第19話 打ち合わせ

次の日になり、午前は外務省と午後は内閣府と外務省との打ち合わせなっている。

午前の外務省との話し合いの内容は正式にフローティア王国と日本に国交を樹立するための事前打ち合わせだ。

以前からマールスさんやセレスが話し合いの場を使い国交の打ち合わせをしていたが、言葉の壁にぶち当たりなかなか進まないとの事で、悠一が正式に外交担当として就任した事により、言葉の壁無しに交渉出来る事になり、日本としても渡りに船との事で、去年あたりから沙月にアポを求めていたらしいので、センターゲートでならと打診した所、最速の予定をと外務省から言ってきたらしい。

外務省として……と言うより日本としては、魔法技術の最先進国としてフローティア王国を位置づけをしているらしく、魔法が使えるようになった事で日本は地球の中でも魔法先進国となりたいと考えているらしい。

その為にも国交を樹立して、魔法を使えるフローティアと色々なやり取りを目標としているそうだ。


午前に先に外務省と打ち合わせをして、午後から外務省とタッグを組んで内閣府と打ち合わせをすることになった。

外務省の担当は前田さんと言う悠一と同世代の男性で前は東南アジア圏の外交担当をしていたそうで、フローティア王国とは今回から担当をしてくれるそうだ。

打ち合わせはセンターゲート内の会議室を借りて行う事になった。

「はじめまして、相楽さん、私は外務省のフローティア王国担当をしております前田と申します、よろしくお願いいたします。私としては早期にフローティア王国との国交を樹立したく、是非相楽さんと仲良くさせていただきたく。」

「はじめまして、相楽と申します。フローティア王国の外交担当をしております。よろしくお願いします前田さん。」

と二人は挨拶し、握手をして、打ち合わせを始める。

「日本としても相楽さんが戻ってきてくれて良かったです。昨年からアポをそちらの卯花さんにお願いしていてもなかなか叶わなかったので、大変喜ばしいです。」

「いや〜すいません。卯花さんからは聞いていたのですが、外交担当としてフローティア王国の言語を覚えるのに王国に留学という形で、滞在してまして、ようやく王国から担当として問題無いとお墨付きを貰い戻ってこれたというわけなんですよ〜。」

(さすがに自身で封印してましたは訳わかんないもんな〜。良かったセレスと理由を考えておいて……。)

「そうだったのですね〜。」

「では、国交を樹立するための事前打ち合わせを開始しましょう。」

「よろしくお願いします。」

「フローティア王国としては特に日本への要望は無いですね。」

「へっ?無いのですか?」

「無いですね。国交を樹立し渡航出来るようになればとは思いますが、あくまでも少数なら渡航可能位で考えております。」

「そうですか……フローティア王国としては、あまり変化を求めないという認識でよろしいでしょうか?」

「そうですね。その認識で問題ありません。これは国王様よりも厳命されている事ですので、ご了承ください。」

「わかりました。日本というか、外務省としては、魔法技術や魔獣対策への技術供与を求めます。」

「それは、日本の総意では無く、外務省としての要望ですか?……では日本の要望は?」

「はい……技術の供与以外に資源の取り引きをしたいとのことですが、何か資源として取り引き出来るものはありますか?」

「資源については、あまり取引したくないと言うのが、フローティア王国の考えになります。」

「それはどうしてでしょうか?」

「フローティア王国としては、限りある資源を有効に使用する為、他国への輸出等はほとんど行わないとしておりますので、そこはご了承ください。」

「そうなんですか……あまりと言う事は少量であればご対応していただけると言うことですね?このお話しは今後も話し合いを進めていく事にします。」

「ちなみになんですが、取引や供与した際の対価は何でしょうか?」

「それは日本の円、もしくは日本の持つ技術供与等になります。」

「日本の円を持っても、フローティア王国では使えないですね。意味の無いものを頂いても対価にはなりませんね。日本の技術についても同様に使えないのであれば意味の無い取引ですね。」

「そっ、そうですか……ではフローティア王国としては対価に何を求められますか?」

「対価というより、日本に求める物は特に無いですね。失礼、無いと言うより王国が必要としている物が無いと言ったほうが正確ですね。」

「必要としているものが無いですか?」

「そうです。フローティア王国としては王国内で必要な物資は全て完結しておりますので、日本に求める物は無いんですよ。」

「そうですか……困りましたね……。」

「そこは、話し合いをしていきながら何か有りましたらその都度お伝えしますね。」

「それでよろしくお願いします。」

(あ〜良かった。国王様と王妃様の鬼の様なレクチャーで国政や交渉の真似事を覚えさせられていて、何とかなった。)

「相楽さん、午後からの内閣府の担当官も来ますので、そちらには私も先程伝えられた事をお伝えできると思いますので、宜しくお願いします。」

「わかりました。前田さん、こちらこそよろしくお願いします。」



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