第四章 父との話し合い④
☆体調不良の原因である咳もだいぶ落ち着き、喉の痛みのみになってきました。ついに、本格復帰出来ます!執筆が思うような出来ず、色々悩んだり、方向性が迷子になったりと、ご迷惑をおかけしましたm(_ _)mそんな作者にめげず、これからも楽しんで頂けたら嬉しいです!では、本編へどうぞ!
「あの、お父様……今回の私の議題とは関係ないのですが、さっき少し閃いた事があって……」
「なんだ!?早速、我がガーディア家ご意見番の意見が聞けるのか!?」
(いや、ご意見番って……確か初めに、相談役がどうのとか言ってたけど……無しになったんじゃなかったっけ?)
父の言葉に内心で突っ込みながら、私は先程の考えを述べた。
「ふむ……労務をお布施の建て替え代わりにする考えは浮かばなかった。しかし、我が家の財政難は知っているな?」
「えぇ……その為に、街の整備がガタガタなのも存じています」
ニコッと微笑めば、父は苦虫を噛み潰したように表情を歪めた。
私が初めて外出した思い出は、領主邸から教会までの領都の主要道路にも関わらず、ガッタガタと酷い揺れの馬車だったこと。喋るのも一苦労した。下手すれば、舌を盛大に噛む!
私の身体は幼児で軽いから、ポイン!と跳ねるし、かなりお尻が痛かったのだ。プリンとしたモチモチお肌に打撃を与える、憎き街路を忘れるものか!
「街路整備はもちろん、現在整備している箇所での、労務が必要な場所はないんですか?」
「シルベスタ……」
父がシルベスタに声をかけると、彼はつらつらと述べ始めた。
「現在行われている整備工事は、港の桟橋整備、街路の材料となるレンガ運び、外壁の土の運搬など、力仕事が主な職種ばかりです」
言い終わったシルベスタに、父は大きく頷いて私を見た。
「……これで分かっただろう、カティア?」
「なにがですの?領都で出来る労務が、運搬しかないことですか?」
「……彼らは、その日の生活費を稼ぐために、朝早くから活動を開始する。朝餉を食べずに行動開始することも珍しくない。そんな彼らの身体では、力仕事が出来ると思うか?」
「なるほど…………お父様と話して良かったですわ」
「ならば、祝福の儀を受ける労務の他に、生活費もとい食費を稼ぐ必要があるということですわよね?一日の稼ぎに困らない支援をしなければ、私の初案内容だけでは、彼らが祝福の儀を受けることは出来なかったでしょう」
それどころか、お父様が領民に失笑されるところでしたわ。
(2日、3日食わずとも!の精神で来られる方もいらっしゃるかも知れませんが、それでは労務に支障を来たしますし)
ブツブツと呟き出した私を、怪訝そうに見た父は、「カティア」と、私を呼んだ。
「先ほど、お父様は仰いましたわ。その日の生活費を稼ぐために、朝早くから活動すると……」
呼びかけに答えて顔をあげた私は、再び喋り始める。そして、私の確認の視線を受けた父は、「その通りだ」と頷き、視線で先を促した。
「彼らに、教会のお布施だけ先に肩代わりしますよ。労務で返してくれたらいいですよ……と説明しても、スラムの人の感触はいまいちかもしれません」
「どういうことだ」
父は、少しだけ身を乗り出して聞いてきた。
確かに、条件だけを見れば、すぐさま飛びつきたくなる内容だろう。だがこの案は、彼らの生活を考えて作られた訳では無いことは、見る人が見れば一目瞭然なのだ。
「労務にかかる日数が3日として、その日の生活費を稼ぐ彼らに、稼ぎ無しで、どうやって三日も労務に付けと言えるでしょうか?ですから、その間の食料支援が必要だと思われます。私は初め、両者にとって公平な施策にしようかと思いましたが、彼らの厳しい現常は、なにをおいても八方塞がりです」
「なるほど、確かにな。昼に簡単な食事を出すが、それでも足りる量ではあるまいしな」
「ですから、私が先行投資致します」
「先行投資?」
父は少し興味を惹かれたねか、オウム返しに聞いてきた。
「はい。彼らの三日間での食生活が困らないように、朝・夜の食事提供を行います。彼らの労務には、街路整備を希望しますわ」
「その金をどこから『急ぎ商業ギルドに商会を登録し、当面の金策をしてまいります』……分かった。それで、街路整備の材料はどうするんだ?」
「それは、勝手知ったるなんとやら……私のスキルから出すに決まってるじゃありませんか」
何故分かっていることを聞くのです?と少し呆れ気味の表情で首を傾げれば、
「そうか……カティアが良いなら、私はなにも言わん」
と、父は投げやりに答えた。私は意味が分からず更に首を傾げたが、そんな私を見た父は、更にため息を吐くだけだった…失礼ですね!
お母様には悪いけど、ボディ石鹸だけでも先に商業ギルドへ出してしまおう。もちろん、母には説明しなければいけないけど。
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