第23話 グチャグチャ

午後になり、結は仕事に戻り、悠一はのんびりしていると、結が何故か戻ってきた。

「悠一、戸籍課から連絡あって本人確認終わったって!家に帰れるわよ。」

「あっ、そうなの?帰れるんだ、早かったね!」

「一応戸籍課から、マイナンバーカード作ってって、顔写真付きの身分証明書無いと何かと不自由ですよねって、悠一免許証無いしね。」

「あ〜そうだね。マイナンバーカード作っといて損はないか……そうだよな〜免許失効したし。」

「また手続き行きたいのなら一緒に行くからまた予定立てましょう。それだけだから戻るわね。」

「ああ、結ありがとうな。」

結は仕事に戻っていった。


その後30分ほど経った時に沙月がやってきた。

「悠一さ〜ん、あれ?結さんは?」

「沙月、お疲れ様。結は仕事で離れているよ。」

「そうなんですか〜。ていっ!」

と沙月がベッドに飛び込んできて、そのまま悠一の太ももの上に頭を乗せて撫でろと言わんばかりにスリスリしてきた。

「どうした?沙月?」

「隊員が怪我させてしまって、すごく落ち込んでます。」

沙月の話を聞きながら、沙月の頭を撫でていた。

「隊員さんは大丈夫なの?」

「うちの小隊は1人が重体で8人が重軽傷でした……。」

「うちのって事は他にも怪我した人とかいるの?」

「はい……。テレビつけてもらっても良いですか?」

「うん、つけたよ。」

「どこかでワイドショーとかやってないですか?」

「ちょっと待って……これかな?自衛隊員2人死亡、負傷者多数、魔物による襲撃……まじか……。」

「マジなんです。さっき病院にお見舞いしてきたんですが、隊員のお母さんと会って話しをしたら………美月や、心くんの顔がチラついて自分の子供がこんなことになるなんて……って思って怖いんです。」

「そっか……こわいよな、俺も沙月と結が撃たれた時は真っ白になったもんな……。」

「悠一さん……私も悠一さんや結さんが怪我をするのは見たくないです。だから……無茶とかはしないでくださいね?」

「無茶はしないかな?沙月や結にセレス、美月に心の為なら多少の無理はするけどね。」

「多いですね……。」

「多いよな…これも沙月たちと出会えたからかな?昔はそんな事無くて一人で何とかしたり、抱え込んだり、一人で野垂れ死んでいくんだろうな〜って思ってたし……。沙月と……結にも出会えたことに感謝してるよ。」

「そういう時は私の名前だけ呼んで欲しかったです〜。……あとこんなシリアスな話ししてる時に私の胸をまさぐるのはやめてもらえるとよりシリアスで私泣いていましたよ〜。」

「胸触ってるの俺じゃ無いぞ…。」

「じゃあ、この手は……って結さん!?いつから居たんですか!?」

「さっき入ってきたけど、案外気づかないものね。悠一に甘えてるの見て私も甘えたくなっちゃった。」

結は悠一の背中にもたれ悠一の肩越しに頭を出して悠一に頭を撫でられながら、片手で沙月の胸を揉んでいた。

「結、仕事は?」

「仕事……あっそうだ沙月、熊の魔物こっちに来たけど、なんであんなグチャグチャになってるの?」

「あ〜戦車弾当てた親玉ですね。小銃の7.62ミリ弾が効かなかったみたいで、対戦車弾当てて駆除しました。」

「そうなの?う〜ん……そんなに硬い感じではなかったけど……まぁ調べて見たら分かるかな?」

「硬い感じがしなかった?ですか……結さん、その熊って見ても良いですか?」

「問題無いわよ、今から行く?」

「う〜ん、名残惜しいですが、行きましょう。」

「悠一も見る?」

「見ても大丈夫なの?」

「悠一なら問題無いわよ。」

「あっそうだ、悠一さ〜ん上司からその熊に対してフローティアでの対応どうしてたか聞いてこいって言われてました。」

「じゃあ、熊を見てからフローティアに行って聞いてくるよ。」

「では、行きましょう。」

3人で退室し、熊が安置されている部屋へ結が連れて行ってくれた。


「これ……確かにグチャグチャですね〜。」

「悠一、大丈夫?気持ち悪かったらすぐに言ってね。」

「いや〜すごい、見事に上半分無くなってるな〜。」

「沙月、この熊ほんとに銃弾弾いたの?柔らかい気がするんだけど……。」

「そのはずですが…、試しに切ってみても良いですか?」

「そういえば、試してなかったわ………切って良し。」

「どこ切っていいですか?」

「じゃあ、この足の所切ってみて。」

「は〜い、いきます。」

沙月が火の魔法を手に顕現させ、手刀の形にして、熊の右足首をスッパっと綺麗に切れた。

「結さ〜ん、この熊確かに柔らかいですね。銃弾どうやって弾いたのでしょう?」

「でしょ!やっぱり柔らかいよね。これだけ柔らかかったら銃弾通るわよね……。」

「なぁ、沙月……この熊、魔法使って硬くしてたんじゃないかな?沙月も身体強化したら硬くなったり出来ない?」

「たしかに身体強化すれば可能ですが、魔物にそんなことが……出来ないわけではないです…ね。」

「まぁ、その部分もフローティア王国に行って聞いてくるよ。多分身体強化とか魔法使う魔物いるとは思うよ。」

「そうですよね〜人が出来るものを動物が出来ないとは言えないですよね〜。」

「悠一いつ行くの?」

「すぐに!と言いたいけど、よく考えたら今から行っても向こうに着いたら夜だよな〜?それなら明日行くことにしたいけど、それならそれで松岡所長に魔法の実験の日程確認してからなんだよな。」

「分かったわ、行く時間わかったら教えてね。」

「悠一さ〜ん。私も行きますから、教えてくださいね〜。」

「あ〜りょうかい。」

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