第27話 実験

使える魔法を見せてもらって、今日の本番である、いつもと違う魔法と違う種類の魔法が使えるかの実験を見ることになっている。


魔法について悠一も少しだけセレスに教えてもらっていた。

それは、属性については基本的に存在しないということだ。が、これには裏もある。使う人により使えると言うか使おうとする魔法は無意識的に、その人の持っている性格や性質、エーテルの質や量により左右されるということだ。先ほど顕現してもらった炎を見ても、ソフトボールサイズの炎や野球ボールサイズの炎、温度の違う炎とか違いが出てくる。


今日の実験については、フローティア王国からこの情報が伝わってるかわからないのだが、実験することに意義があるとの事なのでのんびり見ていくことにしている。

「さて、今日の実験の目的である皆の普段使える魔法以外を顕現できるか試してみることにしようか?各自で、いつも顕現している魔法以外を出せるか試してみよう。」

「「「「「はい。」」」」」

(さてとどんな感じになるのかな?)

悠一が見学していると小さな声で沙月が話しかけてきた。

「悠一さ〜ん。」

「どうしたの、沙月?」

「風の魔法って普通に皆さん意識しなくても出せますよね?」

「?、どういう事?」

「昔の実験でセレスちゃんやマールスさんも普通に使ってましたよ?」

「昔の実験?それって東北の砂漠みたいな実験場でやったやつ?」

「そうですよ〜。」

「あの時ってセレスは水の魔法で、マールスさんは火だったよね?風を使ってたっけ?」

「悠一さん、魔法打ち出す時のイメージする時に手から自然と発射されたりするイメージ無いですか〜?」

「投げるとかじゃなくて、手を前に突き出した状態で、その手から魔法が出るとか?」

「そう、それです。その時魔法を目標に進ませるのは風とか発生させてますよ?誘導出来る魔法とかなら魔法自体に進む事が出来るみたいですが、真っ直ぐに飛ばすくらいなら風で飛ばすのが手っ取り早くて簡単です♪」

「確かに……風魔法使ってるのかな?ちなみに沙月は飛ばせるの?」

「多少は飛ばせますよ〜。ただ、私も肉体強化とか近接戦特化なんで、飛ばすとかはあんまりですね〜。」

「沙月、これってみんな知ってる情報?」

「部隊の中では普通に知られてましたが、どうですかね?研究してる方のほうがよく知っている感じはしますが……。」

「そうなんだ……。ちなみに何だけど沙月は火とか水とか使えるの?」

「メインは火ですが、水や風とか大体は使えますよ〜。ただ、私みたいにマルチに使えるのは珍しいですね〜。」

「沙月すごいね〜。」

「ウフフ♪私すごいんですよ〜♪」

「そんな沙月さんから見て、この子達はどんな感じですかね?」

「ゆる〜い感じなので、はっきりとは言えませんが、頑張ってると思いますよ?」

「そうか……ちなみに沙月、ちょっとした助言というか実演してあげるのは駄目かな?」

「う〜ん……駄目ではないんですが、頑張ってるのに部外者の私が出ても良いのかな〜?って思いますね〜。」

「そういうものかな……、まぁそうだよな……よし、のんびり見てようか?」

「それでいいと思いますよ〜♪」

悠一と沙月がのんびり見学する中、松岡所長がスタッフに声をかけながら回っていき、少しすると悠一と沙月の所にもやってきた。

「相楽君、どうかな?見ていて何か気づいた事とか無いかな?」

「そうですね〜初めてこういった実験に参加させてもらいましたから、無いといいたいのですが……。」

「まぁそうだよね〜。」

「松岡所長。スタッフさんたちはどんな感じですか?」

「それがね、火の魔法を使える子達は水や風の魔法を使える子に聞いたり聞かれたりしてコミュニケーションとしては成功なんだけど、実験としては微妙だね。」

「そうなんですね。私も魔法が顕現できればよかったのですが、エーテルしか扱えないので、参考にならないので申し訳ないです。」

「そこはね、私から誘ったのだから、気にしなくていいよ。さて、そろそろ実験もお開きにしようか?」

「もうですか?」

「あんまり時間をとりすぎてもね……みんな他の研究や仕事をしているしね。」

「まぁ、そうですよね〜。仕事あるのなら、そうなりますよね。」

消化不良な実験となったが、今日の実験は終了となった。

悠一は少し挨拶をして、部屋を後にしセンターゲート内の結の部屋(兼 悠一の泊まっていた部屋)に戻ってきた。


「ただいま〜。」

「あら?悠一と沙月もう終わったの?」

「うん、終わったよ。」

「私もう少しかかるから、先に子供達迎えに行ってもらっても良いかな?」

「オッケー、行ってくるよ。沙月行こう。」

「は〜い♪じゃあ、結さん先に帰りますね〜。」

「あっ!沙月、ごめんお米買ってきて〜。」

「りょうかいで〜す。ほかに何か買う物ありました?」

「う〜ん、買うものなかったと思うけど、悠一、何か食べたいものある?」

「う〜ん……心と美月に聞いてもいい?」

「悠一の好きな物でいいのに……じゃあ、沙月それで今日の夕ご飯よろしく〜。」

「は〜い♪お任せ下さい。」

「じゃあ、結また後で。」

「うん。気をつけてね。」

悠一と沙月はセンターゲートを後にし、子供を迎えに行った。

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