涙目のマリア
拝啓貴方様今日私は人を殺めました
彼女は綺麗な黒髪であり華奢で骨ばった肩、掌、脚。
鏡に映るは微笑み浮かべ最期だと分かった上でベッドで忘我する彼女。
肌は雪染めした滑らかであり、紅潮した柔らかな頬に潤む涙目のマリアそんな彼女を私は、、、
何故私は彼女を殺めたのか。
私は彼女の事が好きだった、しかし事の発端はほんの些細な事だ。
私は彼女に白色の菊の花を3本渡し
「美希の好きな色に染めていいよ」と言った。
そしたら、彼女そう美希は全ての菊の花弁を細やかにちぎった。
私は咄嗟の出来事で数秒間空気を吸えなかった。
やっと口から酸素を取り入れ喋れた。
「何で、何でこういう事が出来るの?」と私は震えながら発した。
「何でって何色にも染まらず散っていく命の方が簡単で儚くて綺麗でいいもん。綾音なら分かってくれるでしょ?」
美希とずっと過ごしてたが理解が出来ずにいた
それなら何色にも染まらなかった美希もあの時の私の気持ちは分かっていただろう。
だが、これを書いている今は何だろうか清々しているし、私も美希の気持ちも少し分かる気がした。
もう会わなくてもいい、喋らなくてもいい、機嫌を取らなくてもいい。
それに今まで必死だった事、そう好きでいようと、彼女から好きでいられようと努力もしなくてもよい。
好き故に、嫌い故に、交差する私の思い。
いや本当は無かった事にしたかっただけなんだ、存在無く 最初から居なかった事にしたかっただけなんだ。
彼女と話し合う時はいつも癪に障るけど度々私が折れてた。
そんな私は彼女との思い出を1つずつ、そう彼女が私に向けたあの菊の花弁の様に1つずつちぎり火で炙り燃やして灰にした。
でもまだ彼女の存在が私を邪魔する。
だったら本人自体を亡きものにするしか無いのではと、 最初は私も抵抗しただって私の中の1人の彼女を消すのだから
そしてベッドの上で眠る彼女を理性をものともせずに悲歌と共に首に手を当て徐々に、、、
私は1人の少女、そう綾音を殺めた
【追記】そして今この文章、これはもう1人の人格の美希が書いている
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