第32話 悠一怒られます。

「悠一さ〜ん、キリキリ吐いてください。」

「はい。私がやりました。」

「卯花三尉……すいません、事情聴取中ですので……。」

「すいませんでした〜。」

「では、相楽さん改めてお伺いしますが、犯人たちは全て相楽さんが倒したで間違いないですか?」

「はい。そうです。私がやりました。」

「では、どのように殺害したのですか?」

「えっと、エーテルを操作して濃くして気絶させるつもりが、倒れて動かなくなってしまいました。」

「つまり、殺すつもりは無く、気絶させようとして誤って殺害したということですね。分かりました。では、今聞いたことを供述調書きょうじゅつちょうしょとして作成しますので、少し待ってもらえますか?」

「分かりました。」

悠一は建物内で起きたことを警察に聞かれていた。立ち合いとして自衛隊から沙月と他2名が来ており、ピリっとした空気が流れる中で事情を聞かれていたが、場をなごませる………和ませようとした沙月のチャチャもありつつもすんなりと話しが進んでいっていた。

「相楽さん、お待たせしました。こちらを見ていただいてもいいですか?」

悠一は警察官から悠一が答えた内容を書き写した書面を見せられていた。

「書いてある内容を読みますので、違うと感じたことや意味合いが分からないとかありましたら、おっしゃっていただいても良いですか?」

「分かりました。」

「では、上から順番に行きますね。まず今日の日付、時間で、時間については推定時刻としてます。次が場所ですが、この建物の住所になります。この下が先ほど相楽さんから聞いた内容になります。犯人らに拉致され、殴られる、脅迫される等をされ、身の危険を感じ、身を守るために犯人を気絶させるためにエーテルの濃度を濃くしていったが誤って致死量のエーテルを犯人に浴びせてしまい殺害してしまった。で間違いないですか?」

「そうですね、間違いありません。」

「では、この内容で間違いありませんと言うことで、相楽さん、お手数ですが、こちらに署名と拇印で大丈夫ですので、押していただけますか?」

「はい…………、これでいいですか?」

「はい。ありがとうございます。警察の聴取はこれで終了になります。自衛隊さんは何かありますか?」

「うち(自衛隊)は、何かあれば出頭していただきますのでありませ〜ん。」

「では、相楽さん遅くまでお疲れ様でした。」

「はい。すいません、ありがとうございました。」

「では、悠一さ〜ん自宅おうちまで警護しますよ〜はやくいきますよ〜。」

と沙月が帰ろうと悠一を促す。


「なぁ…。」

「なんだ?」

「あれ…卯花隊長だよな?」

「そうだな…うちの小隊長だな…。なに?」

「あんなキャラだったっけ?」

「あ〜、隊長って身内の事になると結構あんなゆるい感じだぞ。」

「そうなのか……他の小隊にいたら、卯花隊長って高嶺の花っていうか、厳格な人だと思っていたぞ。」

周辺の警備をしていた他の小隊の隊員が悠一と沙月のやり取りを見てびっくりしていた。

「悠一さ〜ん、どうかしましたか?」

「いや、沙月って昔見たあの感じで仕事しているんだな〜って思ってね。」

「あ〜仕事柄のんびりとしていることが少ないですからね〜私としては結構厳格な隊長を出来ていると思いますよ〜。」

「そうか、あんまり無理したら駄目だよ。」

「大丈夫ですよ〜、ほどほどに頑張りますから〜、それにもうすぐ退役しますしね♪」

「そっか、結婚したら辞めるって言ってたね。」

「はい♪寿退役です♪……けど、それなのに〜悠一さんは〜無茶をしましたよね〜?」

「えっ?」

「一人で〜脱出しようなんて〜後先考えない無茶としか言えないです〜。」

「あっ………はい。」

「悠一さ〜ん、おうち帰ったら結さんと一緒にお説教です〜。」

「あの…沙月?もっ、もう遅いから帰ったら寝よ?ねっ?」

「だ〜めで〜す♪きょうは寝かせませ〜ん♪」

と沙月は悠一の片腕を両手で捕まえそのまま掻き抱くように包み込む。

(沙月さん!?あっスポブラだ〜柔らか!!説教は嫌だから逃げたいけどこれは……逃げれないな!!)

大人しく連れて行かれる悠一は沙月に連れられ自衛隊の車両に乗り込むと、そのまま車両は動きだし、自宅へと走り出した。

(沙月さ〜ん?さすがに車に乗ってまで逃げる気はないので、手を離していただいてもいいんじゃないですか?運転席と助手席の隊員さんの目が怖いんです。あと、微妙に腕キメられていませんか?ちょっと腕の感覚が怪しんですが!!お胸様の感触がわからないんです。もう少し緩めて!!)

車に乗り込んでからは沙月は喋らず悠一も緊張感のある車内の為、迂闊に話しかけられずにいたが、そんな状況の中でも車はどんどん進み高速道路に乗り、そして高速道路を降りる頃には悠一の腕の感覚は無くなっていて、運転席の隊員はたまにルームミラー越しに、助手席の隊員は後ろを確認する為に振り向き、その隊員たちの悠一をみる顔は般若の様な顔をしていた。

(ヤバい隊員さんの顔が超怖い……腕ヤバい……沙月しゃんお顔がちょっと怖い……どうしよう?早く帰りたい。怒られてもいいから早くおうちに着いて〜!!)

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