【完結】天候を操れる程度の能力を持った俺は、国を富ませる事が最優先!~何もかもゼロスタートでも挫けずめげず富ませます!!~
第13話 やる事は山のようにあるのに、粛清中のバランドス王国から姫君が二人もやってくる③
第13話 やる事は山のようにあるのに、粛清中のバランドス王国から姫君が二人もやってくる③
あれから偵察部隊からの連絡では、バランドス王国の王と王妃は断頭台で命を散らせたと言う話が飛び込んできた。
人質であったリゼルとファルナは、本当の意味で元バランドス王国の姫君となった訳だが、それから一週間後、バランドス王国から使者が訪れた。
「それで、バランドス王国の使者が何用か?」
「はい、我々バランドス王国に住んでいた国民たちの怒りの矛先であった国王夫妻は我々の手で打つことが出来ました。しかし、このままでは他国に攻め入られてしまいます。そこで、どうかシュノベザール王国に助けて頂けないかと馳せ参じました」
「助ける……と言っても色々あるだろう? 何を望む」
そう意味ありげに伝えると、使者は最早諦め切った表情で口を開いた。
今のままでは他国に攻め入られても、旨味の無い国になっている事。
大規模な大火事に大飢饉、農地は干上がり水も干上がっている状態の土地を、一体どこが欲しがると言うのか。
だが、シュノベザール王国にならまだ価値を見いだせて貰えるのではないだろうか。
「属国だろうと何だろうと構いません。どうか生き延びた我々を導いて頂きたいのです」
「……」
「それこそ、いっそバランドス王国の名を消し、シュノベザール王国になっても構いません!」
「どうか我らを見捨てないで下さい!」
「お願いします!!」
そう口を揃えて頭を下げる使者に、俺は冷たく口を開いた。
「バランドス王国の姫君二人はどうする」
「それは……最早我々の国ではどうする事も出来ません」
「平民に落として生活させるくらいしか……なぁ?」
「そうか、こちらとしても取り急ぎ直ぐにどうこうしようという気はない。彼女たちはバランドス国王の血を引いてはいるが、とても聡明な二人のようだ。罪を償うと言う意味合いでは、我がシュノベザール王族の為に尽くして貰うと言うのも悪くはない」
「では、我が祖国を是非守って頂けるのでしょうか!」
「雨を!! 雨を降らせてください!!」
「ここに来る途中民家を見ました。木材等何処に……どうか木材をお分けください!」
「良いだろう。元バランドス王国をこれよりシュノベザール王国の属国とする。その為にはバランドス王国と言うのは一応残しておきたいのだ。その為に、我が弟であるシュリウスを属国となったバランドス王国のトップに沿える。シュリウスがいる限りバランドス王国の天候は全て安定し、国民が飢えることなく元に戻ると約束しよう」
そう言えば大きな歓声が上がり、俺は小さく頷くとサファール宰相にシュリウスを呼んで来て貰い、シュリウスは笑顔で俺の隣に立った。
そして、余りの幼さに驚いているようだが、俺は不敵に笑うと――。
「お前達も知っての通り、俺の成人の儀の翌日両親は死亡した。その俺を支えて一年で此処までシュノベザール王国を発展させることが出来たのは、このシュリウスのお陰といっても過言ではない」
「な、なんと!!」
「シュノベザール王国には二人も賢王となれる者がいたのですね!!」
「まぁそういう事になる。その片割れに管理させようと言うのだ。無論シュリウスが元気でいる間はバランドス王国の天候も恵まれ土地は元に徐々にだが戻るだろう。また、バランドス王国の姫君の一人をお返しする。それで表向きは保てるだろう」
そういうと彼らは何度も感謝を述べ、こちらの準備が出来次第すぐに出立する事も伝え、今話した内容も国民に浸透させておけと命令すると強く頷いて帰って行った。
後は、どちらの姫君を返すかに寄るのだが――。
「出来る事ならば、第一王女を返すのが筋ではあるが」
「ここは敢えて第二王女が宜しいかと」
「何故だ?」
「二人のスキルを見てそう思いました」
「ああ……なるほど」
そうなのだ。
第一王女であるリゼルはレアもレアな【魔石師】であった。
俺が喉から手が出る程欲しいスキルだった事もあり、現在緑化魔道具の為の緑の魔石を大量に作って貰っている所だ。
今までは金が余り足りず、緑の魔石を3つまでしか嵌められなかったが、10個すべてに嵌められるようになってから緑化は一気に加速した。
それでも砂漠が緑化するにはまだまだ後何十年と掛かりそうだが。
妹のファルナはシュリウスと同じ【緑の手】の持ち主であった。
国を支える二人が緑の手を持っていれば作物が育つのも早いと言う話がある。
それならばシュリウスがファルナを選ぶのも当たり前の事でもあった。
「分かった、この事を二人に話すことにしよう。侍女長を呼んでくれ。リゼルとファルナを謁見の間まで呼ぶように頼む」
「畏まりました」
――それから5分後、急ぎやってきた二人に全ての事情を伝え、バランドス王国としては残すが、シュノベザール王国の属国と今後なることや、そのバランドス王国のトップにシュリウスとファルナを据える事にすると伝えると、ファルナは目を見開きシュリウスを見ていた。
「え……ふ、夫婦になると言う事でしょうか?」
「いえ、貴方はどこぞの貴族の男性を婿に貰って結婚しても構いません。名を残す為にはそっちの方がいいでしょうが、あなた方が国を支える為に国王となる事は無いと言うだけです。事実上俺がトップとなるので、貴女が好きに自由恋愛しようが何しようが関係ありません」
「そんな言い方あんまりです!! でしたら夫婦別姓で良いのでシュリウス様と結婚致します!!」
「それは、俺が成人してから考えて頂きたいですね」
「う……申し訳ありません」
「だが、どちらかが姉妹と婚姻するのはアリだろうな。属国にするにしても示しが付かない」
「それなら兄上がリゼル様と婚姻為さるのが適切かと思われますが」
「何?」
「私が……ですか?」
思わぬ言葉だったのだろう。
俺にとっても思わぬ言葉だった。
リゼル姫は控えめに言っても働き者だ。悪くはない。王妃としての仕事が出来るかと言われると未知数だが、そもそも他国とアレコレと言うのも我が国では珍しい分類に入る。
「ふむ、国が安定した場合は考えてもいいかも知れんが、元々の婚約者は居ただろう?」
「居ましたが……正直申しますと……」
「なんだ」
「余りにも浮気癖が酷く、お断りを何度も入れたいと思っていたくらいでして」
「なるほど……」
「それならシュライ様の妻になる方が精神的に安定致します。何せ国民の為に働いて考えて行動している時点で尊敬出来ますし。私は尊敬出来る男性ではないと結婚は辛いタイプのようですので」
「なら、尊敬を踏みにじらないように頑張らねばならないな。だが俺も仕事を頑張る妻は好ましいと思う」
「ありがとう御座います。今後も魔石を必死に作りたいと思います」
こうして一先ずは、国がもう少し安定したらリゼルと俺が婚姻する事に決まり、その前にバランドス王国を属国となったと知らせる必要もあった。
先は少し長いが、目指す婚約発表は二年後と定め、全員がその為に動くことになるのだが――それから一か月後。
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