第59話 逃げる
近くの敵らしい者たちが気絶をし、無力化でき、俺達はまだいるかも知れない敵や信用の出来ない駐屯地の人間を避けながら、駐屯地の外に逃げるために徒歩で移動している。
駐屯地の外へ行き、センターゲートを目指す為の方法を確認中だ。
「沙月お姉ちゃん……外に出ると私の魔法での周辺検索は出来ないと思ってほしいかな?やっぱり、人が多過ぎて無理〜。」
「あ〜そうなりますよね〜。まぁあちらも民間人がいる所で、銃器は使用せずに近接でくると思いますから、見える範囲内の警戒をすればなんとかなるとは思います。」
「沙月もセレスもあんまり無茶はしないでほしいかな?」
「悠一さ〜ん。」「ユウイチ♪」
セレスと沙月が周辺を警戒しながら、俺と結を守りつつ進んで行きながら、結は結で、移動しながら何処かへ連絡していた。
「悠一、松岡所長と連絡が取れたわ……センターゲート周辺にも所属不明の部隊が展開しているらしく、自衛隊が警戒態勢を敷いていて、今は戦闘状態ではないけど、センターゲートには近づけない状況になってるわよ。」
「まじかよ……。」
「あ〜それは困りました〜。」
「う〜ん、一旦他に逃げる?それともなぎ倒して、センターゲートに行って、フローティアに駆け込む?」
「一番良いのは、フローティア王国に行くことだけど、戦闘もしくは、小競り合いが間違いなく発生するよな……、逃げるにしても、他の人を巻き込むのは良くないし………、
沙月さん、移動するなら、車、鉄道、飛行機、船のどれが安全?」
「この中だと、車です〜。車以外でしたら、鉄道と飛行機は決まったルートでしか行かないから行き先や通過地点で、待ち伏せされることが想定されますね〜。船もいいんですが〜海は遮蔽物が無さ過ぎです〜。」
「じゃあ整理しようか?
フローティアになんとかして行く。
国内どこかに逃げる。のどっちかだね?」
「そうですね~自衛隊と言うか国に保護を求めても、今回の1件で信用出来ませんから、国内のどこかに逃げるに1票です〜。」
「フローティア王国に行くにしても、変なのが居るけど、何人いるか不明だし、行くと戦闘は避けられないよね?私も国内のどこかに逃げるに1票ね。」
「私は〜フローティアに帰っても良かったけど、旅行も良いよね♪国内に行くでけってい〜。」
「とりあえず、逃げるで決定だな。あと、車いるよね?」
「そうですね~。そのへんの車奪います?」
「沙月さん?それは不味いよね?」
「じゃあ、レンタカーを借りましょうか?ここから駅の方向に、少し歩けばありましたよ〜。」
「オッケー、スマホから予約とか出来たよね?」
「私か沙月の名前で、予約するわね。」
「お願いしま〜す。」
話しているうちに駐屯地を仕切るフェンスまでたどり着いた俺達は、セレスの水の魔法で、フェンスを人が通れるサイズで切り、それを熱で元に戻すという、色んな人泣かせのトンデモ技術を見せられたりしたが、駐屯地から無事脱出し、レンタカー屋さんまで歩いていき、レンタカーを借りた後、近くの銀行に行き、結が当面の生活費を現金で下ろし、沙月の運転で逃亡という名の移動を開始した。
「ユウイチ♪温泉行きたい。」
「え?温泉かぁ、ここから行ける有名な温泉ってどこかあったかな?」
「すいませ〜ん。その前に資機材の補充で、部隊と合流しても〜大丈夫ですか〜?」
「それは問題ないですが、どこで合流するんですか?」
「今〜、東名を静岡から名古屋方向に移動している分隊が居るそうなので、それに合流して、必要なものをもらっておきたいです〜。」
「じゃあ、高速に乗って、沙月の必要なものを補充してから、今日の宿を探す感じかな……、みんな、それで問題ないかな?」
「「「問題無し(で〜す)。」」」
車で、最寄りのインターチェンジから高速道路に乗り、前方を走行している、自衛隊の車輌が見え、沙月が合図をすると、自衛隊車輌からハンドサインが見え、車列の中に自分たちの乗っているレンタカーを入れ、次のパーキングエリアにて補給物資……銃器類を受け取り、高速道路に戻って更に愛知県から大阪方向に向かい、そのまま兵庫県に入り、有馬温泉の近くで高速を降り、そのまま有馬温泉にて一泊することになった。
4人で泊まれるホテルがちょうど空いており、セレスが見たことの無かった和室にびっくりしたり、結と沙月にセレスが連れて行かれ、露天風呂を楽しんできたりとセレスにとってもいい思い出になる温泉であった。
その頃、俺といえば松岡所長から連絡があり、現状の情報交換をしていた。
「相楽君の方は、全員無事なんだね?」
「はい。結もセレス、沙月もみんな怪我なく無事です。ただ車を破壊されましたが……。」
「全員無事ならそれでいい。車ならまた用意出来るからね。」
「そういえば、センターゲートに近づいていた所属不明の部隊はどうなりました?」
「それなら、衝突など無く、立ち去っていったぞ。やはり結君から話があったが、卯花君が考えていた通り、相楽君の身柄確保で動いていたようだね。」
「沙月がそんな事を考えていたのですか?」
「卯花君は、駐屯地の一件といい、センターゲート周辺への部隊の展開など、一連の行動が手際が良すぎて国と国で話がついていて、日本が協力しないと出来ないと考えているね。私も同意見だ。」
「まぁそうですよね………。正直、俺達はこれからどうすれば良いか悩みますね…。」
「大事なのは、捕まらないことだね。」
「はい。」
「そのためにどうすべきかは、結君や卯花君と良く話して決めたまえ。相楽君1人で気負う必要はないよ。」
「はい…ありがとうございます。松岡所長。」
松岡所長との電話が終わり、ホテルの通路にある自動販売機でビールを購入し、1人で飲んでいたら、3人がお風呂から帰ってきた。
「戻りました〜♪お風呂良かったです〜」
「ただいま〜ってビール呑んでる〜!私にもすごく頂戴♪……ゴクッ…ゴクッ………プゥハァ〜!やっぱりお風呂上がりの一杯は最高ね♪」
「ハァ〜♪気持ちよかった〜ユイせんせーそれ(ビール)って美味しいの?一口飲んでいい?………うわ〜、ニガ〜イ。」
「セレスにはまだ早かったかな?」
「もしかしたら、ビールの苦いのがだめかも知れないですね〜、わたしも〜苦手です〜。」
「あれ〜?沙月は飲めてたよね〜?」
「結さんと飲んだ時は〜、ビール少しの〜残りはチューハイかカクテルでしたよ〜」
「そうだっけ?あんまり記憶無〜い。」
「というか〜あのときって〜悠一さん襲うのに、覚悟を決めるために、記憶飛ばす勢いで結さんが飲んだだけなんですけどね〜」
「「あっ…………」」
「サツキお姉ちゃんそれク・ワ・シ・ク!!」
「あら〜セレスちゃんも気になります〜?」
「キニナル〜!!」
「悠一……お酒とおつまみ買いに行こうか?」
「おう、ホテルの横にコンビニあったよな?」
俺と結は、逃げるようにコンビニに走っていった。
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