第160話
鎧がおずおずと抗議してきたのでモンスターたちから少し距離をとった。
アダマンタイトスライムアーマーと同じで鎧が自動操縦してくれるが、妖精の鎧はそれに加えて俺に身体強化魔法をかけてくれているので、多少無理な動きでも痛みも無いし疲れない。
「つぎはこいつ等が魔法を無効化できる限度があるかどうかだ。火は火事になるといけないから風の魔法にしてくれ」
『はい』
風の刃の数や大きさ、速度を少しずつ増やしたり大きくしたりした。
するとなめくじはSSランク冒険者が全力で撃つ程度、鏡はSSSランク冒険者が全力で撃つくらいの魔法でやっと倒すことができた。
なめくじがSSランク冒険者の全力魔法で倒せたと言うことはロメイアでも余裕だったはずだが……別種かロメイアの使う魔法との相性が悪かったのか。
あのなめくじはロメイア暗殺専用の特別なめくじだったってことか?もしかしたらネームドモンスターだったのかもしれないな。
しかし、これ以上考えてもわかんないな。
とりあえずモンスターたちは、魔法で倒せない事はないが一般兵には無理だ。そもそも物理でやったほうが楽だということが分かった。
剣と鎧は結構魔法を使ってるのに、内蔵されている魔力はまだまだ余裕があるらしい。しかも自動魔力回復機能付きだ。
「流石は伝説の武具なだけはあるな」
俺は剣の魔力が残り一割になるまでモンスターを狩って城に戻った。
狩りをしていると、時々妖精族の兵士と戦っているモンスターがいて、手柄の横取りだと怒られたくないので、助けはいるか?と一応聞いたら全員首を縦に振るので倒しておいた。
「感謝状?」
「ええ、多くの兵の命を救ったことに対してだそうです」
翌日、部屋を出るとレジムが感謝状を持って待機していた。
なんでも、物理攻撃ならなんとかなると思ってた魔法無効化モンスターたちだったが物理攻撃で戦ってもC〜Aランク以上の強さがあったそうだ。
だからあの兵たちは必死に戦ってたのか。一般人並みの能力の俺がさくっと倒せてたのは妖精の剣と鎧のお陰ってことだな。装備の力ってすげー。
後、今まで俺のことを懐疑的に見ていた武官たちの俺への心象が良くなったらしい。
自分たちの部下を助けてくれたからってことか?
…………俺もソランたちがピンチの時に助けてくれた相手ならば仲良くしたいと思うだろうな。
あいつらがピンチになる場面があるかは疑問だが。
とりあえずこの棚ぼたを喜んでおこう。人生で一度くらいは感謝状を貰ってみたかったんだ。
しばらくすると、武官たちが訪ねてきて兵士一人一人の感謝状を持ってきた。
先程のは妖精族全体としての感謝状で、形式的な文章だったがこちらは兵たちが自主的に書いてあるので心がこもってる。
悪い気分じゃないな。今度暇だったらまた狩りにでも行くか。
「ユースケ様、我々に黙って一人で戦いに行かないでください!」
今度の狩りからはソランたちが監視で付いてくることになった。
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