第20話 おいしい

約4年振りに、ちゃんとしたご飯が食べられることになった。


(沙月さんが、食べたい物のリクエストを聞いていたけど、

流石に肉は無理だよな?)


あのあとすぐ、夏川先生が退室し、

15分位経った位で、沙月さんが、

部屋に食事を持ってきた。

「相楽さ〜ん。お待ちかねの食事ですよ〜♪」

そういって、沙月さんが運んできたカートから、

おにぎりと、味噌汁、玉子焼きの乗ったお皿やお椀をトレーに乗せて、ベッドのスライドテーブルの上に置いた。

(おにぎりだよ。味噌汁は…この匂いは合わせ味噌かな?玉子焼きは綺麗な焼き目がついてるな。)

「は〜い、今日はおにぎりと玉子焼きとお味噌汁ですよ~。

おにぎりは、鮭とおかかの2種類、

お味噌汁はお豆腐入り、

玉子焼きは少し甘めでつくってますよ♪

但し、お腹がびっくりしないように、

塩分を抑えた凄い薄味ですので、

もしかしたら〜美味しくは無いかも〜。」

(沙月さん、最高です。

俺の身体の事を、第一に考えてくれて

ありがとうございます。

食べる前にわかります。絶対美味しいです。)

俺は、手を合わせて

「いただきます。」

「おいしい。」

俺はおにぎり、玉子焼き、味噌汁を一心不乱に食べて、

たまに喉に詰まって沙月さんから、

お水をもらって、

またおにぎりと味噌汁、玉子焼きを食べた。


「ごちそうさまでした。」

おれはふたたび手を合わせて、

食事を食べきった。

(沙月さん、ありがとうございます。)

「沙月さん、おいしかったです。」

「は〜い、お粗末様でした〜。

お腹痛いとか、気分が悪いとかは無いですか〜?」

「大丈夫ですよ。」

「よかったです〜。

今日は、私と、先生で作ったので、

美味しく食べていただいて、よかったです〜。

では〜食器を片付けてきますね〜。」

(神様ありがとうございます。

美女からの手作り料理。

至福です。死んでも悔いはありません。)



久々の食事は、忘れられない思い出になりそうだ。



次の日からも、少しずつご飯の量やおかずが色々変わりつつ、

リハビリと検査の日々が5日間続いたが、魔法の訓練が無かった。



6日目

朝から夏川先生から、

今日の昼から魔法の訓練がある事が連絡された。


連絡を受けたあと、

昼から予定していたリハビリ訓練を前倒しで行い、

昼食を食べて、

沙月さんに手伝ってもらい柔軟体操をしていた所で、

この前きた男性スタッフ来室し、

訓練場所まで案内してくれるとの事で、

そのまま部屋をあとにし、訓練場所に向かった。



(前回来た部屋は、多分通り過ぎたよな?

知っている道はもうすぐ終わるけど…)


知っている通路を進み、扉を通り、

知らない通路にでて、更に進んでいく。

(着いたと思ったら、また通路って、

この施設はどんだけ広いんだ。)

「相楽悠一さん、到着しました。」

「はい。ありがとうございます。」

(やっと着いたけど、戻れたとしても、

部屋に戻れないなぁ、確実に迷子のおじさんが一人出来るな。)


到着した部屋の入口にあるインターホンを

スタッフさんが押し、反応があったみたいで扉が開かれ、スタッフさんから声がかかる。

「相楽悠一さん、中にお入りください。」

「はい。」

(マールスさんがいるかな?)

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