第25話 泣いていい?

次の日から、朝昼晩の食事は、

俺と夏川先生、沙月さんが一緒に

するようになった。

(何この幸せな空間?!

けど、仕事の話をしようとすると、

ハイハイ、わかってますよ〜、

リハビリ頑張りましょうね〜。

とはぐらかされる始末。

確かにこんな人と関わりのない所にいて、

仕事を見つけましたは、

無理があると思うけど……)


そんな日を過ごしていた3日後


フローティア王国からマールスさんが来たらしく、

いつもの男性スタッフさんが来室し

指定された部屋まで案内してくれる事になった。


『ユウイチ、来たな!』

入るとすぐにマールスさんが出迎えてくれ、

部屋の中にはあともう一人、

松岡所長がいた。

俺は中に入り、二人に挨拶をし、

座るように促され席についた。


(今日は、安心して話ができそうな

メンツだな。)


「相楽君、数日振りだね。

仕事を受けてくれてありがとう。

今日は、マールス師団長から仕事依頼と、

今後の予定について、

相楽君に確認したい事があってね。」


『ユウイチ、遅くなったがこれを持ってきたぞ。』

そう言いながら、リボンを巻いた紙を渡された。

(これどう見ても、あの雇用契約書だよな?

けど、これ…なんだ?巻いたリボン?を

赤い蝋燭のろうで留めてあるな。

うん?松岡所長が驚いてるな?)


「『マールス』さん、これ開けても

良いんですか?

所長さんがびっくりしてますが?」


『おう、開けてもらわんと

確認できないだろ?』

「すまないね。相楽君、

それは国王様からの親書だよ。」

(シンショ?信書かな?)

『親書だな。国王様のサインが入っているから、

国王様から、ユウイチへの大事な書面だからな。』

「ありがたく頂戴いたします。

『マールス』さん、ありがとうございます。」

親書の封を切り、中を確認すると、

前に確認した書面で、間違いないな。

一番下に国王様のサイン?かな?が

入っている。


「相楽君、確認出来たかな?

では、仕事の話しをしてもいいかな?

依頼内容としては簡単……では

無いが、相楽君なら問題無いものだと

思う。」

「仕事の内容をお伺いしてもいいですか?」

『それは俺からだな、依頼は

エーテルを………いや、魔法を

使えるようになってもらいたい。』

「あれ?それ訓練でやってますよね?」

『そうだな、魔法を使える様になる

可能性があるのは、今の所ユウイチだけだ。

よって、この依頼を頼めるのは、

ユウイチだけだと言うことだな。』

「これって、仕事でいいんですか?」

「問題ありません。相楽君でないと

出来ないのだが、受けてくれんか?」

(あれ?これは、断れないよな?

この二人に断るのは、無理な気がする。)

「わかりました。よろしくお願いします。」

「よろしく頼むよ。で、相楽君

依頼を受けるにあたっての報酬の

話しをしたいのだが?かまわんかの?」

「はい。お願いします。」

「まず、相楽君にはリハビリが終わるまでは、

今使用している部屋の使用権限を

お渡しする。

あと夏川医師らが使用している部屋も同じだ。

リハビリが終了した後は、この付近に

住宅を進呈させてもらう。

ただ、君は他国の重要なポストだ。

今の仕事に就いている間は、

身辺警護を付けさせてもらう。」

(お〜。どうしよう。偉いことになったぞ

ヤバいなぁ、ヤバ過ぎるな。

けど、他国の外交員になるのなら、

確かに何かあれば、

即戦争待ったなしの国もあるしな〜)

「そうなりますよね〜リハビリの予定を夏川先生に確認し、住居へ入居する

予定を調整させて下さい。」

「前向きに考えてもらい、助かるよ。」

『ユウイチが家を持つのであれば、

もちろん招待をしてくれるよな?』

「あっハイ………。」

「マールス師団長…、相楽君が困ってますよ。」

『ユウイチ、そうなのか?』

「『マールス』さん、警護とか

なんかすごいことになりそうなのですが、

色々と確認しておきます。」

『マツオカ殿、そうなのか?師団長位なら

街に下りても問題無いと思うが?』

「マールス師団長、

確かに日本国内だとそうなりますね。」

『そうなのか?ユウイチの家に行けないのか?』

「こちらの警護担当と調整させていただきますよ、

相楽君、すまないね、それも含めて

調整するさせてもらうよ。」

(何かやる事一つ一つに制限が付きそうだな。)


『ユウイチ、魔法の訓練についてだか、

俺の持つ知識では、訓練にならないみたいだから、

別の人員に依頼しているから、

4日後の昼に連れて来るので、

紹介しよう。」

「わかりました。『マールス』さん、

仕事をするにあたって、私も

『マールス』様やシダンチョウ?

とお呼びした方がよろしいですよね?」

『ユウイチ、気持ち悪いぞ……。

いままでの感じでいいぞ。』

(気持ち悪いですか……………

そうですか…………泣いていい?)

「では今まで通り『マールス』さんで

いきますね。」


『おう、それで頼むぞ。』


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