第2話 新しいクラス

自分たちの席を確保し、優里と隣同士に座っている俺たちは、教室が徐々に賑わいを増していくのを感じていた。


優里は隣でノートを広げながらも、新しいクラスメイトたちを興味深げに見ている。


「陽斗、新しい顔ぶれだね。去年とはまた違った一年になりそう。」


優里が俺に話しかけてきた。



「うん、そうだな。新しい友達もできるといいな。」


俺は教室を見回し、新しいクラスメイトたちに目を向ける。


その中には、緊張しているように見える生徒もいれば、既に友達と話している生徒もいた。


その時、目の前の席に座る男子生徒が振り返ってきた。


「おはよう、俺、佐藤だ。よろしくな。」


彼は手を差し伸べてきた。



「おはよう、俺は高橋陽斗。こっちは佐々木優里。」


俺は彼と握手を交わし、優里も笑顔で手を振る。





佐藤はサッカーが好きだと言っていて、俺もすぐに話が盛り上がった。


優里も


「私は陸上部だけど、スポーツの話は大好き!」


と加わる。


この瞬間から、新しい友情の芽が生まれた感じがした。




授業が始まる前の短い時間だったけど、俺たちはすでに何人かの新しいクラスメイトと話すことができた。




「ねえ、あの子、どう思う?」


優里がひそかに指さす方を見ると、一人の女の子が本を読んでいた。


彼女も新しいクラスメイトの一人だ。




「話してみたいな。放課後、声をかけてみようか?」


俺は提案する。


優里は


「いいね、それ!」


と賛成してくれた。




授業が始まるチャイムが鳴り、俺たちは席に着いた。


先生が教室に入ってきて、新学期の挨拶を始めた。


俺の心は、新しいクラスメイトたちとの出会いでいっぱいだった。



これからの一年間、どんなことが待っているのか、わくわくしていた。




俺と優里は放課後、朝から気になっていた宮本さやかに声をかけることにした。


彼女はまだ教室にいて、窓際の席で本を読んでいた。


「ねえ、さやかさん?」


優里が彼女の前に立ち、やさしく声をかける。




さやかは本から顔を上げ、少し驚いたように俺たちを見た。


「あ、はい。私、宮本さやかです。」


「俺たち、同じクラスになった高橋陽斗と佐々木優里だよ。よろしくね。」


俺は彼女に笑顔で手を差し伸べる。




彼女も微笑みながら手を握り返してくれた。


「宮本さやかです。こちらこそよろしくお願いします。」


「さやかさん、何の本読んでるの?」


優里がさやかの手元にある本を指差しながら尋ねる。



「これ、日本の古典文学についての本なんです。文学が好きで。」


さやかは本を優里に見せながら説明した。



「へえ、すごいね。俺、文学ってあんまり詳しくないんだけど、面白そうだね。」


俺は素直に感心した。



優里も

「わたしも、文学はちょっと…だけど、さやかさんがおすすめするなら読んでみたいな。」



「もしよかったら、いくつかおすすめの本、紹介しますよ。」


さやかは優しい笑顔で言った。


その瞬間、三人の間に新しい絆が生まれたような気がした。



「それ、いいね!今度、図書館に一緒に行かない?」


俺が提案すると、さやかは目を輝かせて


「いいですね、ぜひ!」


と応えた。




優里も


「楽しみにしてるね!」


と笑顔で言った。




新しい友情の始まりだ。


俺たちは、まだ見ぬ多くの物語と出会いに胸を躍らせながら、教室を後にした。


これからの一年、新しいクラスメートとの関係がどう深まっていくのか、想像するだけでワクワクした。




さやかと別れ、教室を出てすぐの廊下で、ひときわ目立つ光景が目に入る。


星野美咲だ。


彼女はまだ俺たちと話したことはないが、彼女のことはよく知っている。


転校してきたばかりで、その美しさと落ち着いた雰囲気で、すでに学校中の注目の的になっているからだ。


今も、いくつかのグループから声をかけられて、にこやかに応じている。


「ねえ、陽斗。あれ、星野美咲だよね?」


優里が小声で俺に言った。



「ああ、そうだね。もうみんなと仲良くやってるみたいだな。」


俺は遠くから彼女を見ながら答える。


美咲はクラスメイトに囲まれながらも、誰とでも平等に接しているように見える。


その姿に、なんとなく安心した。




優里は


「うん、いいなあ。美咲さん、きっといい人なんだろうね。」


と言い、微笑んだ。


その言葉には、俺も同感だった。


美咲にはどこか魅力的なオーラがある。


それは外見だけでなく、彼女の内面からにじみ出るものだろう。




俺たちは、美咲を遠くから見ながら、校門に向かって歩き始めた。


まだ彼女と直接話す機会はなかったけど、この小さな観察からも、彼女がこれからの学校生活において、大きな役割を果たすことになるのは間違いないと感じた。


「陽斗、明日もまた楽しい一日になるといいね。」


優里が言った。



「うん、そうだね。新しい友達もできたし、このクラスでの一年、楽しみだよ。」


俺は答える。


そして心の中で、いつか美咲とも話せる日が来ることを願った。




俺たちは話しながら学校を後にした。


新しい学期の始まりは、既に色々な可能性で溢れている。


美咲との出会いもその一つだ。


これからの学校生活が、ますます楽しみになってきた。

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