第52話 ようこそ

(我が家…………いい響きだ………)


「悠一さ〜ん、のんびりするのはいいんですが〜、お風呂入って来てくださいね〜」

「はいよ〜行ってきます。」

俺はお風呂に向かい、脱衣所の扉を開けると、結が一糸まとわぬ姿で居たが、そのまま脱衣所へ入り、俺は服を脱ぎ、そのままお風呂に入っていった。

「ちょっと…悠一?私入ってたよね?なんで、何も言わずに入ったの?」

と結がお風呂の扉を開け、裸で叫んできた。

「え?裸とか今さらですよね?

……………………一緒に入り直す?」

「のぼせるから遠慮しとく…。」

「そう?」

と結が退室していった。が、すぐに扉が開くと、今度は沙月が入ってきた。

「悠一さ〜ん。失礼しま〜す。」

沙月は身体を洗い俺が入っている湯船に入ってきた。

「悠一さ〜ん。結さんがため息をつきながら、脱衣所から出ていってましたが、襲いました?」

「襲ってないです。襲ってないし、何だったら裸でいる結を尻目に、お風呂に入りました。」

「結さんや私の裸に慣れました〜?」

「まぁ、慣れますよね……。けど、慣れた分ここにホクロがあるとか、大きくなったかな?痩せた?今日は、髪型違うね?とか、いろいろな発見をしてますから……俺としては嬉しいかな?」

「そっ…そうですか〜。」

「沙月……顔赤いけど大丈夫?のぼせてない?」

「大丈夫ですよ〜照れただけですから〜。ホント〜に悠一さんは〜、たらしさんで困りますね〜♪」

「そんな事言うのは、この口かな〜♪」

「あ〜ん♪」と、沙月とお風呂でイチャイチャし、のぼせかけながらお風呂から出ると、結に呆れられた……。


次の日、センターゲートへ行くと、松岡所長経由でマールスさんから、国王様(セレスの父)との謁見の日が明後日に決まり、慌ててフォーマルな服を持っていなかった為、買いに走ったりとバタバタしていたが、あっという間に謁見の日を迎えた……。



結の案内で、センターゲート内を移動している。

そして…巨大な扉?の脇にある人用の出入口より、中へ入るとマールスさんが待っていた。

『おう、来たな。』

「おはようございます。『マールス』さん」

俺は代表して挨拶する。

『今日は、ビシッとした服装をしているな。実にいいぞ。………では行こうか?』

「はい、お願いします。」

俺は、今日の為にと、結と沙月にコーディネートしてもらった黒のスーツを着ている。(色々と試したけど、顔が地味なんでスーツも普通のリクルートスーツみたいなものに落ち着きました。ってか、結と沙月が苦笑いするほど普通のスーツ以外が似合わないのも辛たかったよ。)

結は俺に合わせて、パンツスタイルのスーツ姿で、沙月は自衛隊の制服を着用している。

部屋の中は大型の飛行機が入れるくらいに広く、奥を見ると奥の壁が歪んだように見えている。

マールスさんに続き、俺達3人はその歪んでいる場所を目指して歩いていくが、結も沙月も緊張からか、何も話さずに歩いている。



そして、マールスさんが歪んでいる空間に入っていった……すぐに俺達も続いていく。



見えている空間が少し暗くなった……


土や石、苔などの匂いが……自然の匂いがしている。

結と沙月が自然と俺の手に触れてきたのに気づき、俺は周りを見渡した。

センターゲートの部屋から、鬱蒼うっそうと茂った森の中にある、石の舞台の上に俺達は立っていた。


そして、マールスさんが俺達がぼんやりと周りを見渡しているのに気づき、

振り返って

「ユウイチ。ユイ。サツキ。

ようこそフローティア王国へ。

さぁ王城へ行こう。」と言ってきた。


「はい。お願いします。」と返事を返すと、マールスさんが再び歩き出したのでそれに続いていくと、森の中に車が1台位通れる幅の道があり、そこには自動車の様な箱に車輪がついている物が止まっていた。


「ユウイチ、3人ともこの中に乗ってくれ。」

「『マールス』さん、これは?」

「これか?君たちの世界で言う自動車だな。まだ試作段階だが、ある程度の数は動いているぞ。」

「そうなんですね。」

俺達は車に乗り、中を見渡すとテレビで見た、国の行事の際に貴賓が乗る馬車の内装の様な作りをしており、箱の前後に対面して座る形になっている。

俺達は車の正面に顔が向く形で、3人が並んで座ると、それを確認出来たのか、ゆっくりと車が音も無く進みだした。

「結、これどうやって動いてるのかな?エンジンの音しないよな?」

「うん。しないわね。タイヤが動いてるから、何かで回している感じだけど、何だろう?調べてみたいわね。」

「結構揺れますね〜この道自体は、整地されてますが〜、土面はむき出しですね〜。この車、振動を吸収するたぐいのサスペンションとか付いているんですかね〜。」

3人で話しているとすぐに森を抜け、空が見えてきた。前を見ると、少し離れた場所に、広く高い壁に囲まれた中世の英国形式の様な城が見えてきた。ただ、壁の中が見えず城と思えるような建築物が壁の上に見えているが、壁の大きさは見えている限りではあるが、1キロメートル以上と長く、高さも15〜20メートル位ありそうだ。

今、進んでいる道路はその壁の一部分に続いており、その場所には門があり、車が近づくと壁の上から人が顔を出し、何かを合図し、門が開いて車が中に入れるようになった。


門の中に入ると、そこには街があり、人が多く行き交う通りに俺達は入っていった。

街を車で通行していくと、珍しいのか、歩いている人たちが車を観ており邪魔はしないように道を開けて進みやすくなっている。

町並みは、白い壁の1階〜3階建ての建物があり、荷車や馬車らしきものが止まっているのは確認出来るが、道ではなく建物の横などに広場があり、駐車場のような使い方をしており、道の往来を邪魔しないように工夫がされていた。

車の中から街並みを見ていると、いきなり並木道にでて、少し周りを見渡せるエリアに入った。

そして、その先に城が見えており、進んでいる道は、そのまま城の中へ続いているように見えていた。

城に近づくと、城の周りにはお堀と城壁があり、その中に城と他数軒の建物が見えている。

俺達が乗る車がお堀に架かる橋があり、橋の前にたどり着くと、検問所の様な場所があり、マールスさんがその場所に止まり少し話すと、そのまま中に進みだした。


城壁内を進んでいくと、人が集まっている場所があり、車はその場所を目指して進み、その人達の前に横付けした。


そして、車のドアが外から開けられ、ドアから俺達が降りると、目の前には水色のドレスを着たセレスが待っていた。



「ユウイチ、ユイ、サツキ。

ようこそフローティア王国へ

私達はあなた達を歓迎いたします。」

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