第3話 彼女の秘密

流石に廊下ではまずいので部屋の中に入り床に座る。


「うへへへ」

「えへへへ」


あの日の告白にOKをもらえ俺は今この瞬間がただただ嬉しくとても楽しく感じていた。

俺の部屋にりのちゃんがいてしかも恋人になれた。

人生でこれほど嬉しいことは多分ない。

だけどだからこそ疑問に思い隣にいるりのに質問する。


「なんで俺が告白目の前から消えたの?」

「ああーそれね本当最悪だったんだよ。せっかくせいちゃんから告白されたのに異世界?だとかそんな場所に飛ばされてさーまじでキレそうだった」


せいちゃんとは俺のあだ名だ。

そして今りのちゃんの口から驚きの言葉が出た。


「異世界?どうゆうこと、漫画とかであるやつ?」

「そんな感じかな、なんか私勇者として召喚されたらしい」

「サラッと言っていいことじゃないよ!?え大丈夫だったの怪我とかない?」

「怪我とかはないよ。ただね私魔法が使えちゃうのすごくない!」

「ま、まほう?え……おおんそうなんだ」

「あれ?もっと驚くかと思ったのに反応うすいぞー」


俺の頬を指でグリグリしてくるが特に痛くはなかった。

むしろプクーッとほっぺを膨らませているりのちゃんが可愛いまである。


「ははは、じゃあさ魔法見せてよ」

「いいよ。流石に火の魔法とかだと危ないから水の魔法とかでいいか」


少し無茶振りかなーと思いつつ聞いてみると軽くオッケーしてくれた。

立ち上がり指で銃の形を作る。


「いくよ《水球ウォター》」


彼女の指からピンポン玉位の大きさの水の球体が突如として現れる。

これを見て俺は部屋の天井をみそうになった。

マジかよ。


「むぅーこれでもあんまり驚いてない」

「いやー驚いてるよ。驚きすぎて声が出なかったもん」


彼女はそう言いながら《水球ウォター》をパクッと食べ飲み込んだ。

りのちゃんの言葉にあせり少し声が上擦った。


「ふーん、そうなんだじゃあもっと凄い魔法見せたら驚く?」

「もちろんただ今はやめようね」


これより凄いものと聞きマズイと思ったがそれ以上に流石に本部に連絡して連れて行かないとな、めんどくせー。


「あのおさりのちゃん突然だけど……今夜会える?」

「今夜!?そ、それはいい…けど」


赤面するりのちゃんが可愛くて悶えそうになったがここはなんとか堪えた。


「ありがとう。じゃあまた21時に会おう」

「えーお開きーまだ一緒に居たいのに」

「ごめんごめんところでさその魔法は他の人に見せたりた?」

「いや今のところはせいちゃんだけだよ」

「それなら他の人には親でも見せちゃ駄目だよ」

「そう?まあせいちゃんが言うならわかった。また21時にね」


りのちゃんを家まで送りまた会う約束をした。

次にやる事は本部に連絡するか。

家に戻り自分の部屋の窓を少し開けコンコンと叩くとカラスが入ってくる。

驚くこともなく俺はカラスを中に入れる。


「超能力か異能力の類に覚醒した人間がいた。今日の22時くらいに本部へ連れて行くだから危害は加えるな名前は大月莉乃だ」


カラスに向かってそういうとカラスは首を上下に軽く振った後窓から部屋を出てどこかにとんでも行った。


「少なくともこれでりのちゃんに危害を加える組織のやつは出てこないだろ」


沈みゆく太陽を眺めながらりのちゃんへ申し訳ないという気持ちが湧き上がるが仕方のないことだと自分に言い聞かせ風呂へと向かう。


◇◇◇


「はぁはぁはぁやばかったー」


一人の女性が自分の部屋のベットの上で抱き枕にハグをしながら悶えていた。


「2〜3年ぶりにあったから暴走しそうだったー危ない危ない」


彼女の部屋の壁を見てみるとそこには幼い頃から中学生までの紫青の写真がずらりと貼られていた。


「でも今夜また会えるのか♡楽しみ♡」


そして彼女は眠りにつく紫青の写真が貼ってある抱き枕を抱きしめて。

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