第一章 三話 ガーディア辺境伯領誕生期

 ラフにぃ様とも約束したステータスボードを、家族にも見せなきゃ!


「お父様…ステータスボードを見せるのを忘れていましたわ。…人払いをお願い出来ますか?」


 本来ステータスボードというのは、自分の手札同然の秘密だ。親しい人でも教えては駄目で、他人で共有するのは夫婦くらいだとか。


「うむ、そうだな…シルべスタ、人払いを頼む」

「畏まりました」

  

 そうしてメイドや執事が食堂から退室していき、私たちだけになった。


「…では公開いたしますが、驚かないでくださいね」


 取り敢えず釘を刺す私。転生者とか、創世神の加護とか、ユニークスキルとか…いっぱい驚く場所があるんや、ははは。そして「武」がまったくない。一応、辺境伯の一員なんだけどな。血筋よ、仕事しろ!



名前 カティア・ガーディア

年齢 5

所属 マレント王国ガーディア辺境伯領

種族 人族

職業 無

魔力 無限大

魔法属性 無 聖

体力 3

運 87

スキル アイテムボックス 鑑定 隠蔽 礼儀作法 

ユニークスキル 神々の百貨店ネットショッピング 万物交流全言語理解

称号 異界還り転生者 神々の協力 創世神の加護


購入P 5兆8600P


「「「……」」」


 みんなの沈黙が痛い…私自身も厨二すぎて痛い自覚あるもの。身の置きどころがなくて、モゾモゾと身動ぎをする。


「…はっ!?すごいじゃないか、カティア!」


 最初に我に返ったのは、父だった。でもなにが凄いんだろう?


「魔法属性に【聖】がある!治癒魔法を使える者は極端に少ないんだ。これは朗報だよ」


 我が事のように興奮して教えてくれる父に、私はホッとした。後方支援だから嫌がられるかと思ったが、聖属性が少ないなら、十分価値はあるよね。後は練習・経験を積んでレベルをあげればいい。


「…っ!そうですわ!スキルもアイテムボックスや鑑定など希少なものもありますし!十分有用性を秘めてますわ!」


 え?アイテムボックスは分かるけど、鑑定も少ないの?…一度魔法やスキルについて、調べる必要があるね。



「…父上、私から進言がございます」

「なんだ?」

 とっても真剣なにぃ様の表情に、父の声が少し固くなる。

「カティアには今後、護衛騎士が必須だと思われます」

「…え?」


 兄ラファエルの言葉に、私は固まる。護衛騎士?なんでそんな面倒くさいモノをつけようとするの!?にぃ様!!今の自由な生活を壊す気!?

 私は涙を湛えた瞳で兄を見る。


「私のステータスが、にぃ様になにか粗相をしましたか!?」


 お願いだから、肩が凝りそうな護衛とかやめて!今の自由な生活が大好きなの!唇を噛み締め、涙で瞳がウルウルな妹にたじろぐが、兄は覚悟を決めた顔で私を見つめた。


「いいかい?カティア。カティのステータスは、なにも粗相をしていない。それどころか…人外なんだ」

「じっ…!!??」


 にぃ様の口から飛び出した暴言ワードに、私は口がパクパクと金魚のようにしか動かなかった。つまり絶句である。


「いいかい?人外なステータスは隠蔽スキルで隠せるとしても、完璧じゃないんだ。看破などのスキルを持つ者には、簡単に見破れてしまう。ユニークスキルが二つあるだけでも凄いのに、創世神様の加護もある。創世神様の加護なんて、この大陸で最後に確認されたのはいつだろうね?」

 

 まじかぁ。そう言えば、アン様が500年ぶりに人型を取るって言ってたっけ?


「…500年ぶり?」


 思わず呟いた言葉だったけど、にぃ様の表情がどんどんとダークな笑みに変わっていく。


「なんで知っているのかな?まだ歴史書や伝記なんて読めないでしょ?」

「アン様が言ってました」

「「「……」」」


 そう言った私に、ついに三人は黙り込んだ。……やっぱり、神様と出会ったのを暴露したのは不味かったかな?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る