第38話 ギルドに行きます

書状をもらった次の日、悠一はクローディア(フローティア城の城下町)に来ていた。

(ここがギルドかぁ〜、両開きのデカい扉に窓はぶっとい格子戸が付いてるし、この建物は砦です。と言われても納得するわ〜。)

悠一はギルドの中に入り、案内と書いてあるカウンターに向かった。

「いらっしゃいませ、冒険者ギルドへようこそ。ご用件をお伺いします。」

「すいません。ギルドに登録をしたいのですが?」

「登録ですね………?すいませんが、ご年齢をお伺いしても良いですか?」

「?44歳ですが…。」

「失礼ですが、種族は人族ですよね?」

「そうです。」

「失礼ですが、ご年齢的にギルド登録しても大変かと思うのですが……。」

「あぁ、ギルドに登録してから魔物の資料を閲覧したいだけなのですが……。」

「あっ!なるほど。失礼しました。では、こちらの用紙にお名前と年齢、所属している町を書いていただけますか?」

(名前はユウイチっと、年齢44歳、一応クローディアにしておこう。)

「出来ました。よろしくお願いします。」

「はい。お預かりしますね。………ユウイチ様はお名前の前か後ろに呼び名や地区の名前、ご家族の名前などはつきませんか?」

「あ〜、後ろにサガラと付きますね。」

「では、ユウイチ・サガラ様で、登録しますね。」

「はい。」

「ユウイチ様、登録に血が少しだけ必要なのですが、少し指にキズをつけて血を出していただけますか?ご自身で難しいのであれば、わたくしの方で少しチクッとさせて頂きますが?」

「じゃあ、すいません。お願いしても良いですか?」

「はい。では手をお借りしますね………。」

悠一は左手をカウンター越しに、案内の女性の前に置くと、女性がナイフを手にして、少し動かすといつの間にか人差し指の指先が切れて血がにじみ出できた。

「ユウイチ様、こちらの用紙のこちらの四角の枠の中に血を着けていただけますか?」

「はい……これで大丈夫ですか?」

「はい。ありがとうございます。登録は以上になりますが、正式登録まで3日いただいております。ただ、資料の閲覧でしたら、今日はそのまま見ていただくことは可能です。明日以降は案内にてお伝えいただくか、登録した証明書あれば閲覧は可能になります。」

「分かりました。資料室に入っても良いですか?」

「はい、大丈夫です。資料などで気になるものがあれば、ご自身で用意した紙などに書き写していただいても大丈夫ですが、資料自体を持ち出す、資料を切って持ち出すことは禁止となっています。見つけましたら罰則がありますので、気を付けて下さい。」

「分かりました。」

悠一はギルドの2階に上がり資料室と案内された部屋に入った。

中に入ると本棚がたくさんあり、その中には蔵書がぎっしりと収められていた。

(おいおい、何冊あるの?1万冊は余裕でありそうだよな?ってか、俺今気づいたけど、ある程度の日常で使う単語はわかるけど……文章とか読めないや……。)

悠一は少しだけ資料室内を物色し、魔物等の資料を見つけたが、文章がやはり読めないため、諦めて部屋を後にし、後日分かる人と共に来館しようと決めた。

1階に降りると案内の女性から声をかけられた。

「あら?ユウイチ様、資料は見つかりました?」

「あ〜見つかりましたので、しっかり読むのは、また後日にしようと思いまして……。」

「そうですか、かしこまりました。来られましたらこちらに(案内)お越しください。」

「分かりました。失礼します。」

悠一はギルドを出て、城に戻っていった。


城に戻り、セレスの部屋に来た悠一は、部屋をノックしてから、部屋の中に入った。

「セレス、ただいま。」

「ユウイチ、おかえり〜♪ギルドどうだった?」

「無事登録出来たよ〜。」

「そう、良かった〜。資料の方は見つかった?」

「それなんだけど〜資料は見つけたけど………、読めなかった。」

「あちゃ〜、そうなんだ〜読む訓練する?それとも誰か連れて行く?」

「すぐにどうにかするのであれば…誰か連れて行くかな?けど、そんなに急がなくてもいいしな〜。」

「じゃあお勉強だね〜♪私が教えましょう♪」

「お手柔らかにお願いします。」

「大丈夫!手取り足取り教えるよ〜♪あっ、腰も使う?」

「は〜い、セレスはもう少し大人しくしてようね〜。」

「え〜、これ以上大人しくしてたら、運動不足で太っちゃうよ〜!」

「お医者様から、動いていいって言われたら、付き合うからさ?ね?」

「当たり前です〜ユウイチにはたっぷりと付き合ってもらうからね〜。」

「おっ…おう。」

「お勉強はどうしようか?」

「へっ?おべんきょう?……勉強ね…、勉強はまた今度でいいかな?」

「え〜!それ絶対にやらない人の逃げ文句じゃないかな?」

「いやいや……やるよ?やるけど、そろそろ日本に戻ろうかなって……。」

「じゃあ、ちょっと待ってて。」

セレスは部屋付きのメイドを呼び出し、何か指示を出していた。

「ユウイチ、今取りに行かせた本があるんだけど、それ持って帰って勉強してきて。」

「宿題!?まじで!」

「シュクダイ?なにそれ?」

「宿題っていうのは、今みたいに家に持って帰って勉強してきてって言うのを、宿題って言うんだよ。」

「へ〜、そんなのあるんだね〜。じゃあユウイチへのシュクダイだね。次来る時までにある程度は見ておいてね。」

「は〜い。わかりました〜。」

「よろしい。」

と言いながら、セレスは悠一にハグをしてきたが、いつものハグではなく、悠一の頭がセレスの胸に来るようにハグをしてきた。

「おふっ!」

(セレス、今日は部屋着だったけどノーブラなんだよな〜柔らかい中にもハリがあり、……ん?ハリすぎてる気が痛くないのかな?)

「セレス?胸大きくなった?」

「あっ、わかった?なんか最近大きくなったんだ〜。」

「痛くないの?」

「ちょっと痛いかな…。」

とやり取りしていると、扉をノックする音がして、扉からメイドさんが入ってきて、セレスに一言伝えながら、持ってきた本を差し出した。それをセレスが受け取り、表紙を確認して悠一に渡した。

「セレス、この本がそうなの?」

「そうだよ、それがシュクダイの本だよ。ちゃんと読んできてね。」

悠一が本の表紙を見ると書いている文字が分からず悩んでいると、

「ユウイチ、これね子供のための言語学習の本だよ。生まれてきた子供に少しずつ見せてあげて、言葉と中に書いてある物を覚えてもらうの。私もママやパパに読んでもらったんだ〜。」

「うん。わかった。これを読んで覚えてくるよ。」

悠一は帰る為の準備をして、ととのうとセレスとハグをし、別れのキスをして、部屋を後にした。



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