第24話 食事

カオスな時から数時間後

俺は眠りから覚め、

照明の常夜灯に照らされ、

薄明かりとなっている部屋を見回した。

(誰もいない…二人は隣の部屋かな?

照明のスイッチはどこかな?)

俺がベッドの上で上半身だけど起こし、

周囲を見回していると、

ベッドのサイドテーブルにある、

照明のリモコンを見つけ、

照明の明かりを一番明るくした。

(うっ!眩しい。目が沁みる。

しかし、この部屋、ちゃんと見ると

本当にワンルームマンションの

一室と変わらないよな?


俺のいる部屋が、

大体8から10畳くらいの長方形で

部屋の隅にキッチン付、

キッチンは部屋の短い辺の右角で、

その横(左角)に外への出るスライド扉

部屋のキッチン側の長い辺の真ん中くらいに、扉が一枚あり

そこに入ると洗濯機置き場兼洗面所と脱衣場。

その部屋のキッチン側にトイレ

その反対側に2畳位のお風呂場

全体的に見ると正方形になりそうな間取りだ。

一人暮らしなら不自由ないな。


ただ、部屋の中は何も無く、

入口の反対側の短い辺の真ん中に

パイプベットが一つに、

その周りにパイプイス4脚

サイドテーブル、ベッドの上に跨がる形のテーブル、

一人用鍋やフライパンと食器類、

あと洗濯機位かな。



テレビは無い。

というかコンセントはあるけど、

テレビのアンテナ線あるのかな?


それに窓もない。壁は白の壁紙が貼っていて、

空調についても、天井に業務用の器具が付いている。

時計はあるが、シンプルなアナログの壁掛けタイプで、午前、午後の区別がつかないタイプだ。

一応今は8時10分を指しており、多分午後の8時かな?


よく考えれば、電子レンジや冷蔵庫も無いな…ホテルの寝るだけの部屋と考えればそうなんだけど。)


ボーっと考えていた俺は、

尿意を感じ部屋のトイレへ向かう。

(そういえば、このトイレもようやく使えるようになったなぁ〜。

最近まではオムツ装着してたけど、

点滴はしていたが、何も口にしていなかったせいか、

排泄は液体のみだったし。

…………ただなぁ毎日誰かしらにオムツ交換される。

泣けるのなら泣いてたね。)

手を洗い、ベッドのある部屋に戻ると、

そこには沙月さんがいた。


「あ〜、起きたんですね〜。相楽さ〜ん、ご飯食べますか?」

「おはようございます。沙月さん。

お願いしても良いですか?」

「は〜い♪すぐに持ってきますね〜」

沙月さんが隣の部屋に戻って行った。


10分ほどで、夏川先生扉を開け、

沙月さんが手押しカートで、

食事を持ってきた。


「相楽さ〜ん、お待たせしました。」

と言いながら、食事をベッドの上に跨がるテーブルに置いてくれた。

ただ、いつもと違うのは、

沙月さんと夏川先生の手元にも同じ食事があった。

「相楽さ〜ん。今日は一緒に食べてもいいですか〜?」

「相楽さん。いいですよね?」

(お〜っと、マジですか、一緒に食べれるの?!よろこんで〜)

「ハイ。ダイジョウブデス。」

(おれ〜!!ヤベェ超緊張する。

ちゃんと、ご飯を食べれるかな?)

「では〜食べましょう」

「「「いただきます(〜)(♪)。」」」

(たっ、食べよう、献立はご飯、

焼いた鮭の切り身、味噌汁、

小鉢に入ったサラダ、冷奴

ヤベェ美味そう。鮭の少し焦げてるこの焼き色、香ばしい匂いも食欲を誘う

味噌汁は今日は白味噌かぁ、ホッとする味だぁ、

具は巻き麩と小口ねぎが入っている。

サラダはキャベツに人参、ときゅうりかな?

食べやすい様にキャベツの千切りと同じ切り方で揃えられてる、

ドレッシングも他の鮭や冷奴に

合わせた和風タイプかな?!


すごく美味しい。

本当にご飯が美味しいのは幸せだな♪)


「ごちそうさまでした。」

一足先に俺が食べ終わり、その後

すぐに夏川先生、沙月さんも

食べ終わったみたいで、

「「ごちそうさまでした。(〜)」」


「夏川先生、沙月さん、ご飯美味しかったです。」

と伝えると、夏川先生は顔が少し赤くなり

無言に、沙月さんはいつもと同じく

ニコニコして

「は〜い、お粗末様でした〜。

次も一緒に食べましょうね〜。」と告げ、

カートに食器をのせ、部屋を出て、

それに続くように、夏川先生も部屋を

あとにした。

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