第54話 タイミング悪

『さてぇ〜サガラユウイチさ〜ん。あなたは私達の言葉がわかるんですよね〜。』

「はい。わかります。」

『ではなぜ〜私達の言葉が話せないのかな〜?』

「そ、そうですね~。」

『外交担当が、国の言葉が話せないはよろしく無いわよね〜?』

「………はい。」

『では、覚えてくださいね〜。教えるのは……………セレス〜?あなたが教えなさいね〜。』

『やった〜ユウイチ♪手取り足取り教えるね♪』

『それじゃあ〜、日本に行ってらっしゃ〜い』

『えっ?ママ?本当に行っていいの?』

『好きな人と〜、一緒に暮らすのは〜嫌なの〜?』

『行ってきます。「ユウイチ、ユイ、サツキ、よろしくお願いします。」』

「「「・・・・・・・」」」


「あれ?ユウイチ〜?ユイ先生?サツキお姉ちゃん?」

「『セレス』さん、王妃様……いいんですか?」

『あらあら〜ユウイチ君、お義母様かあさまと呼んでもいいのよ〜?』

『オプスルアよ、余はセレスを外に出すのは反対なのだが………。』

『あなた〜セレスは何歳ですか〜?子供ではないのですよ?』

『じゃが………』

『セレスはもう22歳ですよ〜王国の姫なのにですよ〜、結婚適齢期を逃して行き遅れですよ〜。セレスが好きな人が出来たのなら、すきにさせても問題無いと思うわ〜』

(王妃様?セレスに刺さるけど、聞こえてたら、結と沙月にも刺さるので言わないであげてください。)


『あと〜式はいつにするのかしら〜?4人で一緒にしてもいいわね〜。』

『ママ、式はユウイチと相談してからでいい?』

『いいわよ〜。後は問題ないかしら〜?』

『大丈夫〜♪ママありがとう♪』


俺や国王様、王子様が話に入れないまま、セレスが日本に来ることが決定してしまい、そのまま謁見は終了し、その場から退室し通路に出た所で、マールスさんが先ほどの話の事で伝えることがあるとの事で、俺と結、沙月ら城内の別の応接室に案内された。


「ユウイチ…先ほどの話はすごい勢いで決まっていたが、実は姫様を安全な所へ避難させる必要があり、他の者が聞こえる場において、即興で決めた風に装う事になったんだが、事情を説明してもいいか?」

「はい。お願いします。」

「ざっくり言うと、王位継承権による跡目争いだな………。

国王様にはあと3人の王子がおり、第1位は先ほどお会いしたユーピテル王子だ。ユーピテル様とセレス様については、オプスルア様のお子になるのだが、他の3人の王子については別の王妃様のお子となる。ここまではいいか?」

「はい。大丈夫です。」

「ユーピテル王子を追い落とそうと、別の王子の派閥が動いていてな……国王様は、ユーピテル様をと考えており、他の王子は納得しているが、派閥の者が利権の為にウロウロしているのだ……、今はユーピテル様の御身は守れているが、セレス様については危害が加えるもしくは誘拐するなどして、ユーピテル王子を追い落とす可能性があり、あまり城内でも姿を表さないようにかつ、私が警護をしていたのだが……、やはり一度落ち着くまでは国から離れていてもらい、かつ他者から逃げれる場所と言うことで、ユウイチの所が安全だと国王様、王妃様は判断されたということだ。」

「そうですか……、マールスさん、ちょっと不味いかも知れないです。」

「…………どういうことだ?ユウイチ。」

「実は………沙月さん、伝えてもいいのかな?」

「ん〜問題無いかと思います。私から伝えましょうか?」

「大丈夫。俺に関連する事だから、俺が言うよ。

実は、前回の訓練の際に自衛隊の諜報部門から、俺が他国から狙われる可能性があると言われたんです。」

「ユウイチ……………、タイミング悪すぎないか?」

「そうですね…、まぁ日本国内で居れば自衛隊や、それこそ官憲の協力は得られるので、大丈夫とは思うのですが………」

「それは〜私の方でも、護衛を増やしたり〜、家の周りを身内で固めるなどは出来ますよ〜。」

「家が不味くても、最悪センターゲートに逃げればなんとかなるしね。」

「ユウイチ達よ、すまないが姫様を頼む。こちらは何とか早く片付けるので、もし何かあればこちらに逃げて来ればいい。」

「分かりました。」


マールスさんとの話しが終わり、国王様や王妃様達と話していたセレスと合流し、セレスの荷物を用意してもらい、俺達は帰路についた。





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