第4話 かわりの始まり

「グルルッ……」

山の中で大きなイヌの様なけものが何かを警戒しながら山を下りていた。

「……ッッ!!」

何かに気が付き獣はしゃがみ息を殺していると、同じ様なイヌの様な獣が10メートルほど先を走って山を降りていった。

それを見て、その獣は離れるまで息を殺していると、いきなり別の同様の獣が襲い掛かってきて、首を噛まれ抵抗できないまま首の骨を折られ絶命した。

首に噛み付いていた獣は、自身で殺した獣を食べつつ、絶命した獣の血の匂いに釣られてきた他の同種の獣と一緒食べ、食べる場所が無くなるとその場から離れ再び食料を探し始めた。

だが、その付近に食料となる動物が見つからなかった為、少しずつではあるが山を下りていく形となり、山の木々がある場所から抜けてしまい、獣たちは整地された場所に出てきた。

獣たちは全部で10頭ほどではあるが、食料を全頭で分けギリギリのラインで生きて長らえていた。


整地された所から少し進むと、近くに動く獲物を見つけ、獣たちはすぐに行動を起こした。

50メートルほど離れた場所に自分たちより大きいが細い生き物を見つけ、その生き物に見つからないように、相手の死角となる背後から数頭で近づき……自分たちの射程に入るとその生き物に襲いかかった。

獣たちは襲いかかった生き物が大声で吠えていたが、喉を一噛みし首の骨ごと噛み砕き、絶命させてからゆっくりと全頭で食べ始めていた。

少しすると大きな白い獣?が猛スピードで近づいてきて、20メートルほどの所で停止し、何故か獣の中から、食料となった生き物によく似たものが出できて、何か吠えている。

騒がしいが自身に対して吠えてきてるだけで、他の仲間に気づいておらず、気づかれていない仲間数頭で回り込んで襲わせて、そいつ等も食料となった……が、大きな白い獣が目の前にいるが何もしてこない……。

食料を十分に食べ満腹に近づき、血の匂いが気になるが白い獣が何をするか不明の為、警戒していると、遠くから不思議な吠え方をする声が聞こえてきて、近づいて姿が見えてくると白い獣で、その白い獣が多くやってきた。

流石に数で不利と悟った獣たちは山の中へ戻って行った。





獣たちが去っていった場所では、警察官たちが現場検証をしていた。

ここで魔物に人が襲われ、その人の悲鳴で通報を受け駆けつけた警察官2名がさらに襲われ、合計3名が亡くなった。

魔物は襲った人を喰い、警察官を食べていた所で、応援で駆けつけたパトカーを見て山の中へ逃走していった。




「卯花小隊長。出動指示が出ています。内容を確認し準備出来次第出動を命じます。」

「はっ。大隊長殿、指示書には死者が出ている魔物案件とありますが……。」

「そうなんだよね……。魔物…それも人喰いとなるとね、今任せて問題なく対応出来るのは、卯花の第一小隊だけなんだよね……。」

「任務は了解しました。……ですが、小隊としては、昨日魔法士の逮捕があり、報告書の作成が終わっておりませんが……。立花大隊長……忙しすぎませんか?」

「……………卯花?」

「はい。」

「ここからは俺の独り言だ………何も言うなよ。……………魔法を使えるものが爆発的に増えている。それも非合法な連中や動物が特に増えている。何か人体実験でもやられてないかと疑いたくなるが、証拠が無いし、血液検査しても、何も出てこないが……偶然とも思えないんだよな〜。」

(あ〜立花さんの変な勘がてでる…こういう時って当たるんですよね〜。結さんにヘルプしたほうが早そうな案件ですね〜)

「大隊長…。所要でセンターゲートに行きたいのですが、よろしいでしょうか?」

「任務の途中で立ち寄るくらいならかまわんよ。」

「了解しました。第一小隊はこれより任務につきます。」

「おう。頼んだよ。」


沙月は小隊の控室へ戻り、任務で現場に向かい情報収集するように隊員へ指示し、沙月自身は、専門家への意見聴取の名目で結の居るセンターゲートへ立ち寄っていた。


「結さ〜ん。ヘ〜ル〜プ〜。」

「えっ?やだ。早く子供たちの所帰りたいから、拒否します。」

「拒否をお断りします。私も早く終わらせて、一刻も早く帰って二人に会いたいんです。」

「はいはい。で、厄介事よね?」

沙月は結に先程の大隊長の話を話した。

「沙月…、これ機密事項とかではないよね?」

「そうでしたら、どれだけ良かったか………。立花大隊長の独り言を聞いただけのただの確認なんですよね〜。」

「調べる?」

「お願いします。」

「魔物の方はこっちでも統計を取ってたはずだから…………???」

魔物に関するデータを探していた結が不思議なものを見つけたような顔をしている。

「結さん?」

「おかしい……。沙月、少し時間ちょうだい。……………お疲れ様です。夏川です。教えてほしいんだけど、統計関係の責任者居る?………お疲れ様です、夏川です。魔物の発生状況で気になる点があるのですが、わかりますか?………はい。このA−6のエリアですが、これは間違いないですか?…………所長には連絡お願いします。こちらからも入れておきます。………はい。失礼します。」

電話を切ると結が頭を抱え始めた。

「結さん?何かやらかしました?」

「沙月………立花さんって、どういう嗅覚………いや、こんな情報をどっから持ってくるの?センターゲートでもまだまとめきれてない情報よ。」

「それって……どういう事?」

「沙月。今日は家帰れないの確定かも………。」

「ゔぇっ!?もしかしなくても私、厄介事持ち込みました!?」

2人で絶望みたいな顔をしていると、結の部屋に誰がが来たようで、ドアのチャイムが鳴り、誰がが入室を求めていた。結はすぐに誰が来たかわかった様で、ドアのロックを解除し、外から松岡所長が入ってきた。

「失礼するよ〜。何か発見したみたいだね。魔物研究の部門が大慌てになってるよ〜。あと結くんは、子供が居るから残業してはいけないね。何があったかは聞くけど、退社時間は守るように。」

松岡所長はやさしかった?







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る