第5話 魔物たちのかわり
「魔物が極端に増えている日がある?」
「はい。この日とこの日はおそらく……。エリアはここと、ここですね。」
「魔物の種別はわかるかな?」
「ちょっと待って………ください。…………あった。犬型と………こっちも犬って、一緒ですね。」
「ふむ。結君お疲れ様。帰る時間だよ。あとは担当する部署で調べておこう。」
「あ〜。もうそんな時間ですか……。沙月先帰るけど、…………帰ってこれないわよね?」
「結さん。ひどいです。帰って来れないって決めつけです〜。まぁ〜帰れないと思いますよ〜。二人のお風呂お願いします。」
「りょうか〜い。私とお風呂入る時ってなんでか
「お湯に浸かってゆっくりと300数えたりしてますよ〜。」
「300も、100数えない内に出ようとするんだけど……何?何が違うの?」
「お胸ですかね〜。」
「うん?」
「心くんも美月も掴まったりして、楽しくお風呂に入ってますからね〜。」
「さ・つ・き。そんなこと言うのね?今日は沙月ママは帰ってきませんと二人に言っておくね♪」
「「ウフフフッ…………」」
「ゴホッ。ゴホッ。二人共………そういう話は、男性のいない時に話してくれないかな?」
「「あっ…」」
結は沙月と共にセンターゲートを後にした。
所長に伝えることも伝え、子供を迎えに行くために結は、移動していた。
沙月は小隊と合流するために離れている。
「美月、心、おまたせ〜♪」
「「ママ〜♪」」と子供たちが保育園の中から走ってきた。
子供たちを抱き止め、先生に今日の出来事や連絡事項を聞き、2人を車に乗せ家への帰路についた。
家に着き、2人と共に家の中に入り、夕食の準備を手伝ってもらいながら、テレビを点けて今日の出来事や明日の天気などを見ていく。
今日の出来事では、魔物が出て死傷者が出たことで警察だけでなく、自衛隊も駆り出され、魔物を捜索していると報道され、現場付近にて生中継で事件の詳細な説明をされていた。
「あっママがいる〜。」
「えっ?私?」
と美月が言った言葉に反応したが、美月から反応が無く、美月の方を見てみるとテレビに釘付けのようで、
「美月〜ママがどうかしたの?」
「あのね、あのね、テレビにママが映ってたの。」
「沙月ママが映ってたのかな?」
「うん。ママがいたの。」
「そっかぁお仕事頑張ってるのね。」
と美月を抱きしめなから言うと、
「ママ帰ってこないの?」
「ごめんなさいね美月。沙月ママは今日帰ってこれないかもね………」
美月は泣きそうになりながらも結にぎゅっと抱きつき、
「ママお仕事頑張ってるから、しかたないの……。」
「沙月ママも早く美月に会いたいから、仕事頑張ってるからね。良い子でいたらママも早く帰ってくるからね?」
「うん……。」
その頃、沙月は小隊の隊員と打ち合わせをし、小隊を3人1班の2班に分けて魔物を追い込み、魔物がどう動きをするかにより、各個撃破が可能かまとめて掃討出来るかを確認していた。
(さてワンちゃんはどんな動きをするのですか?)
沙月は無線にて各班に魔物がいると思われる山の中を検索を開始させ、魔物がどのように動くのかを確認しつつ、その都度無線にて各班へ指示を出していく。
(おっ?魔物はまとめて動き始めましたね?………ふむ。けど逃げないですね?お腹をすかしているのかな?2班が近づいていますが、動かないですね?)
