第5話、野心!?そんなのありませんから!!

僕はそれからまた一年間の月日が流れて領地経営に当たっていた。


今では王国の中で一番住みやすいと言われているほどに街が発展して僕はそうして得た税金を一切私欲に使わずに街の発展のみに費やしていた。


その結果、王都に迫りくる程に街が賑やかになり人々が多く定住するようになった。


ようやく少しばかりは安心と言うか貴族としての役割を果たしたと思っていた。


いくら日本で授かった知識があるとはいえここまで発展をするとは思いもしなかった。


民たちが笑顔で暮らしていく姿はとても良いものであるが一つだけ心配なことが起きているのだ。


それは僕の領地が発展をしているせいで嫉妬を生んでしまったのか謀反の疑いなど王族から受けられているのだ。


正直に別にそんな事はしていないのにと思っていたけど日本で学んだ歴史では政敵とか陥れる為に使われたことがあると書かれてあったけど実際にこんな目に遭ってしまうとは夢にも思いもしなかった。


別に僕は貴族としての役割を全うしているだけで野心なんて無いのに・・・。


そんな事を伝えても王族たちには伝わらないとして僕は領国にある銀山を見つけてその権利を教会に与えて恩を売っておいたので教会に僕が野心がないことを伝えてほしいとお願いした。


教会のことばもあれば何とかなりそうだと思って僕は過ごしていた。


しかし、帰ってきた情報はなんと謀反だと決定されてしまってこちらに対して軍勢を差向けられてのである。


別に僕は死んでも構わないと思っているけど僕の為にこの領国の民たちを巻き込むわけには行かないとして僕は一人で領国から立ち去り王国軍にこの首を差しだそうとした時に民から声が上がった。


「領主様!貴方様は誰よりも俺たちの為に尽くしてくれたのにそこまでしなくても構いません。むしろ、こんな時こそ普段の恩に答える時です。我々は戦います」


「そうですよ、どんな種族でもどんなに落ちぶれていてもまるで天使のように優しく迎え入れてくれて私達に平和と日常を与えてくれました。ならば今度は私達が領主様を救う番です!」


「貴族なんて自分達以外を道具としてみている中、貴方様は民たちの為に尽くしてくれました。ならば我々も民として領主様の危機に命を懸けて戦います。どうか号令を!!」



・・・あの〜、僕が一人死ぬだけで構わないのにここで多くの者たちが戦いに参加をしたら数え切れない人たちが死んでしまうと伝えても民たちは道具としてみていない貴族に支配をされるぐらいなら僕の為に死んだほうが良いとして義勇軍が集まってしまった。


しかも領民の半分ぐらいが義勇軍に参加をして大規模になってしまった。


それでも王国軍のほうが多いと思っていると教会からの使者で正義はあなた達にありますと教皇からのお染み付きと教会の軍勢から援軍も到着したのであった。


どうしてそこまでしてくれるのですかと尋ねると一人の少女が現れたのである。


その少女はかつて僕の領国で難病として流れ着いてから僕が日本で作られた薬、ペニシリンを作り上げて病を治した少女であった。


本当に美少女になったなと思っていたらなんとこの美少女こそこの世界の聖女であり教皇の孫娘だと言うのだ。


これはとどうして教会の精鋭部隊が送られてきたのか分かってしまった。


そうなると王国はと聞くと破門にして悪魔に取り憑かれた王国だとして各国に討伐するように依頼を出したと言うのだ。


あの〜、それって王国が滅びてしまいそうな気がするのですけどと伝えると聖女は当たり前ですよ、滅ぼすつもりなのですからと笑みで答えた。


怖いですけどこの聖女さん、滅茶苦茶に怖いことを平気な顔で発言をしたのですけど!?


前世の僕でもそんな事は言わなかったよ!?・・・まあ、小物だからそんな事も考えられないぐらいだっただけかもしれないけど。


それってこれから僕はどうなってしまうのでしょうかと尋ねると聖女さんがいっその事独立をしてみては如何でしょうかと提案をされたけど僕はそんな意志はないと伝えようとする前から民たちから歓喜の声で独立!独立!!と嬉しそうに叫んでいた。


皆さん、期待に答えるべきところなのかもしれませんが僕はそんな野心はありませんからね!!


何ですか!教会からお染み付きの建国書を貰ってきたって・・・いくら何でも準備が良すぎませんか。


聖女さん!貴方の根回しが良すぎて怖いですけど!!誰か僕の意見に賛成してくれる人はこの場にいますか!!

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