第4話 いざ本部へ

夜になりりのちゃんに会いに行く。

りのちゃん家の前に立ちインターホンを鳴らす。


「りのちゃん準備はできてる?」

『はーい。りのーしせい君がきてるよー」


声的に出てくれたのはりのちゃんのお母さんだろう。

少し家の方からドタバタした音が聞こえた後にドアが開かれた。

そこには天使じゃないかと見間違うほど可愛いりのちゃんがいた。


「ど、どうかな?」


髪を少しいじりながら上目遣いで聞いてくる。


「可愛いよ」


ノータイムで可愛いと言いりのちゃんの手を握ったというか握っていた。

それに気づき慌てて手を離す。


「ああご、ごめんいきなり失礼だよね」

「いいよわ、わたしももっとしたい」


そう言いながら服の袖を少し引っ張った。

内心でぐああぁぁぁと悶えつつも俺の顔はすでに燃え尽き初めていた。


「ところでこれからどこに行くの?」

「はっ!一瞬天国が、あえっと今日どこに行くかは歩きながら話すよ」

「わかった」


そう言って俺は手をだしりのちゃんはその手を握る。

お互い少し恥ずかしくなり顔が赤くなりつつ歩き始める。


「今日行くところはまあ一応【BARタートル】って名前の店なんだ」

「へーそれってどんなバーなの?」

「えっとバーなのに個室制で入るのは仮面の着用が義務付けられてる一風変わった店なんだ」

「えっそれって個室なのに仮面をする意味って」


少し驚かれる。

が確かに考えてみたらすごい変な店だな。


「でも料理はとても美味しいから」

「そうなんだでも仮面は?」

「ああそれなら用意してあるよ」


そう言って俺はカバンの中に入れていた。

カラスのお面を取り出す。


「これをつければ入れるよ」

「わーかっこいいどこで売ってるのこんな仮面」

「それは内緒だよ今は、ね」


楽しく会話しながら歩いているとりのちゃんが下を向き暗い顔で言った。


「せいちゃんはさ優しいんだね。普通の人ならさもっと驚いて恐るはずなのにさ」

「なんか言った?ごめんなんだけど聞こえなかった」


彼女の優しいまでは聞こえたがそれ以上は声が小さくて聞こえなかったので聞き返す。


「ううんなんでもないよ」

「ならいいんだけど。いいんだよいつでも俺を頼ってくれて」

「ふふ私の方が多分強いけどいいの?」

「おうとも俺はりのちゃんのためなら例え火の中水の中どこへでも駆けつけるさ流石に異世界は無理だったけど」

「ふふふそうだね流石に異世界は無理だね」


楽しく会話をしている目的地である【BARタートル】が見えてきた。

店の近くに着き、りのちゃんに先ほどのカラスの面を渡し自分の分のカラスの面を取り出す。

りのちゃんが面を被り終えたのを確認し店の中に入る。


「いらっしゃいませ【BARタートル】へようこそ二名様でよりでしょうか?」


入ると目の前にカウンターがあり店主と思われるタキシード姿の亀の仮面を被った人が右手でコップを拭きながら立っていた。


「ブフォッ!」


りのちゃんの方から変な音がしたがあえてスルーし店主の方へと近づく。


「はい。それと個室でお願いしたいんですけど空いてますか?」

「はい個室ですね。ではこちらをどうぞ」


店主は後ろの棚から鍵を取り出しそっとカウンターに置く。

その際に甲羅のようなが背中にありりのちゃんが必死に口を抑えていた。

鍵のキーホルダーには「5」と書かれていた。


「そちらの部屋は一番奥へと行けばあります。

注文は部屋の中にあるタブレットっでお願いします。何か質問はございますか」

「いえ大丈夫です」


そう言ってオドオドしているりのちゃんの手をひっぱり番号の部屋へと向かう。


「だ、大丈夫かな?」

「何が?」

「ほら仮面でわからないかもしれないけど私たちまだ高校生でしょバレたら怒られるんじゃ」

「気づくの今更すぎないか」

「だってせいちゃんが当たり前のように言ってたから」

「まあまあ他のお客さんに迷惑になるから部屋に入ってそれから考えよ」


りのちゃんをなんとか部屋に入れることに成功した。


「さぁりのちゃん好きな物を頼んでいいよ」

「ほんと!じゃあこの明太子パスタがいいな」


タブレットをいじりメニューをみているりのちゃんをニコニのしながらみている俺という構図が早速できた。


「せいちゃんはないの?」

「俺はこのクロウブラットって飲み物にしようかな」

「すごい名前だね」

「まあそうだね」


注文を確定して5分くらい後に部屋の扉をコンコンと叩く音がした。


「ご注文の品をお届けにまいりました。扉を開けさせていただきます」


そう言って扉を開けたのは先ほどの店長で手際よく料理を置く。


「ねぇ店長」

「はいなんでしょうか?」

「俺の頼んだドリンクって実はサービスでソフトクリームがついてくるんだけどなく無い?」

「失礼しました今お持ちいたします」


そう言って扉を閉めようとした時だったいつの間にか紫青が店長の腕を掴み後ろからホールドしていた。


「な、何をしているんですか」

「何って偽物を取り押さえているだけだ。君亀の事はどうした?」

「亀?」


何を言っているんだという顔をしたので腕にこめる力を強めながらもう一度聞く。


「言い方が悪かったな俺の仲間をどうした?」

「い、いうわけ…ない……だろ」

「まあいいさ」


そう言ってせいちゃんはあっさりと男から手を離した。


「え!?そんなあっさり手離していいの?」

「ああもう大丈夫。だってもう動かないから」


男の方を見ると確かに動かなかった。


はぁまじか亀さん死んだか。

いい人だったのに切り替え切り替えとりあえず今はりのちゃんを本部に連れて行く。

俺はタブレットを操作する。

すると部屋の壁が動きだした。


「ええ何々?」

「これは本部に行くための滑り台だよ」

「なんで滑り台?階段とかエレベーターとかじゃない普通」

「あっははそんなので行ってたら着くのに時間がかかりすぎちゃうからね」


そう言いながらりのちゃんを滑り台の方に引っ張る。


「ねえこれって安全だよね?」

「大丈夫俺は怪我したことないから」

「なら大丈夫か」


そう言ってりのちゃんは滑って行った。

俺も後に続き滑る。

途中「きゃあぁぁぁ!!!」と楽しそうな声が聞こえたので心配はないだろう。

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