沙月は2班の隊員へ停止指示を出し、魔物の様子を伺うと、魔物が停止した班から遠ざかり始めた。
(マジですかぁ〜居場所がバレてると分かったのかわかりませんが、頭が良い魔物が居ますね。マジで厄介です。)
沙月は各班に一度戻るように指示し、今後の計画を考えていた。
(う〜ん、あんまり使いたくないと言うか、隊員たちは反対してくるかもしれないけど、オトリ作戦をしましょうかね?まぁ頭の良い奴ほどあっさり掛かりそうですし……。)
隊員たちが集まり、各班で情報を精査し沙月に報告を行っていた。
「隊長。この魔物ですが、耳と鼻が異常に優れていると思慮します。」
「やはりですか〜。エーテル探知で周辺を確認していましたが、魔物たちは結構な距離であなたたちを見つけているような感じがしていたので、それは間違いなさそうね。」
「こちらの班も同意見です。近づいて調査もできませんでした。」
「ということでなんの成果も無かったと言うこと……よね?一応やりたい事があるので、みんなの意見を聞きたいのだけれど、………私一人で魔物に近づいてみたいのだけど、賛成はし無さそうな顔してるわね。」
「「「「「「当たり前です。」」」」」」
「隊長が行くのであれば、私達の中から行かせてください。」
「「「ちょ……」」」
「はいはい、皆の意見は割れてたりするけど、対魔物戦闘であれば、私に勝てるのは、小隊内にはいないわね?自衛隊内で探してもいるかも怪しいけど。」
「そうでありますが……」
「私が一人で行くのは確定事項になります。誰かついてくるとかも無しね。……あと、私に何かあれば信号弾を撃ちますので、装備を着て待機していてください。その際の指揮は各班長に任せます。」
「「「「「「了解」」」」」」
(さてと、のんびりとお散歩がてらのお仕事をしましょう。)
沙月は小隊員たちの装備を確認し、自身は軽装(作業服に腰に拳銃とサバイバルナイフを装着しただけ)で山を登り始めた。
時刻は夜中を指す時間で月の明かりもほぼない真っ暗な時間であるが、ライトも持たずに山道を軽快に登っている。
(さてと、ワンちゃんたちはどこにいますかね?っと………いましたが、結構山の奥ですね〜。これはまだ相手のテリトリーにも入ってないかな?)
10分ほど歩いて移動していると魔物たちがようやく気づくテリトリーに入ったようだ。
(おっ?やっと気づいてくれるところまで近づけましたね。さて?ワンちゃんはどう動きますかね?)
周辺を警戒していた者から明るい時間に食べたのと同じ獲物が、単体で近くを歩いていると報告があった。それを聞いた仲間たちが食事にありつけると喜んでいる。
すぐに俺達は行動を開始した。
あの獲物一匹なら我らに勝てる訳ないのは、昼に証明できている。
なら急ぎ捕獲し、食事としよう。
仲間たちが獲物を囲むように歩き、少しずつ近づいていく。
あと少しで数回走れば届く距離になった所で、獲物が気がついたようだ。
立ち止まり周囲を確認している。だが、もう遅い我らは一斉に飛び出し獲物に襲いかかった…………。
……………………なぜだ?私はなぜ倒れている?音が聞こえない。匂いもわからない。何が起きている?仲間はどうした?体が冷たい。眠い………。
「ふう〜。…………状況終了。」
(とりこぼしもなし。13頭ですか………多かったですね。)
沙月はポケットから携帯電話を取り出し、小隊員へ連絡を取り、状況終了と、魔物の回収の手配を指示した。
(子供達が起きるまでに帰れますかねぇ〜?報告書頑張って作りましょう。)
沙月が山から降りると一班に入っている町田一曹が出迎えた。
「お疲れ様です。たいちょ………う。」
「??何かあった?」
「隊長……血まみれですが、お怪我をされてるのでは?」
「え?暗かったから見えていませんでした。確かに血まみれですね〜。」
「お怪我はないんですか?」
「えぇ、無キズですよ〜。着替えないといけませんねぇ〜。」
「隊舎までお送りしますので、お風呂に入ってください。女性に言うのもなんですが………獣臭いです。」
「うぅ!?マジですか?」
「マジです。席に返り血が付かないように、ブルーシートか何か敷きますから、その上に座って、おとなしく隊舎に帰ってください。」
沙月は現場の指揮を一班の矢野二曹に引継ぎ、応援で駆けつけた別の小隊の隊員の運転で駐屯地の隊舎へ送られていった。
「さてと、二班は分担して警察と消防に連絡して、あと魔物研究の部署にも連絡を、受け入れは一班で準備するから、明るくなったら山の中に入ってもらって、たぶん面倒なことになってる現場検証をしてもらうことになるぞ。」
と矢野二曹が小隊員に指示を出し、これから来る色々な面倒事を覚悟した。
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