第26話 魔法
「あ〜美月〜そのままでちゃだめ〜」
と結が声を上げたと思ったら、美月がびしょびしょのままでリビングに現れた。
「あ〜美月ちゃん、裸のままで出てきちゃったの?」
と沙月が美月を捕まえて確認するとコクンと頷いていた。
少しするとバスタオルを身体に巻いた結が来て、手に持っているバスタオルを沙月に渡しお風呂場に戻っていった。
「悠一さ〜ん、美月ちゃん捕まえておくので、身体拭いてもらってもいいですか〜?」
「はい、は〜い。」と悠一が美月の身体をバスタオルで拭いていくとある程度拭くと沙月は服がびしょびしょになっていて、
「悠一さ〜ん、美月ちゃんの髪乾かしに洗面所に行ってきますね〜。」
と美月を抱いて、洗面所に行った。
(沙月びしょびしょになったらブラウスがスケスケだな〜キャミソールっぽいの付けてるから中は見えませんか……ザンネン。)
入れ替わりで結がリビングにやってきたが、先程のバスタオルを巻いた姿ではなく、Tシャツにハーフパンツを着ていた。
「ふ〜、悠一さっきはごめんね〜、心拭いてたら美月ちゃんが脱走してた。」
「いつも大変だよな〜お疲れ様です。」
「いつも楽しいから良いわよ♪」
「あれ?心は?」
「沙月が美月の髪乾かしに来たから、そのまま心の髪乾かすをお願いして、こっち来たのよ。」
「そっか〜結は髪乾かさなくてもいいの?」
「私は髪そんなに長くないからあまり気にして無いわよ。」
「え〜結は髪サラサラだからちゃんとケアしてるものだと思ってた。」
「そっそう?私も髪ちゃんと乾かしてくるわ。」
「そう?いってらっしゃい。」
少しすると結が美月と心を連れて戻ってきた。
「悠一、沙月がお風呂入るから一緒に入ろうって。」
「うん。わかった〜。」
「悠一、明日は私と入るの予約ね。」
「おう。」
沙月と仲良くお風呂に入りさっぱり(しっぽりはなし)して、リビングに戻ると、テレビを見ている結と結の左右でウトウトとしている美月と心がいた。
「美月と心はおねむかな?」
「そうね。寝る時間だけどパパが出てくるまで待ってるってさ……パパどうする?」
「嬉しいけど、どうしたらいい?」
「今日は一緒に寝てあげるとか?」
「押し潰さないか怖いんだけど……。」
「そこはこれから慣れてね。」
「うん。どこで寝ればいい?」
「ここに来た時から使ってるベッドで良いわよ。私達も一緒に寝るしね、ねっ沙月。」
「は〜い、今日からみんなで寝ましょ〜♪」
結が心を抱き、沙月が美月を抱き上げ悠一がリビングの照明を消して、皆で寝室に入り、ベッドで川の字になって眠りについた。
(生きていて良かった……四十代になって、子供と一緒に寝れるなんて、想像も出来なかった……子供のためなら頑張れるとか言ってる人とかの気持ちが分かるわ〜。)
次の日の朝、悠一が目が覚めると子供達に見つめられていた。
(えっ?何この状況………)
「おはよう。」
と悠一が言うと、子供達はベッドから降りて、リビングに行き大声で
「「パパ起きたよ〜。」」
と結と沙月に知らせていた。
悠一が起きてリビングに行くと、
「「おはようございます(〜)」」
と結と沙月が出迎えてくれた。
悠一はそのまま食卓に案内されると、そこには朝ごはんを用意してくれていた。
「悠一さ〜ん、早く座ってくださ〜い。」
「うん。」
「じゃあいただきましょう」
「「「「「いただきま(〜)す。」」」」」
朝ごはんを食べ、子供達を保育園に連れて行く時間になり、家族みんなで家から出かけた。
保育園に到着し、美月と心は元気に登園していった。
その後、悠一と沙月、結はセンターゲートに向かい、結は仕事に行き、悠一は魔法の実験に参加、沙月は悠一の護衛として付き添っていた。
実験を行う部屋に着くと、
「おはよう、相楽くん、卯花くん」
「おはようございます。松岡所長。」
と松岡所長が入口で待っていた。
「松岡所長、今日はよろしくお願いします。」
「まぁ今日は、のんびりとした実験だから相楽くんものんびり見ておいてよ。」
と言いながら中へ案内されると、中には5人のスタッフさんが壁際に置かれた椅子に座り待機している。
悠一は、そのスタッフ達に近寄り挨拶をしていく。
(若いな〜みんな20代位だよな?)
「皆さん、お待たせしました。お知らせした通り、今日の実験を見学する相楽君だ。女性の方は相楽君の警護の隊員さんです。」
「おはようございます。」
「「「「「おはようございま(ちゅ)す。」」」」」
(誰か噛んだな……)
「今日、見学させていただく相楽です。よろしくお願いします。」
「「「「「よろしくお願いしま(〜)す。」」」」」
「では、今日は見学する相楽君に皆の練習の成果である魔法を少し見てもらうことにしようか?」
「「「「「はい。」」」」」
「一人ずつお願いしようかな。じゃあ
「はい。いきます。ほのおよ!」
と霧岡君と呼ばれた5人の中では1番年上っぽい20代後半位の男性が手のひらを上にし、その上にソフトボール位の炎を顕現させた。
「はい。ありがとう霧岡君。次は
「はい。炎よ!」
次は新田君と呼ばれた男性が同じく手のひらの上に炎を顕現させたが、野球のボール位の大きさであった。
「はい。新田君ありがとう。次は
「はい。見えないかも知れませんが、風よ。」
次の山田君と呼ばれた男性が手のひらに風を出したようだが、見えないが風が吹いたので顕現していることがわかった。
「はい。確かに風が出ていたね。山田君ありがとう。次は
「は〜い。炎よ。」
次は吉田さんと呼ばれた女性で、手のひらの上に新田君と同じく野球ボール位の炎を顕現したが、炎の色が少し赤色が薄い感じがした。
「はい。吉田さんありがとう。最後は
「はい。みじゅ……みずよ。」
(さっき噛んでたのこの子かな?)
最後の飯田さんと呼ばれた女性は、指の先に拳位の大きさの水を顕現させていた。
「はい。飯田さんありがとう。全員の見たわけだが、相楽君どうかな?」
「あ〜そうですね〜。皆さんありがとうございます。実際に魔法を顕現しているのを見れて大変嬉しく思います。これから、別種の魔法に挑戦するとの事で、そちらも大変興味があります。是非良い結果を出せるように頑張ってください。」
と悠一が感想と今日の実験に対する事を話すと松岡所長とスタッフから拍手をもらい、本来の実験に進んでいった。
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