第14話 パパ(相楽悠一)

(なんだろう?いきなり2歳の子の父親と言われた……。嬉しいのか、びっくりなのか、悲しいのか、色々な感情が心の中に渦巻いている……。沙月の娘の美月、結の子のじん

美月と心は、俺が親とは聞いたことがあるそうだが、やはりまだ2歳と言うことで理解はできてなかったみたいで、パパっていう知らないおじさんと言う感じで受け取ったらしい。たしかに俺が子供の時にそんな事言われても、知らない人と思ってしまうのは仕方がないと思う。けど……、今ならおれの子供だと断言出来る。顔は沙月と結の顔にすごく似ていて二人共可愛い。男のじんに言うとすねそうだが、少しおれの顔にも似ている所もある。なぜだか子供達も母親の後ろから顔を出して、ずっとおれを見ている。)

「悠一さん………、そろそろ四つん這いの体勢から変えてもらっても良いですか?」

悠一は、子供たちの素朴な「パパって何?」と言う言葉に打ちのめされ、四つん這いのまま考え事をしていた。

「ユウイチ?大丈夫?少し休む?」

「セレスありがとうな。大丈夫だよ。心くんに美月ちゃん。」

「「はい。」」と二人は母親の後ろから顔だけ出して返事をしてくれた。

「パパって言うのはね、う〜ん………。何だろうね………?」

と言うと子供達は首をコテンと横に向けてから、ママの顔を見ている。(ウチの子たち可愛いな。)

「あの〜結?パパってどう説明すればいいの??」

「えっ?それは…………もうちょっとしたら自然とわかるんじゃないかな?」

「今ならどう説明すれば良いの??」

「え〜っと…沙月、パス」

「えっ?私ですか〜?う〜ん。悠一さ〜ん、えい!」と言うと美月をその場に残して、俺に抱き着いてきた。

「美月ちゃん、心くん、パパはね、ママや結ママと大好き同士で、沙月ママと悠一パパの子供が美月ちゃんで、結ママと悠一パパの子供が心くんなんですよ〜。だから……。」と俺から離れて美月ちゃんに近づいていき抱き上げて、俺の方に連れてきて、そのまま抱けと言わんばかりに手渡してきたので、俺は美月ちゃんを抱き上げた。

俺も美月ちゃんも抱き上げた時は、二人が共に不思議な感覚で頭に???が浮かんでいそうな顔をしていたが、20秒ほどすると、美月ちゃんは安心したのか俺の首に手を回して身体をぎゅっと抱きついてきた。

それを見た沙月は俺の服の袖を握り泣き笑いの顔で微笑んできた。

その光景を目にして来たのかは分からないが、心くんも俺の足元に近づいてきていて、抱っこをしてほしそうに両手を俺に上げている。

幸い美月ちゃんを抱き上げているが片手でも抱っこできる重さなので、そのまま心くんも空けた左手で抱き上げた。心くんも抱き上げた時に近くで目を見つめ合うと周りを見渡し、結を見つけると左手を振り、右手は俺の服を掴んでいた。結もそれを見て両手で目元と口を隠すように覆い涙を流していた。

セレスは…………スマホで俺と子供達を撮っていた。それも気配を消すかのごとくスッと移動してはパシャりスッと移動してはパシャりと撮影をしていて感極まっている沙月と結は気づかず、子供達は自分の視覚に入るとセレスと手を振ったり目線をカメラに向けていた。

サートゥルヌスとオプスルアもメイド長ですら涙を拭っているこの状況で、セレスが地味に凄かった。


そして、少しすると沙月と結も子供達が恋しくなったのか、俺の手から自分たちの下に抱き上げようとしていたが、心くんはすんなり離れ結に抱きついたが、美月ちゃんはなかなか離れようとしてくれず、離れたと思うと沙月の胸の谷間でジタバタしていた。(なにそれウラヤマシイ……)

子供達が離れると何か肩が軽くなり過ぎてもう一度抱き上げたいと思ってしまう事に不思議と思いつつ、子供に受け入れられたような気がするし、安心した。そして、涙を拭っていたサートゥルヌスから声をかけられた。

「それでユウイチよ、今後のことだが………、日本政府の者とも話をしてもらわなければならない。」

「………と、言いますと?」

「君は3年間程、日本から所在不明として取り扱われておる。それについては裏では我が国に滞在しているとは内通しておるがな、異世界の国に滞在していることがなんせ初だったのでな……。今はサツキやユイ、ミツキとジンもこちらに来られるように便宜を日本が図っているのだがな、あくまでも今はだからな……ましてやいつ日本に戻るかわからんかったユウイチについては、別の話となっておってのう。」

「まぁ、そうなりますよね。」

「そのことでしたら〜、私の方で何かとできますので〜安心をしてください〜。」

「沙月大丈夫なの?」

「それは大船に乗ってるくらい安心してください〜。内閣府からも去年あたりから戻ってきた時の事について打診はありましたので〜それを進めようと思います〜。」

「そうか……、ではそれはサツキに任せておればいいとして、ユウイチよ……おぬしさえ良ければ、またフローティア王国の外交担当として雇われてみないかな?」

「いいんですか?色々とご迷惑をおかけしてますが……。」

「かまわんよ〜。可愛い孫が出来て大変喜ばしいことも増えたしのう。」

「美月と心のことですか?」

「そうじゃよ………。あと、うちの大事な愛娘セレスを傷物にした責任は取ってもらわないとなぁ〜」

サートゥルヌスがヌルっと立ち上がり、右のてのひらからブ~ンと音が聞こえた気がするライトセーバーが登場した。

(あっそうだよな〜1回切られとこうかな?)

「はい。責任はもちろん取らせていただきます。」

「「「それは結婚するという事で良いですね?」」」

「それはもちろん!!…………ん?」

「「「イエ〜イ」」」そこにはハイタッチしている、セレスと沙月と結が居て、サートゥルヌスはライトセーバーを振り上げたまま、硬直していた。

「国王様……、俺切っときます?」

「いや……、今やると総批判を浴びそうだな………。ユウイチ苦労するが、頑張りたまえ。」

「やばい時は相談に来ます。」

「結婚ともなると色々と準備も必要だのう。」

「あなた、結婚の式とかは私の方で準備をしますので、あなたはユウイチさんとのんびりしておいてください。」

とオプスルアがそっとたしなめてきた。

「おっ、そうか……では頼むとしよう。ユウイチもよいな?」

「はい。わかりました。」

「セレスとユイとサツキは、式の段取りとかの話をしましょうか?」

「「「はい。」」」

「心くんと美月ちゃんは、パパとおじいちゃんの所にいてね〜。」

「「は〜い」」と心はサートゥルヌスの所に走り、美月は俺の所に走って来てそのまま足に飛びついてきた。

「おじいちゃん、さっきのあれ剣のやつだして〜!!」

「これかの?危ないから触ってはいかんぞ〜。」とサートゥルヌスは先程の般若のような顔からニコニコとした顔になり心にライトセーバーを見せだした。

美月は「パパ〜、抱っこ」と言うので

「はいよっと。」とすぐに抱きかかえると抱きついてそのままのんびりとしていた。





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