第56話 光の玉
セレスが来て一週間がたち、日本での暮らしも落ち着いてきた。
他国の色々や、フローティア王国での色々が起きず、平和な毎日を送っており、今日も今日とて、センターゲート内の訓練が出来る部屋で、魔法の訓練をセレスとしていた。
「ユウイチもエーテルの集束が、上手くなっているね。」
「そうかな?実感があんまり無いんだよな〜。」
「そう?………じゃあ、あれしてみようか?ユウイチ、手を繋いで。」
「うん?はいっと。」
俺とセレスは2メートルほど間隔を開けて訓練していたのを、セレスが俺に近づき、右手と右手、左手と左手と繋いで向き合う形になった。
「じゃあ、ユウイチの右手にエーテルを流し込むから、ユウイチは左手から私にエーテルを流してみてね。」
「えっ……………ちょっと待ってぇ〜〜セレスそれ、前に俺がやらかしたやつだよね?」
「フフフッ♪大丈夫だよ〜もしなんかなっても………ね?責任取ってくれるもんね♪」
「オウフ……。努力します。」
とセレスさんが捕食者のような笑顔になりつつ俺の身体の中にセレスが流してきたエーテルと思われる感覚が入ってきた。
(ちゃんと手から入って来る感覚があるな〜逆の手から返せばいいかな?
こんな感じかな?前やった時はどうやったんだろ?)
「セレス?こんな感じで大丈夫かな?」
「う〜ん?ゆっくりきたね。じゃあ、少しずつスピードを上げていくね。」
「うん。」
(セレスから入ってくるスピードが上がってるから、俺も同じ位??難しいな?スピードを変えるのムズっ!!)
「ユウイチ?大丈夫?自分の出しやすいスピードで良いからね?」
「うん。大丈夫………。自分から出すのが難しいなっ。」
「じゃあ、私がユウイチからエーテルを引っ張りだして、それをそのままユウイチに戻してみるね?」
「うん、お願い。」
「じゃあ行くよ〜。ハァァァァ!」
(うぅ……ヤバい速すぎる、身体の中でグルグルしている!!!)
「セッ、セレス?ゴメン無理!!!ぅぉえぇぇ」
「きゃあ〜ユウイチ?!」
俺の中でエーテルが暴れるのを知覚し、俺は嘔吐した。
「悠一、大丈夫?」
「結、ごめんよ。頭がグワングワンしてるわ。」
「ユウイチ、ゴメンなさい。」
俺が嘔吐した後、セレスが結と沙月を呼んできてくれて、俺は部屋の中に寝かされ、セレスに膝枕をしてもらながら結に診てもらっている。嘔吐した場所は沙月がきれいに清掃してくれている。
「悠一、目を回してるみたいね、顔も真っ白だし体温も低いわね……う〜ん?検査しましょう。沙月、悠一を運ぶからストレッチャー持ってきて。」
「は〜い。」
沙月が部屋を出て、別の部屋からストレッチャーを持ってきて、俺をセレスと共に二人がかりで持ち上げストレッチャーに乗せられ、そのまま検査機器のある部屋に運ばれ、検査を受けた。
「異常なし。」
「だよな〜、検査してる間に良くなってた。」
「悠一、セレスも、これは普通の体調不良と違うから、エーテルが勢い良く動いた事による、酔ったと言えるわね。車酔いならぬエーテル酔いかな?」
「ユイ先生……ユウイチは大丈夫なの?」
「問題なし。ビシバシしても問題ないわよ!」
「ヨカッタ〜(泣)」
「セレス、心配させてゴメンよ。沙月も掃除してくれてありがとうな。」
「ユウイチ〜(泣)」
「あ〜ヨシヨシ。セレスのお陰で何ができそうな気がするんだけど、やってみたいから手伝ってもらってもいい?」
「え?うん……いいけど、何が出来そうなの?」
「多分、エーテルを顕現出来るかも?」
「えっ?本当に?ユウイチ無理してない?」
「大丈夫だよ。結からも大丈夫だって言われたし、それにさっきの感覚を忘れないうちにやりたいんだ。」
「うん♪わかった。やろう♪」
俺は寝ていた検査台に座ったまま、右手の手の平を上にして胸の前あたりに持っていき、手の平に意識を集中し、エーテルが集まり、手の平の上で集束させるイメージをしていると、手の平の上、指一本分くらいの間隔を空けて、手の平より少し小さいくらいの光の玉がそこにあった。
「出来たね………。」
「「「・・・・・・・」」」
俺の手の上に光の玉が顕現した事により、セレス、沙月、結が固まっていた。
「おーい?セレス?結?沙月?できたよ。」
「これって……ユウイチ、これ……どうやって顕現させたの?」
「どうって……普通に身体の中にある物を、そのまま手の平に出しただけだよ。」
「う〜ん、ユウイチ〜これ、エーテルであっているけど、エーテルを顕現しちゃってるよ。魔法じゃない……。」
「はい?」
「だから、魔法を顕現するのでは無く、エーテルそのものが顕現してる。」
「これ魔法じゃないの?」
「うん………それにエーテルを顕現できる人、初めて見た。」
「ふぁ!?」
「「悠一(さ〜ん)………。」」
「え〜っと……ユウイチ……色々検証させてね?………色々出来そう。フフッ…フフフッ……。」
(おや?セレスの様子が…………。)
「あっ………、悠一?セレス何だけど……。」
「結?」
「研究者の血が騒ぐみたいで、あの感じは、追究して止まらなくなるから……。」
「まじで……俺どうなるの?」
不安な顔で結に顔が向いていると、背後から肩を掴まれ、振り向くと……セレスがニコニコしていた。
「ユウイチ♪ちょっとつきあってね?」
「はっ……ハイ。」
(俺の脳内にドナドナされていく姿が再生されているな…。)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます