第19話 事故

訓練の部屋から寝泊まりしている部屋に戻ると、

沙月さんや夏川先生もおらず、隣の部屋をノックしてみると、部屋の中からバタバタ音がし、

10秒位で沙月さんが出てきた。

「相楽さ〜ん、早かったですね〜

おかえりなさい。」

「戻りました。はい、早く終わりました。」

(トラブルと言うほどでもないし、

気にしそうだから、話さなくてもいいかな?)

「では〜お部屋に戻ってノンビリしていて下さい〜。」


ふたたび部屋に戻り、ベッドに腰掛け腕を回したり、

ベッドに寝て足を動かしたりと柔軟体操を始め、

少し汗ばんで来た所で、夏川先生が入ってきた。


「相楽さん、おかえりなさい。

訓練はどうでしたか?

魔法は使えるようになりましたか?」

「先生、ただいま。

魔法はすぐには無理ですよ〜。

色々とありましたが、友人が出来ました。」

「友人ですか?!

施設のスタッフですか?」

「マールスさんと言うフローティア王国の方ですね。」

「えっ?マールス?

フローティア王国…………?」

(ん?フローティア王国だよな?)


夏川先生が目を点にしたかと思うと、

すぐに俺の目の前に近づいてきた。

「そうですか……、相楽さん。

マールス氏から、なにか聞きましたか?」

(うん?夏川先生いきなり近づいて小声で、

聞いてきてるけど、やっぱりあのおっさんが言った

機密事項が関係しているのかな?)

「うん!この施設のし……」

「ストッ〜プ!!相楽さんストップ!!

それ以上はいけません。

その事は秘密にしてください。不味いです。」

(夏川先生、近い、近いから、

肩掴みながら揺らさないで!!)

「「うわっ!」」

ベッドサイドに腰掛けていた俺を、

夏川先生が掴み揺らした拍子に、

俺を後ろに押し倒す形になり、

夏川先生が覆い被さってきた。

「先生、大丈夫ですか?」

「はい?大丈夫です。ごめんなさい、

相楽さんも大丈夫ですか?」

夏川先生が上で、俺が下になる形で、

先生に押し倒されている形になった。

(夏川先生は大丈夫そうだな。

俺も痛い所は無いな。

ん?右手?先生を受け止めたかな?

左手…は先生の背中に回っているかな?

俺、先生の胸掴んでる?

右手で揉んでますね。

先生?)


「んっ‥‥‥」

「先生ゴメン!!」

夏川先生が身悶えし、

俺は慌てて手を離し、

ベッドに寝ながらハングアップする。

慌てる俺に気が付き、夏川先生がゆっくりと横にズレてベッドに腰掛ける。

「大丈夫ですよ。すいません。

慌ててしまい、押し倒してしまいました。

痛いところは無いですか?」

「痛い所は……無いですね。

ごめんなさい。胸触りました。」

(夏川先生ごめんなさい。

俺がやりました。

胸を揉んでごめんなさい。

柔らかかったです。)


「胸なら良いですよ。

私が押し倒したことで起きた事故ですし、

気にしませんから、謝らないで下さいね。」

その言葉を聞いた俺が、困惑していると

「ただ、相楽さんはもう少し力をつけて下さいね、

私が飛び込んできても

受け止めれないじゃないですか♪」

「ハハハ(笑)努力します。」

(確かに前は夏川先生位の女性なら、支えられたんだけど、さっきも夏川先生を止めれなかったよな……、

ひ弱だな。

しっかりご飯食べて、体力と筋肉付けよ。)



しばらくして、沙月さんが食事を持ってきてくれた。

(今日からご飯が食べられるぞ〜♪)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る