第46話 変化への動き

悠一がメールを返していっていると、日本国内のメインどころの放送局から、海外の放送局、新聞社やローカルなラジオまで色んなところから出演依頼がきていた。

残念ながら出演する気は無いので、丁重にお断りメールをしている中に、内閣府や外務省から次回の打ち合わせの予定を確認する為のメールがあった。

次回は開催出来るタイミングが合えばメールをしてほしいと書いてある。


悠一がメールを全て返し終わったのは、4日後だった。

メールを返している間も新しいメールが届いており、返信したメール件数は約500件ほどあった。

メールを返している時に謎があった。なぜマスコミは公開していないメールアドレスを知っているのか?

(マジで謎だわ……。)



沙月は訓練場で訓練をしていた。

今日は情報部の訓練(拷問?)を指揮していた。

「ほら〜、何やっている。情報部門でも体力は必要でしょう。遅いぞ!」

情報部の面々はひたすら訓練場の外周を走らされていた。(たかが20キロ程度)

ただ、最近運動不足な隊員が若干名おり、目標タイムをクリア出来ないものが複数いた。

この後も訓練メニューがあったがそれも完走した者から個別メニューに移行して実施していた。

(はぁ〜ちょっと〜なんでこんな距離でヘロヘロになってるの!!まだ模擬戦も出来てないし、私のフラストレーションがマックスになりますよ!!)

「卯花〜!」

「大隊長。お疲れ様です。」

指揮台の上で指示を出している沙月の下に立花がやってきた。

「お〜もうちょっとビシビシやってもよくないか?」

「やりたいんですが、体力なさすぎです。」

「そうか…、情報部の隊長にもうちょっと鍛えろと言っておくわ。あと、訓練終わったら、部屋に顔出してくれ。話しがある。」

「了解しました。訓練後出頭いたします。」

話しが終わるとすぐに立花は去って行った。


訓練を終え、沙月は大隊長室に出頭した。

「卯花です。失礼します。」

「お〜来たな。卯花、少し待っててくれ。」

「はい。」

「待たせたな……卯花、ちょっとめんどい仕事があるんだが……。」

「面倒な仕事ですか?」

「魔法を使える隊員を集めて魔法事案対応の即応隊を作ろうとする動きがあるんだが、それにな特戦群から魔法が使える者を先行して実験小隊を編成してほしいと依頼があってな。」

「あ〜確かに面倒な仕事ですね〜。」

「卯花、第1小隊ごと実験小隊に鞍替えしないか?」

「えっ………特戦群からそんなに隊員出して大丈夫なんですか?」

「大丈夫なわけ無いだろ……。ただ首相命令で防衛大臣がやる気なんだよな〜。」

「あ〜ご愁傷さまです。」

「その小隊、お前が責任者候補だぞ。」

「えっ、お断りします。」

「はえ〜な。」

「当たり前じゃないですか、もうすぐ除隊する予定ですよ?」

「除隊はまだ先だろ?それまででいいから受けない?」

「お断りしま〜す。」

「う〜ん、では魔法が使える者隊員で責任者出来そうなやつピックアップしてくれ。それなら出来るだろ?」

「わかりました。うちの小隊の班長陣が適任だと思いますが…。」

「そいつらも含めて何人かピックアップしてくれ。これ配属予定者のリストだ。」

「ちょっ!これ部外秘になってる資料じゃないですか!!」

「おう、そうだぞ。これで卯花も関係者だな。頼むぞ。」

「う〜〜。了解しました!失礼します。」


沙月は、1週間ほど隊員のリストを確認した後にちゃんと隊長候補をピックアップして、立花に報告をあげ、立花からさらに仕事を振られ、そのフラストレーションが隊員の訓練で消化され、隊員の悲鳴と練度が上がるのだった。



結は、魔法研究の一環で東京にある大学へ講演していた。

講演を終わると、なぜか内閣府のフローティア担当の大束が声をかけてきた。

「夏川さん。お久しぶりです。」

「えっと、大束さんでしたよね?」

「はい、大束です。夏川さんお話しがあるのですが、よろしいでしょうか?」

「はい?わたしにですか?」

結は大束と共に、喫茶店に入ると大束が話し始める。

「さっそくですが、現在政府で魔法や魔物関連の省庁を作ろうとする動きがありまして、これにご賛同いただける研究者の方や、著名な方へお声がけをさせていただいており、夏川先生にもぜひ御参加いただきたく思っております。」

「新しい省庁を作るのですか?」

「ええ、今は規模やどの程度を新設する省庁で管理するかを各省と調整しております。」

「そこで私は何をすればいいのですか?」

「夏川先生には、魔法研究をそのまま継続していただきたく構想しております。併せて遺伝子研究としても有名な先生ですから、魔法が使える者と使えない方の違いを検証していただきたい。」

「面白いお考えですね。」

「では、お願いできますか?」

「検討させていただきます。」

と言うと結は席を立ち、喫茶店を後にした。

(省庁の仕事とかは、期限とか制約多いから面倒ね。断りたいけどすぐに断ると角が立つから、2〜3日くらいしたらお断りの電話しとこう。)


3日後に、結は大束へ参加を断る電話を入れたのだが、参加は断ったが、別に仕事の依頼をされ、フラストレーションが溜まったが、解消に悠一が使われるのであった。



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