりひたすら復唱したり……地道な練習が近道ですよ」


「ですよね……先生はどうやって覚えたんですか?」


生徒の1人がそう問いかけてこれば私は少し悩んだあと笑みを浮かべ「私は……そうですね親友に教えてもらいましたよ」とだけ告げてさっき居たところまで移動した。


「さて…実技授業はここまで。皆さん自分が得意な魔法の使用方法は分かりましたね?では教室に戻って次の授業の準備をしておいて下さい。解散!」


「ありがとうございました!」


生徒たちはそう告げてワイワイと話しながら教室へと戻って行った。私はその背中を見ながら先程言った【親友】のことを思い出していた。



「お母さん…フローラ……また会いたいなぁ……なんて叶わないのにね」


私はそう呟いて目元を軽く擦ったあと少し急いで教室へと向かった。



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