第62話 逃げてください。

「う〜ん。」

「沙月?どうしたの?」

「つけられています。先ほどから何か後ろの車が怪しいですね…」

「見つかった?」

「今はまだ向こうも手を出す事は無いと思いますが……結さ〜ん、次のパーキングエリアで運転変わってもらってもいいですか?」

「わかったわ。」

「セレスちゃ〜ん、悠一さんと一緒に居て、いつでも魔法を使えるようにしておいてください。」

「わかった〜♪今やる?」

「今はだめですよ〜。事故とかで誰も巻き込まないところなら良いですが、今は気づいてない振りをしましょう。向こうもセレスちゃんの魔法には警戒していると思いますしね。」

「は〜い。」

しばらく走るとパーキングエリアに入り、トイレ休憩や飲み物を買い、結が運転を変わって出発した。

「やはり少し離れてついてきてますね?その前を走っている車もお仲間の様な気がします。結さ〜ん、倉敷ジャンクションにきたら、大阪方向に向かってくださ〜い。」

「日本海側に行かないの?」

「一旦山陽道に入って大阪に向かって行く素振りはします。けど途中で高速を降りて、ついてきている車を何とかして、高速に乗り直して日本海に行きましょう。」

高速を走り、昼を過ぎた頃に兵庫県に入り阪神道への案内するが見えた所で、沙月が結に指示を出し高速から降りて、近くにある道の駅でご飯を食べていると、外で動きがあったみたいで、沙月がセレスに指示して魔法の準備をさせて、外の様子を伺いながら、沙月が合図すると、セレスが外の怪しい人達を片っ端から魔法で眠らせていった。

眠らせてからは周辺に怪しい人がいないかを、セレスが魔法で確認していき、問題がないことを確認したうえで、車を確認して発信機みたいな物が車の底にあったが取り外し、隣に止めてあった怪しい人達の車に取り付けてから、車に乗り岡山方向に戻って日本海側に向かった。

「一旦はこれで大丈夫そうですね~。やはり行動が速くて、四国から本州に行くルートで待ち構えられましたね……。」

「たしかに車を使うとなると橋を使うしか無いからね〜。」

「と言うか、沙月?このまま日本海側目指しても大丈夫かな?」

「大丈夫ですよ〜。今日、明日位は何もしてこないと思いますよ〜」

「してこないのはなにかあるの?」

「それは〜セレスちゃんが〜使った魔法を向こうが何も出来ずに眠らされて、対抗策が無いのにどうしようとは思わないですよ〜。きたとしても眠らされて終わりなんで、私なら少し泳がせてどうにか出来ないかを考える時間を作りますね〜。」

「じゃあ、しばらくは何も無いかな?」

「警戒はする必要がありますが、大丈夫ですよ〜。」

「それならいいけど、何かあった時の準備だけはお願いね?」

「了解です〜」

「沙月〜、もうすぐ分岐だけど、どこ行こうか?」

「出雲大社とか行ってみませんか〜?」

「いいわね♪これどっち?」

「結さ〜ん、そのまま真っすぐで、もう少し走れば出雲の案内が出てきますよ〜」

「わかったわ!」

「お姉ちゃんたちが、すごい盛り上がってるけど、イズモタイシャって何?」

「簡単に言うと日本で一番有名な縁結びの神様を祀っている神社……え〜っと神聖な場所かな?」

「神様が現界してるの?」

「?げんかい?」

「神様の現界っていうのは……神様がこの世界に降りてきてるの?ってこと。」

「そういうことか、俺も正確な答えを持っていないけど、神様の依代である御神体があり、それを本殿の中に鎮座させているだったかな?」

「そうなんだ~、そんな神聖な場所に行ってもいいの?」

「この国には、神様や実在した偉い人に御参りして、祈願をすることはよくあるし、日本の色々な所にそういった場所があるからね〜。」

「なにそれ!?楽しそう♪」

「今回の事が終息して、のんびり旅行が出来るようになったら行く?」

「ユウイチ楽しそう♪もちろん行く!!」

「私もついていくわよ。」

「私も行きま〜す。」

「じゃあ、この4人でのんびりと旅行をしましょう。」

「「「お〜♪」」」


俺達は夜になる頃に島根に入り、この日はそのまま一泊し、次の日に出雲大社にお参りに行って、参道で出雲そばを食べ、縁結びグッズを購入したりして、出雲を満喫していた。

そして、島根から山陰道に乗り、鳥取を経由し京都方向に向かおうとした所、数キロ先で事故が発生したようで、渋滞しており車が停車して動かないようだ……。

「事故の渋滞かぁ〜しばらくは動かなそうかな?」

「そうですね~警察とかも通過していきましたから、処理が終われば動くと思いますが………!?ふせて!!」

沙月が大声で叫んだ瞬間………俺の目に赤いものが映り込んでいた……。


沙月が撃たれ、沙月の血が俺に飛んできて、顔にかかった………。

次の瞬間には、結も撃たれた。

沙月と結が撃たれた事で、セレスはすぐに俺達の周りにバリアの様な水の膜をだし、それからは攻撃がされているが、誰かが負傷するということは無かった。


沙月と結が撃たれた事に俺が反応出来ていなかったが、すぐにセレスが反応してくれたおかげで、俺は無傷だったが、どうすれば良いか分からないまま止まっていると、セレスから顔に平手打ちされ、

「ユウイチ!!なにしてるの!!早く2人をこっちに連れてきて!!」

と叱咤され、ようやく動き出せた。

結は左腕を撃たれたが意識はあり、痛みに顔が歪んでいる。

沙月は左肩から左胸の間を撃たれており、出血が止まらず、意識もない。

俺が沙月を抱きしめ、後部座席に運ぶと、結がすぐに沙月の脈の確認や撃たれた箇所の止血を片腕で開始し、

「沙月!しっかりしなさい!動脈に当たってるから血が止まらない!止血が出来ない!!悠一、私のバックから、応急キット出して!」

と指示を出し、俺はすぐにバックから応急キットを取り出し、結に渡した。

「ユウイチ、敵がキテル。攻撃するよ!」

「わかった。」

(おれはどうすればいいんだ………この場でおれは使えない………沙月、結やセレスも頑張っているのに、俺は………チクショウ!)

「うっ…………悠一さん。」

「沙月!!悠一!沙月が目を覚ました……沙月動かないでよ!!」

沙月が目を覚まし、俺の方に手を伸ばしてきた。俺はそれを掴み

「沙月!大丈夫か?」

「悠一さんは無事ですね〜良かった〜ゴメンなさい…私は、動けなさ…そうなので、3人で、逃げてください。」

「何言ってるんだ!沙月も一緒だよ。」

「だめですよ〜。私は…けい…ご…た…いしょうの…悠一さんを…逃が…して…せ…い…か…ん…させ…る…のが……にん…む……です。」

「沙月、もう喋らないで、血が止まらないから、だめ〜!」と結が静止させようとするが、沙月が止まらない。

「ゆ…ぅ…ぃ…ち…さ…ん……あ…い…し…て…ま……すよ…」

「沙月……俺も愛してるよ。」

「ゴ…メ…ン…な…さ……い………さ…き……に………い……き………」

沙月の手から力が抜け、目が閉じてしまった………。

「さつき〜!!!」と俺は叫んだ



叫んだ時、俺はすべての感情や力が身体から抜けていく感じがし、それと共に俺の身体の中にあるエーテルが身体から溢れて爆発するかのごとく噴出して、俺の身体は光り輝きだし……そのまま光が広がり周囲を光が包みこみ、周りのものを全て包み込んでいった……。





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