第26話 今後の会議と、女性初の大臣の誕生と、釣り書は全てお断り!
翌日早朝、魚ギルドに頼まれていた品を持って行き、使い方を説明するとやっと魚ギルドでも生魚を置けるようになり、生魚を扱える店が更に増えた。
ついでに出たゴミをゴミ箱に入れて欲しいと伝え、そこのゴミに入れると魔素になってこの国の緑化に役立つ事も伝えると、直ぐに了解して貰えた。
その後、城に戻り会議が行われ、明日アツシ様がお見えになる事や、今後の事業についても話し合われる。
「アツシ様にご相談した所、城と国民用の風呂場である『銭湯』を用意して貰えることも決まった。こちらは国の金を使い城の者たちには自由に入って貰い、国民には幾らかの安い金額を支払って入って貰う事になる。その為、銭湯で働く者たちが必要だ。交代して休みが取れるように3人ずつ計6人の働けるお年寄りを雇う予定にしている。城の場合はメイドたちに掃除を頼む事にする」
「風呂に入り放題になるんですか?」
「気分転換したい時や、仕事終わりに入るのも良いだろう。汚れを落として家路に着くと言うのも大事だからな」
「衛生面がこれでまた一つ良くなりますな」
そう言って喜び合う大臣たちに、次なる話をして行く。
「次に、アツシ様から寄贈して貰うものだが、ガラスハウスはオアシス近くの果樹園の近くに6棟作って貰えることになっている。こちらも無料だ。そこでドライフルーツと言う甘味を作る。こちらに関して調理師免許持ちは一人監督として置き、後は一般市民で構わない。人員も商業ギルドで賄う予定だ。人数的には一つの棟に10人ずつ。監督は1人いればよい。こちらもすまんが用意を頼む」
「畏まりました」
「また、寄贈される冷蔵冷凍、それに普通の馬車については、箱庭師を使い俺とリゼルが婚意識を神々の島で行っている間に外交大臣ハーレスと箱庭師にバランドス王国、そしてネバリ王国に馬車が到着できる土地を確保して貰う。頼んだぞ」
「畏まりました」
「それからアツシ様からの提案で面白い商売を教えて頂いたが、こちらはまず人員確保からして行きたいと思う。孤児院と老人ホーム担当のスバル大臣」
「はい!」
「箱庭師を雇うのもそうだが、孤児院に仕事の斡旋がある事を伝え、更に老人達には『シルバー人材派遣』と言う、老人でも働ける者たち用の就職斡旋場所を作れ。老人ホーム内でいい」
「畏まりました」
「そこで、国が人材を募集している事も後日連絡させる。作るのは【かき氷】と言う氷を使ったおやつの様なモノだな。暑いこの国にも人気は出るだろう」
「はっ!」
「スプーンと容器類は俺が用意する。使い捨てにはしないので回収するように」
こうして次々に打ち出す俺に大臣たちは慣れたものでにこやかに頷いている。
俺の打ちだすものが国の利益になると言うのを、この3年で理解しているからだ。
「また、寄贈された馬車類は国が外貨を稼ぐ為の商隊を作る。商隊部門の大臣を作りたいが、右も左も分からん状態だろう。ある程度知識があればいいが、最初は失敗する事があってもいい、誰か良いものを知らないだろうか?」
「それなら、箱庭師大臣のお妹様が宜しいのでは?」
「え、俺の妹ですか?」
「外国の品にもかなりの知識をお持ちですよね?」
急に声を掛けられたラシュリオは驚いた顔をしているが、「どうなんだ?」と聞くと事実だという。
また、最近婚約破棄されたばかりで家にいるらしく、それならば起用しやすいと直ぐに連絡を取って貰う事となった。
これが、後にシュノベザール王国初の女性大臣となる。
「今日の昼には城に来てもらうよう頼む」
「はい! 会議が終わり次第すぐに連絡致します」
「うむ。話は以上だ。連絡事項は其方からはないか?」
そう確認をとり、特に連絡事項が無かった事から会議は解散となった。
ラシュリオは直ぐに実家に魔道具で連絡を取りつけたようだが、その間俺はサファール宰相と共に執務室へと向かう。
「婚姻式が終わり国に帰ってきてから貴族連中を呼んでのパーティーだが、出来ればしたくもないパーティーだな。税金の無駄だ」
「王妃様を見せる大事なパーティーですからね。しない訳には行かないでしょう」
「それもそうだが……リゼルの事を軽んじて見ている貴族が多い」
「リゼル様は素晴らしいレア中のレアスキルをお持ち何ですがね」
「貴族連中には分からんのだろうな。だが今はそれでいい。パーティーにはアツシ様達もお見えになる。リゼルがどれだけ大事に思われているか嫌程知るだろう」
そう、リゼルはアツシ様の奥方であり、ジュノリス大国の王妃であるカナエ様と仲がいい。
その上カナエ様の息子の婚約者であるナノリシア王女とも仲が良く、元々差別意識など持っても居ないリゼルは直ぐに二人に好かれるようになった。
今では俺達が仕事をしている間、拠点でピアノを習ったりと忙しい日々も送っている。
そう――何を隠そう「貴族の娘であるならば、一国の王妃となるのならば」と、神々の島にあるノスタルミア王国女王陛下よりピアノを習っているのだ。
婚姻祝いにカナエ様がリゼルにグランドピアノを贈って下さるらしく、リゼルはとても楽しみにしている。
時折調律師も送って下さるようなので安心だな。
貴族女性の間で、ピアノとは正に誉ともいえるべき一品なのだ。
持っている女性は公爵家と侯爵家くらいだろう。
だが、それはあくまでこちらの世界でのピアノであって、質はそんなに良くないらしい。
だが、リゼルが貰えるピアノは異世界のピアノ。
既にスタートラインが全く違うのだと言う。
リゼルもまたピアノを覚えるのがかなり早く、カナエ様があちらの世界にある音楽の楽譜などをドンドン購入しては覚えさせているので、レパートリーはかなりある。
婚姻式のパーティーの余興でリゼルが贈られたピアノで弾くことになっているが、緊張する反面楽しみだそうだ。
女性陣は女性陣の戦いがあるのだと言っていたので、男性陣は口出ししないでおこうと思う。
大事なのは、浮気しない事らしい。
元々日本人の考えが強い俺として浮気等は考えても居ないし、リゼル一人がいれば十分すぎるくらいなのだが――。
「毎日懲りずに釣り書を贈って来るな。全部返品しておいてくれ」
「畏まりました」
「シュライ様はリゼル様一途ですもんね」
「ああ、俺にはリゼル一人がいればそれでいい」
そう言って溜息を吐き、朝の仕事を進めるのだった。
そして昼一番に駆けつけて来たラシュリオの妹だが――。
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