第17話 困ったぞ

「『マールス』さん、

エーテルから火に顕現させる時は、

何を意識していますか?」

『意識か?う〜ん、手の上に火と願えば、

火の塊が手の上に出てくるのだが………』

(うん?)

「それは、大きさや火の強さ、

温度とかはどうなりますか?」

『それは火と願えば、火の塊

炎と願えば、もっと大きな炎の塊が顕現するぞ。』

(どういう事?イメージかな?

決められた言葉かな?

日本にも言霊があるから、両方かな?)

「別の質問です。

他の方が火を顕現した場合と

『マールス』さんが火を顕現させた場合では、

大きさとかに、違いがありますか?」

『それはあるぞ、

そのものが持つエーテルの保有量と濃度によって、

顕現させた時の大きさや数に違いがあるぞ。』

「大きさによって、威力は変わる?

あと、数というのは、一度に出せる数?もしくは、

一発を何回も繰り返し出せる数?」

『大きさで威力も変わるが、

同じ大きさでも威力が違う火を出せるものも居るぞ。

あと数はその両方だな。

ちなみにその違いは研究している所があるが、

正確な事は分かっていないぞ。』

「なるほど〜よく分かりませんね。」

『ハッ、ハッ、ハッ(笑)

それは国としても調べているが、

研究すればするほど奥が深いらしいぞ。』

(確かにこんなの専門でも無い人間が分かる訳ないかな。

よし、切り替えよう。魔法が使える様に訓練しよ。)

「じゃあ、気分を切り替えて、

『マールス』さん、顕現させる時のエーテルは身体の中で、

どんなふうに動いてます。」

『顕現する時のエーテル?

それは手に集まるようにして、

エーテルが顕現させるために必要な量さえあれば顕現するぞ。』

「それだ!!どうやって集めるか分からないです。」

『なん・だ・と!!!

そんなのは意識すれば誰でも出来るだろ!!!』

「まじですか…『マールス』さん、

今まで、エーテルを感じた事がないので、

エーテルを意識する事が出来ないですよ。」

『そんなものなのか?出来ないか?

不味いな〜、これは困ったぞ。』


(まじで困ったな。これでは魔法が使えない

………使えない?)

「『マールス』さん。

『マールス』さんの国で、魔法が使えない人っています?」

『使えないやつかぁ…いないことは無いが…どうした?』

「う〜ん、魔法が使えない人は、エーテルを使えるのかな?

意識出来ているのかな?」

『エーテルを使えない?それは無いぞ。

言葉を話す時に、使うからな。

だが、エーテルを意識できないものか?

確かに気になるな。分かった。

国に戻り確認してこよう。』

「良いんですか?ってか、 あの〜国に戻るって別の世界ですよね?

戻るの大変なのでは?」

マールスさんが何言ってるんだこいつは、と言わんばかりに首を傾げている。

『え〜っと、ユウイチよ、何も聞いてないのか?』

俺は無言で首を縦に振る。

そうしたら、マールスさんは可哀想な人を見る目で

こちらを見つめたと思えば、

いきなりニヤリとしながら右手の人差し指を立てて、

それを下に向けて

『ユウイチ!フローティア王国に続く門はこの下にあるぞ!』






(はぁ〜?!)



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