第31話 悠一無双

悠一はエーテルを封印するための結晶を身体から離すと、身体からエーテルが湧き出すのが分かった。

そのままエーテルをほんの少し放出すると、室内には濃厚なエーテルが充満し、周りに居た黒のコートを着た男性2人が倒れた。

倒れたのを確認して、ソファーに置いた結晶を手に取るとエーテルが身体から出なくなるのを感じながら、悠一は、結束バンドのような物を、身体強化の魔法を顕現させて引き千切った。

そのまま外に出ようかと思い周りを見回したが窓が無く出入口1つだけだった。

(絶対これ外に出ると鉢合わせるやつやん。ちょっとまてよ……結晶もう一回置いてっと、薄〜く、うす〜く、エーテルを少しだけ広げるようにソナーやレーダーみたいなのを意識して………居た……10人位いるな…なんとな〜くビルかなこれ?倉庫っぽいけど……倉庫かな?1階に車があるな。運転できないからどうでもいいや、とりあえず外に出るのは無理そうだな……仕方ない気絶でもしとぃ……??みんな倒れてるな………ヤバいやり過ぎたかな?)

悠一は広げていたエーテルの濃度を少しずつ上げていこうとしていたが、普通の人間には耐えれる濃度ではなかったようで、すでにビルの中にいた全員が倒れていた。

「……………よし、みんな倒れたな。さぁ、家探し家探し♪」

(さて、携帯とか持ってないかな?おっ?あったよ……PASSキー?わからん……緊急通報ボタン?押したら110番とかつながるかな?おっ、架かったよ。)

「はい、110番緊急ダイヤルです。事件ですか?事故ですか?」

「すいません、相楽悠一と言いますが、誘拐されてまして、保護をお願いしたいのですが……。」

「はい?誘拐ですか?ちょっと待ってくださいね。」

「はい。」

「相楽さん、お待たせしました。あなたが使っているスマホですが、電話番号が不明な上に位置情報も曖昧なのですが、貴方は今何処にいますか?」

「すいません、無理矢理連れてこられたので、場所が分かりません。あと、横浜駅の周辺に爆弾が仕掛けられてるみたいです。」

「何を、言っているんですか?誘拐の上に爆発物を仕掛けたですか?」

「仕掛けたのは誘拐犯のほうです。静岡県の市役所で発砲事件があったと思いますが、その際に誘拐されましたので確認していただければ分かります。」

「ちょっと待ってください………確認取れました。相楽さん本人でいいですか?」

「はい。相楽悠一本人です。」

「誘拐犯は今どうしてますか?」

「誘拐犯は建物の中にいる人は全員倒しました。」

「倒したんですか!?………えっと、失礼しました。爆発物は横浜駅の何処に仕掛けたか分かりますか?」

「横浜駅の何処かの入口を映した映像を見せられて、逆らえば爆破させると脅されていました。」

「分かりました。相楽さん、貴方の事を県警から国の方に連絡をしています。相楽さんにこちらから連絡できる手段がないのですが……、今お持ちの携帯はご自身の携帯ですか?」

「いや、これは犯人のポケットから拝借しました。緊急通報だけは出来たので使いました。」

「そうですか……、ちょっと待ってください………、相楽さん、いま国のほうで、貴方の救出をしようと動いているそうです。居場所は把握していると情報提供がありました。」

「そうなんですね。待っていればいいですかね?」

「そこはすいません、こちらも判断し難いですね。」

「そうなんですね。まぁ、待っておきます。その方が安全そうなので。」

「分かりました。国とは警察も連携しておりますので、状況が分かり次第伝えれますので、回線は切らずにこのままにしていただいても大丈夫ですか?」

「分かりました。このままにしておきます。」

少しすると、建物の中がざわざわしだした。

ざわざわした音が近づいてきて、悠一のいる部屋が静かに開けられ、

「対象発見。隊長に連絡。相楽さんお待たせしました陸上自衛隊です。」

「はい。ありがとうございます。」

と自衛隊の隊員さんと話していたら、誰かが走ってくる音がした。

「隊長。こちらです。」

と隊員が道を開けると沙月が走り込んできて、そのまま悠一に抱き着いてきた。

「悠一さん!無事で良かったです。」

「沙月……、沙月も無事で良かった。拘束されてたけど、なんともない?」

「あ〜そんなのすぐに引き千切りました。身体はなんともないですよ〜。」

「そうか、良かったよ。そうだ!爆弾が仕掛けられてるみたいなんだ!」

「えっ?ここにですか?」

「いや、横浜駅の何処かの出入口だと思うけど、言う事を聞かないと爆破させるぞって脅されてたんだ。」

「ちょっと待ってくださいね。」

と沙月がスマホを取り出し何かアプリを開いた。

「悠一さん、この写真見てもらえますか?」

「グー◯ルマップ?……横浜駅だね、………多分この辺りを撮っていたと思うよ。」

「わかりました。……誰か、警察に連絡!」

「あっ、沙月、このスマホで、今警察と繋がってる。」

「じゃあ、ちょっと失礼して、お疲れさまです。自衛隊の卯花三尉ともうします。………はい。………はい。相楽さんから伺った場所が、横浜駅の東口ですね。……そうです。ルミネ側の出口ですね。捜索をお願いできますか?はい。こちらからも爆発物処理の部隊を向かわせますが時間がかかりますので、すいませんが……はい、はい……よろしくお願いします。はい、失礼します。」

と沙月がスマホの通話を終えた。

「さあ、悠一さん外出ますよ〜。」

「あぁ〜何か色々ありすぎて、今日は疲れたよ……。」

悠一と沙月は建物の外に出ると、外は真っ暗だった。

「えっ?暗いね……今何時なの?」

「今、深夜1時ですね〜。」

「まじかぁ〜子供達寝てるよな〜。」

「ですね〜。悠一さんは今から事情聴取とか色々ありますから、寝かせませんよ〜♪」

「うえっ!?まじで…………まじかぁ〜、お手柔らかにお願いします。」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る