第4話 なにもなくなった朝
朝が来た。
なにもない朝だ。つまらない。
美春がいない人生なんて意味がない。
昨日の夢に戻りたい…。また会いたいよ、美春。
そんなことを思ってベッドに突っ伏していると、横にあったスマホが唸った。
俺は無性に腹が立って、
「なんだよ、もう!」
と、声を荒げながらスマホを手に取ると、そこには中学校の時からの親友のリョウタの名前があった。
我に返った俺は、深呼吸をし、通知をひらいた。
「やっほー、元気してる?今日の夜一緒に飯でも行かね?近くにうまそーな店見つけたんだ!」
まだ誰にも美春の死を伝えていなかった。俺はまた涙が出そうになったのをぐっとこらえて、
指を動かし、返信した。
「いいね、行きたい。あと、話したいことがあるから、いいかな」
俺は送信して返事を待った。すぐにスマホが震えた。
「全然いいよ!じゃあ今日の夜六時に駅前集合な〜」
俺は口元が緩んだ。ああ、リョウタがいてくれてよかった、と思った。
時計に目をやると、四時を回ったところだったので、スマホをポケットに仕舞い、コーヒーを淹れることにした。
***
ようやく一息つくことができたような気がした。
時計が五時半を回ったのを見て、俺はコーヒーを飲み干し、立ち上がった。
コーヒーカップをシンクにおいて、ゆっくりと呼吸をする。ついに話す時が来た。
少しドキドキしながらも、置いておいたコートを羽織り、家を出た。
冷たい風が頬を撫でるようだった。いつぶりに家から出ただろうか。少し視線を上に向けて歩き出した。
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