第5話 ようこそ【八咫烏】へ

しばらく滑った後、光が見えてきた。

その後なにか柔らかいものにぶつかる、それは俺を弾き返すことはなくそのまま包み込み滑ってできた勢いを吸収したあとパンッとシャボン玉のように弾けて消えた。

目の前にはりのちゃんがあたりをキョロキョロと見回していた。


「せいちゃんここどこ?それに変な仮面を被った人がたくさんいるし」

「ごめんごめん詳しいことはちゃんと説明するから今はついてきてほしい」

「わかった。けどちゃんと後で教えてよ」

「ああわかった。」


そうお願いするとあっさりと了解してくれた。

りのちゃんを連れて歩き始める。


「今からみた事は全て他言無用でお願い」

「わかった。でも一つ聞いていい」

「いいけど何?」

「さっきさ亀の人が別人だって言い当てたじゃんどうしてわかったの?」

「あーそれか。あれは毎回やってるんだけど

『サービスでソフトクリームがついてくるんだけどなく無い?』って言われたら『そう言われると思って用意してあります』って言う決まりになってるからかな」

「へーそうなんだ合言葉みたいな感じなんだ」

「そうそう、そう思っとけばいいと思う」


歩いているとある光景が不意に見えてしまい莉乃は驚く。


「何あれえ、人いやあれ妖怪……?」

「あああれは烏天狗だよ」

「なんでそんなあっさりとした感じで言えるの!?妖怪だよ」


そこには烏のような嘴を持った顔に背中からは黒い羽が生え全身に黒い服をまとっている妖怪烏天狗がいた。

しかも周りには仮面をつけた人達が烏天狗と戦っているようだった。

仮面をつけている人達は武器らしい物を持っていないかった。


「まあまあ後でいくらでも見れるからそれにりのちゃんは異世界に行ったんだからこれぐらいじゃ驚かないと思ってたから以外」

「確かに異世界でこういうのには慣れたつもりだったけどまさか地球で本当に見るとは思ってなくて」


そのまま歩いて行くと今度はエレベーターに乗り下へと降りる。

そして最下層まで降り【頭領室】と書かれた看板が貼ってある部屋へと入る。


「ここが目的地ここで色々話した後はようやく話せるから」

「後少しなんだね。わかった頑張る」


扉を開けるといきなり何かが飛んできた。

りのちゃんは飛んできた何かを正面から手で受け止める。


「びっくりした。なんで急に木の枝が?」

「はっはっはすごいねーまさか初見で止められるとは思わなかったよ」


そう言いながら部屋の中にいる老人は莉乃に向かって拍手をした。

老人は和服をきていて仮面をしていなかった。


「こんにちは、私はどうしてここに呼ばれたんでしょうか?」

「そうその話ね!聞いたよ君、超能力者か異能力者らしいね。いやー能力者自体が珍しいからうちとしても願ったり叶ったりだね」

「へーそうなんだところで超能力者と異能力者って何が違うんですか?」


莉乃の言葉に老人が反応して答える。


「簡単にいうと能力の出力の違いかな。超能力者の方が能力の出力が大きいで異能力者の方が出力が小さいと言った感じかな」

「それがどうして私がここにくる事に?」

「先程も言ったように能力者ってのは珍しい存在でね我々でも100人集めるのが精一杯だったそして超能力者の域にいるものはさらに少ない。

我々は足りていないんだ日本を守るためには人員が」

「だから魔法が使える私はここに連れてこられた?」

「そうその通りだ。別に強制はしないが日本のためにどうか我が組織【八咫烏】に入っていただけないだろうか」


そう言って老人は椅子から立ち上がり莉乃の目の前で頭を下げた。


「わかりました。日本のためなんてスケールが私には大きすぎるけど頑張ってみます」

「おおそうかそうか感謝する。こんな説明もほとんどしてないのに了承してくれるとはありがとう」

「りのちゃん」


紫青が莉乃の耳のあたりで莉乃に話しかける。


「改めてようこそ【八咫烏】へ。わからない事沢山あるだろうけど入ったからにはある程度教えられるよ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る