第21話 仕事

扉が開き中に入ると、そこは会議室だった。


会議室の中には楕円形で

20から30名位は座れそうな円卓があり、

そこには馬島教授と他に白衣を着た6名と

マールスさん、あとフローティア王国の方らしき3名が座っていた。


「相楽悠一君、中に入りたまえ。」

馬島教授が中に入るように俺に声をかけてきた。

(おっさんから、名前呼ばれてもうれしくないなぁ)

『ユウイチ、こっちに座れ。』

円卓の奥に座っている人たちの方へ

向かって歩いていた所、

マールスさんが隣の席に座るように促してきた。

馬島教授は顔をしかめ、他の白衣の人たちも、

俺がマールスさんに声を掛けられたのが以外だったのか、

動揺しているように感じる。

「『マールス』さん、お久しぶりです。失礼します。」

俺がマールスさんに声をかけると、

マールスさん以外が動揺していた。

俺が席についた。

今の座った席は、

円卓の楕円形(ラグビーボールの形)の細くなった先で、

入ってきた扉から、左側の先から白衣を着た老人(おそらく一番偉い人かな?)

次に馬島教授、

あとの5人は白衣を着た全て男性で

中年から初老くらいの5人だ。

かたや右側の先に座っているのが

マールスさん(すごく偉い人だったのかな?)、

何故か俺、

フローティア王国の方だけど…(

何で全員金や銀色の髪で揃ってイケメン何だよ!)が3人座っている。

(ただ、マールスさんは同年代位、

他の3人も同年代か30代位かな?)


「『マールス』さん、なにかありました?」

『あ〜あったといえば、その通りだ。』

(その微妙な反応なんだろう。

白衣の一番偉いと思うお爺さんがこっち見てるけど、

もしかして話し終わるの待ってくれてます?)

俺が姿勢を正すとお爺さんが話し始めた。

「では、今日の協議内容ですが、相楽悠一さん。貴方にフローティア王国との橋渡し役をお願いしたい。」

「えっ?!」

(いきなり何?!話しが読めません。)

「紹介が遅れたね。私はこの施設の所長で松岡と言います。

相楽さん、君はフローティア王国の方の言語がわかり、

何気もなくその言語を話しています。

その能力を活かせる仕事をしないか?」


(あれ?俺仕事の斡旋を受けてる?)

俺が答えずに固まっていると、

馬島教授から隣の松岡所長へ話しかけていた。

「所長!何を考えてるんですか!

あんなどこの馬の骨か分からないものに、

国の重要な役目を任せるなど、ご再考下さい。」

(ですよね~、嫌いなおっさんだけど、正論だわ。)

「馬島君…聞くが君はフローティアの方の言葉は分かるのか?」

「それは……、今は出来ませんが、

すぐに言語を解析し、会話を成功させます。」

「すぐとはいつだ?明日できるのか?」

「ですが、フローティアの方とは

こうやって対話が出来ているではないですか!

対話ができているのであれば、

その間に解析して早期にフローティア王国の言語を解析してみせます。」

「では、今は出来ないということか?」

「ぐっ……その通りです。」

「では、今それが出来る相楽君が、

目の前にいるのに、お願いするのは一番の近道だと思うが、

違うか?」

「………分かりました。口を挟み申し訳ないありません。」

(うわ〜、おっさんフルボッコにされてる。

所長さんスゴイな。)

「マツオカさん、話しはお済みかな?」

「マールス師団長、

身内の恥を晒してしまい、

申し訳ない。相楽君も申し訳ない。」

(シダンチョウ?

マールスさんも役職に就いてたんだ〜。

でなければあのおっさんが一目を置かないわな〜)

「私も大丈夫です。」

俺も問題無いと返した所で、

松岡所長が俺の目を見ながら

「では、どうかね?相楽悠一君、

仕事をしないか?」






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る