第二章 四話 ガーディア辺境伯領導入期

※★レビュー頂きました!ありがとうございます!皆様からも、ドシドシお待ちしてます!(⁠≧⁠▽⁠≦⁠)



「お呼びでしょうか、カティアお嬢様」

「お母様にご用事があるの。今日の予定を聞いてきてくれる?」

「畏まりました」


 トイレの後の必須手洗い用に買った石鹸ついでに石鹸関連爆買いしちゃったから、見てみないとな。え〜と、アイテムボックスを思い浮かべると、あら便利!こちらも百貨店同様カテゴリー分けされてる親切設計。


✡石鹸

・ハンドソープ(ボトルプッシュ泡タイプ)100個

・ボディソープ(泡風呂タイプ/もっちり・さっぱり)各種100個

100個

・シャンプー(敏感肌/薔薇・ラベンダー・柑橘系・森林浴の匂い)各種100個

(乾燥肌/薔薇・ラベンダー・柑橘系・森林浴の匂い))各種100個

・リンス(敏感肌/薔薇・ラベンダー・柑橘系・森林浴の匂い)各種100個

(乾燥肌/薔薇・ラベンダー・柑橘系・森林浴の匂い))各種100個

✡タオル

 ふんわり吸収乾燥高級タオル(大・中・小)各種100個

 普通のタオル(大・中・小)各種100個

✡書籍

薬のレシピ本

美容のレシピ本

トイレ

・超高性能魔導トイレ10個

・設置型水洗式魔導トイレ10個

・埋込み型肥料製造トイレ10個


 ふむふむ…いっぱい買っちゃった!代金は…あっ、購入履歴見ればいけるかな?


「お嬢様、失礼致します」


 扉のノックに応えば、アリサが入って来る。きっとお母様の予定の確認を取ってきたのだろう。


「今日の午後は、カティア様と過ごされるそうです」

「そう、ありがとう」


 午後ずっといてくれるなら、石鹸のことも話せるね。でも石鹸の必要性を説くなら、衛生管理の話をしなくちゃね。いい加減庶民にも石鹸を浸透させないと。私は今までクリーンを使ってきたけど、市井の人は使えない人が多い。

 病気や感染症、乳幼児の死亡率の高さを改善するためにも、衛生環境改善は必須!そのためには私がいなくなっても、継続して石鹸を作れるようになるか、代替え品を見つけなきゃ。

 下界こっちで作れないか試してみるけど、レシピ本を確認してみなければ、なんとも言えないわね。昨日の試験の結果も聞けると言ってたけど、どうなることやら。


「それと奥様から伝言をお預かりしています」

「なにかしら?」

「午後の二刻1時間ほど、旦那様も同席されるそうです」

「分かったわ、ありがとう」

「いえ…失礼致します」


 昨日の算術の「×」のことでも聞きに来るのかな?


        ◇


「カティア、昨日の試験はご苦労だったな」

「いえ、色々と知れて面白かったですから、疲れてませんよ」 


 父母が私の部屋を訪れ、対面式ソファに座る。アリサが紅茶を用意しているのを待たず、話を初める父。


「そうか……今日は三つ聞きたいことがあって来た。それで一つ目はこれの説明だ…コレはなんだ?」


 そう言って父が机の上に出したのは、やはり私の昨日の算術の解答用紙だった。


「なにと申されましても…計算式ですよ。こちらには「+」と「−」しかないと聞いたので、あちらの世界では常識だった「×掛け算」を使って書いてみました!」


 どう?未知の算術にワクワクしない?と、私は満面の笑顔で答えた。


「お前は、大学府に顔を売るつもりか?」


 なにを思っているのか?嫌そ〜に表情を歪めながら、私に聞いてくる。


「…へ?顔を売る?」


 研究発表や新発見を学会に発表するとか、そういう意味だろうか?父はなにか誤解してないだろうか?


「そのような意図は全くありません。この計算は覚えておくと、後々の生活が楽なんですよ。私はこの領都で広めようと、答案用紙に有用性を示しただけに過ぎません」


 にっこり微笑み、邪推する父の懸念を払拭してあげる。愛娘の笑顔は可愛かろ?天使やろ?邪な思いなんて…ちょっとしかしてないで…と微笑み続ける。


「笑顔が怪しいですわね」


 さすが母は同じ女だけあって、含みある笑顔に感づいた。


「ふふふ…今から説明しますけど、からくりを知れば簡単ですから、ちゃんと見て下さいね」


 私はそう言って、答案用紙の一問目の問題を指さした。


次の問を解きなさい。

問.1

6+6+6+6+6=6×5=30


「まずこの問題ですが、お母様が用意した問題は6が5つ並んでいます」


 チラッと母を見ると頷いた。父は答案用紙をガンミだ。


「私はその隣に×カケルの記号を使って『6が5つ』と書きました」


 そうやって、空いている答案用紙の場所へ追記する。

「つまり、りんごが3つ入った籠が1つありました。さらに同じ籠が2個加わり、全部で籠は3つになりました。りんごは全部でいくつでしょう?」


「今までの計算だと3+3+3だけど、掛け算だと3×3となるのね?」

「そうです!そして答えは、3×3=9さざんがくです」

3×3=9さざんがく?」


 今まで黙っていた父が声を発したかと思えば、それかい。多分、掛け算の歌の歌詞の発音が疑問なんだろう。


「その音は、掛け算の歌の名残です。というかこれで計算出来るように、暗唱します」


 私は「暗唱」という下りで、唇の端が上がったのを感じた。母であるファルチェはそれを見て、顔をげんなりとさせた。私の怪しい笑みの理由を理解したらしい。


「貴方にそんな表情をさせるなんて、いったいどんな歌なのかしら?」


 ため息混じりに問う姿に、よくぞ聞いてくれました!と捲し立てる。


「1の段から始まり9の段までですね。1×1=1いんいちがいちから始まり1×9=9いんくがくの9までが1つの段で、最後の9の段は9×9=81くくはちじゅういちで終了です!」

「「……」」


 私の輝かんばかりの笑顔に、両親だけではなく、アリサまでもが顔をひきつらせ沈黙していた。

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