第4話 臨床試験

今日は朝一から夏川先生が病室にやってきた。


「相楽さん、おはようございます。」

「夏川先生、おはようございます。」

いつもの格好の先生だけど、今日はウキウキしているなぁ


「早速ですが、相楽さんには今から移動していただきます。」

「わかりました。よろしくお願いします。」

病室の扉が開き、男性の看護師さん数名と卯花さんが入ってきた。

卯花さんが

「相楽さ〜ん。今からストレッチャーに移しますね〜」と声掛けした途端

「「「「1、2の3」」」」

看護師さん達が手際よく俺をストレッチャーに移し替え、そのまま病室から出て、エレベーターに乗り込んだ。

エレベーターが到着した先のフロアは、何もない空間で運ばれている先に扉だけがあり、そこから出ると病院の外に出た。

(病院でしないの?別の場所に行くの?)

運ばれた先にあったのは、ドクターヘリで、後ろからゆっくりと運び込まれていき、夏川先生と卯花さんが一緒に乗り込んでいた。


「夏川先生、どこに行くの?」

夏川先生がインカムを付けながら

「ごめんなさい、詳しい場所についてはお教えできない決まりになってまして、今から空港にヘリで向かい、空港から飛行機で移動となります。」

(まじかぁ、気になるけど、知ったところで何にも出来ないしな。)

「わかりました。」

あきらめました。


そこからは空港から飛行機で別の空港へ行き、そこからまたヘリで移動して、どこかの施設に到着した。

(まさか、自衛隊の輸送機とヘリに乗るとは思わなかった。)


降りた先に白衣を着た男性が待っており

「夏川先生、おまちしておりました。

彼が実験体ですか?」

(おっと、何気にトゲのある言い方する人だなぁ)

「お久しぶりです。馬島教授。

実験体ではなく、協力して頂く、相楽悠一さんです。」

夏川先生と卯花さんの笑顔が怖い


「ふん、まぁいい行きますよ。

あちらからも到着しています。」

(夏川先生と卯花さん最高です。ハグしてください。ってか“あちら”から?)


施設の中に入り、5分ほど進むと手術室のような部屋にやってきた。

(この施設デカくない?結構進んだよ?!)

部屋へ到着するなり血圧を図る機械や心電図モニター、点滴まで用意され、あれよあれよと、準備万端に。


準備していた卯花さんが

「相楽さ〜ん、気分は大丈夫ですか〜?」

「大丈夫ですよ。」

「これから〜、別の方が来て、問診するそうなので〜、答えてくださいね〜」

「わかりました。」

返事をすると、卯花さんが部屋から出ていった。

(しかしこの部屋、検査機器と俺〈ストレッチャー〉だけで、他はなにもないけど、視線みたいなのは感じるから、自分の見えない何処かに居るんだろうなぁ。)


誰か入ってきた。

「失礼します。」

見えない所から声がかかり、姿が見えた途端俺は、










歓喜した。

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