第10話 再会

悠一とオプスルアが対談した次の日、再びオプスルアは神殿の中の悠一のいる場所へ足を運んだ。但し、今回は両手に荷物を持ってきていた。

片方の手にはパンや飲み物などの食事の入ったバスケット、もう片方は布を持っている。

「ユウイチさん。おはようございます。って、もう昼ですが、起きてますか?」

「おはようございます。王妃様。もう一日経ったのですね……。」

「ええ、と言うわけでおひるご飯にしましょう。いきなり味の濃い物はお腹にきついと思いましたので、普通のパンと水にしました。」

「………昨日のお話しの件は?」

「ご飯食べてからでいいです。あと、ユウイチさん、これを着てもらってもいいかな?」

「これは?」

「身体に巻くタイプの服ね。ユウイチさんいつまでも全裸のままでは、私も落ち着きませんので、着てくれると助かるんだけど?」

そう言いながらオプスルアはユウイチの股間を注視した。

「おお……すいません。すぐに着ます。」

悠一はすぐに身体に布を巻きつけたが渡された服の着方がわからず、オプスルアに手伝ってもらいながら服を着た。

それからは、落ち着いて座り3年振りの食事を食べて、それをオプスルアが食べ終わるまでのんびりと見ていた。


「では、ユウイチさん。」

「はい。ここを出ます。」

「あら?即答?」

「はい。沙月、結、セレスに会いたいし、身体も制御は出来ていると思います。あんなことは二度と起こさない様に、セレスからもらった封印の石もあります。………けど、3年程度で贖罪しょくざいとは、言えないと思ってもいます。そこは、これからの人生もごうを背負っていかなければいけないと思ってます。」

「そう。では、その気持ちは忘れないようにしてくださいね。その気持ちがあるのなら、私からは何も言う事はありません。」

「ありがとうございます。」

「あと、セレスたちに会うのは少し日を調整させてね。あと、その身体洗わないとね。食事もちゃんとした物を食べれるまでは回復させないと、髪とか身なりもちゃんとしましょう。」

「あぁ〜はい。何から何までお手数をおかけします。」

話しているうちにオプスルアは、結界を解除する準備をしており、悠一が動けるのを確認すると、結界を解除した。

そうすると結界の中と外の空気が気圧差等で入れ替わるように悠一の周りにも風が吹き、近くの木々の匂い等で、外に出て来たと言う感覚が実感出来た。

そのままオプスルアに案内され、彼女が乗ってきた車に乗せられて、城に向かった。


城に到着し、まずは侍従長と呼ばれている男性に案内され、お風呂に連れて行かれ、そこにいたお風呂係と呼ばれるメイド5名に身体を好き放題に洗われ、ヒゲ剃られと髪を短髪に整えられてメイド達が納得した所で、身体を拭かれ髪を整えられ、また侍従長に案内され、医師の下に案内され身体検査を受け、それが終わると窓の外は暗くなっており、次は今日寝るための部屋に案内してもらい、そこで夕食を食べてそのまま就寝するようにつげられた。


次の日からは、侍従長より部屋の中で過ごすように指示をされ、何があっても外に出ない、窓の外を見ない事、エーテルを使う事、瞑想等をしない事を厳命されて、暇な1日を過ごす事になったが部屋付きのメイドさん(アメルダさん)が話し相手となってくれており、軽いストレッチ等は手伝ってくれたりした為、暇なと言うよりは丁度いい1日の使い方をさせてくれていた。


そうして部屋に4日間缶詰にされ、5日目にサートゥルヌスとオプスルアが2人で部屋にやってきた。

「ユウイチよ。息災であったか?」

「はい、国王様。お久しぶりです。元気にしております。」

「そうか………。この3年間に起きたことやサツキやユイの事は、何か聞いておるのかな?」

「封印していただいた後の事は、全く聞いておりません。」

「そうか………楽しみにしておれ。」

「はぁ…。」

「今日の予定じゃが、3人に会ってもらおうと思うのじゃが、ユウイチは問題なかろう?」

「………はい。よろしくお願いします。」

「ルアよ?」

「はい、あなた……………?」

サートゥルヌスとオプスルアが俺の顔を見ながらヒソヒソとなにかを確認している。

オプスルアがこちらに向いて

「ユウイチさん……今おいくつだったかしら?」

「44歳だったと……思います。」

「そうなのね……ユウイチさんって若く見られることがあるのかしら?」

「40歳を過ぎてからは大体年相応か30代後半とは言われたりしてましたが……。」

「そう…、ユウイチさんもだけど、ユイとサツキも年齢に比べて若く見えるものなのね……(うらやましい!)」

「そういえば日本人って、顔の作りが薄いからか他国の方より若く見られがちな所はありますね。」

「あっ……そうなのね……。ごめんなさいね。変なこと聞いて。ユイとサツキが昼には到着するから、その時に迎えを寄越しますね。」

「わかりました。国王様、王妃様。ありがとうございます。」

悠一が頭を下げてお礼をいうと、サートゥルヌスは手をひらひらさせながら退室し、それに続いてオプスルアも静かに退室していった。


少しして侍従長が呼びに来てくれた。

侍従長の後ろに付いていくと、ある部屋の前で少し待つように言われて、扉が空いたら入ってきてほしいと言われ、その場で待っていると、入ろうとする部屋の中が騒がしくなり気にはなるが入室の合図が無く5分ほど待ちぼうけていると、ようやく扉が開き中に入ると、部屋の中にはサートゥルヌス、オプスルア、セレス、結、沙月、マールスとあと子供が2人いた。

セレス、結、沙月に挨拶をしようと口を開こうとした瞬間………目の前が真っ暗になり、俺は倒れそのまま意識を失った。







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