第63話 世界の変わり

悠一から放出されたエーテルは、悠一が居た場所を中心に放射状に広がっていった。

この時発生したエーテルの光は、日本だけでは無く、瞬く間に世界を包み込み、全世界で空に輝くエーテルの光が確認された。

のちに【エーテルの怒り】もしくは【エーテルの導き】と呼ばれるこの現象…いや、大規模災害は、発生した場所から約1キロメートルの範囲にいた数千人が高濃度のエーテルを浴びた事に身体が耐えきれずに爆発したことで死亡し、更に数キロの範囲で約十万人の人が身体に異常をきたす等なんらかの障害が発生した。もちろんその周辺に居た動物や植物までも被害が発生しており、正確な被害の数は不明となっており、世界には突然エーテルが爆発的発生をした現象と報道され、誰がした……ではなく、地震や火山の噴火、竜巻などと同様の自然災害と言うことになっていた。



そしてこのエーテルの光は、これからの地球に大きな変革を与える事になった。


この日から、この世界では無いとされていたエーテルが観測されるようになった。


さらに災害が発生してから半年が過ぎた頃から人間の中に魔法が顕現出来る様になった者が、世界で数名確認されるようになり、

1年を過ぎる頃には2000人近い者達が魔法を顕現出来るようになっており、日が立つごとに魔法を使える者が増えていった……。

だかそれは人間以外の生物も例外では無かった。

世界では炎を纏った熊や雷を使う鹿、刃のような風を使う鷹等、多種多様な魔法を使う生物が発生しており、それらの魔法を使う動物の事を【魔物】と呼称されるようになった。


そして、魔物を狩るために軍隊を使用して狩ることも出来たが、銃等が効かない魔物もおり、魔法を使えば対処出来ると判明してからは、対抗策として魔法を使える者を国が集めて魔物を狩ることを推奨し、国益の為と魔法を使える者を多く集め、強力無比な魔法を使う組織を誕生させたり、魔法での体力増加による新たな競技の誕生や今までやっていた競技の進歩や魔法を悪用した犯罪行為等、世界のルール自体が変わることとなっていった。


このエーテルの怒りや導きとされる日が、世界の変わる日となったのだった。








時は少し戻り、

災害発生から数ヶ月後のある日……



「オギャー!オギャー!」

「おめでとうございます。元気な女の子ですよ〜!」

「あ…り…が……と…う…ございます。」

「生まれたの!?」

「やったね!!」

とある場所では子供の誕生に母親や、母親の親友と呼べる者達が喜びを噛み締めていた。


子供か生まれてから数時間後…

病室で母親はベッドに寝ており、子供はベビーベッドに寝かされ、子供のそばには2人の女性がキャーキャー言いながら子供の一挙手一投足を見守っていた。

「沙月、本当に良く頑張ったね。この子可愛すぎるよ♪」

「ありがとうございます〜セレスちゃんも来てくれて嬉しいです〜」

「お姉ちゃん…言われなくても押しかけるからね!!こんなに可愛い子がいるのに来ないわけないし!!」

「この子の名前は前に話していた名前にするのよね?」

「は〜い、そうですよ〜。やっぱり2人の愛の〜結晶ですから〜♪」

「はい、はい。私ももうすぐ予定日だし、きっと可愛い子よ♪」

「いいな〜私は出来なかったから、早く子供欲しいよ〜、っていうか、この子の名前は?」

「名前は、美月みつきです。」

「………ユウイチに早く教えてあげないとね………。」

「そうですね……………。」

「本当、いつになったら悠一に会えるのかな……。」

「結さん…違います。私達で迎えに行けば良いんですよ。」

「そうね、必ず子供の顔を見せてあげないと、この子達も悠一も救われないから………。」







【エーテルの怒り】を起こした相楽悠一はいま……………………フローティア王国の山奥にいる。


正確には山奥のとある場所に封印されていた。

他の者を巻き込み殺しかねない力を持ち、その力の一片を出しただけで世界を恐怖に包み込むおそれがあり、日本に置いていては、さらなる災害や事故を起こしかねない存在として、

また他の勢力に囚われ悪用されない為にこの場所に封印されている。


エーテルの制御が出来なくなった事による、自身が起こした行為について、悠一は悔いており、自死をしようとしたが、身体が自動で全快し死ねず、少しでも力が放出したならば辺りが焼土となってしまい、自身の力であるが自身での制御が出来ない状態であった。


その為、日本では対処出来ず、フローティア王国の秘奥とされる場所で、力の封印をする事となった。

そして、その封印を行う際に悠一は封印を施す者に、他者を近寄らせない結界を張ってもらい、物理的にも魔法的にも誰も近づく事ができないようにする事で、自身の起こした事への贖罪をする為、自ら世界と隔絶した場所に封印されることを選んだ。


だが、この選択は沙月、結、セレスとの別れを意味しており、たとえセレスや優秀な魔法使いを集めても、悠一が解除を望み、そして封印を施したものが解除しない限り、決して破られることが無い封印となってしまった。


その後、結も出産し、世界が魔法と言う力を手に入れ大きく変わっていく中、沙月、結、セレスの周りも変わっていったが、3人が悠一と会うことは叶わないまま、




3年の月日が流れた……。

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