第159話

 数時間もするとトリアは満足した顔で部屋から出ていった。

 翌日、部屋までレジムとトリアが呼び出してきて俺は、謁見の間へと通された。


「ダーリン、おはようなのー」


「おはようロメイア。どうやら答えは出たようだな?」


「なの。剣と鎧はダーリンに、宝は妖精族に決まったの」


 レジムとトリアから、ここまで来る間に聞いたのだがシャクリーンや武官たちは、剣と鎧を妖精族にと主張したらしいが観光、財政を担う文官たちにエライ剣幕で反論されたらしい。


 文官たちは普段温厚な者たちが多いらしく、それに押されて武官たちは黙り込んでしまったらしい。

 普段怒らない人が怒ったら特別怖いってよく聞くからな。


 シャクリーンと一部の者はそれでもと言ったが文官たちに罵詈雑言を浴びせられて意気消沈して部屋に籠もってるそうだ。

 その時の文官たちは舌で人が殺せるのでは無いかと思わせる気迫で、武官たちは震え上がったのだとか。


「それじゃあ一旦封印の所へ行こう」


「どうしてなの?」


「鎧と剣と宝をもう一度入れ直すんだよ。封印がちゃんと開いたらどちらも偽物とすり替えたり、抜き取ってないことが証明できるだろ?」


 不思議そうにしていた皆が納得したところで貯金箱の所へ行く。

 その後なんの問題も起きず、俺は剣と鎧を、ロメイアたちは宝を交換する事ができた。


「なあ、ニアラを倒す事ができたら盾も貰っていい?」


「良いと思うの。盾も剣と鎧と一緒の方が喜ぶの」


 よし、言質とったぞ。

 やっぱり駄目とか無しだからな。


 今日は鎧と剣の性能実験だ。


「いいか!性能実験だからな。勝手にモンスター倒してノーダメージにしたら無能剣て刻むぞ」


『わ、分かっております』


『頑張ります』


 徹底的にに念押ししとかないと、剣が勝手に動きそうだからな。

 妖精の鎧は全身鎧で目元とか隙間は魔法で守ってるから戦場で突っ立っててもマスターソード並のやつじゃないと俺に傷を与える事はできないと剣と鎧は言っている。


 ただ、鎧は一度も攻撃くらったことない箱入りだからな。

 説明書上は可能だが実際はどうか分からない。


 城を出て二、三時間歩くといつかのなめくじや鏡に手足の生えたモンスターが現れた。

 多分ニアラのモンスターだろう。

 なめくじは魔法無効で鏡は魔法反射だろうか?


「よし。試し撃ちだ。軽いやつを撃て」


『お任せを』


 俺が剣の切っ先をなめくじたちに向けると、バスケットボール大の火球が二つ飛んでいった。


 これがインテリジェンスウエポンの力だ。

 剣が自分で魔法を使ってくれるので、ただの剣士でも魔法剣士と同じ、いやそれぞれ分担してるから一人で二人以上の力を出すことができる。


 さて、妖精の剣が撃ったファイアーボールはなめくじに当たったがあまり効果があるようには見えない。

 鏡の方はやはり反射タイプでファイアーボールは俺に跳ね返ってきた。


 跳ね返ってきたファイアーボールは鎧の展開したマジックシールドによって防がれる。

 直接受けてもいいがファイアーボールだと直撃すると火傷は負わないが鎧が炎に包まれて呼吸ができなくなるから鎧の判断は正しい。


 そのままなめくじと鏡のモンスターからの攻撃をなすがままに受ける。

 鏡の方は殴るだけだがなめくじは、絵面がきつい。物理的なダメージは無いけど精神的なダメージはかなりある。


「なるほど。やはりお前たちの性能は高いな」


『当然です』


『あのー、ヌメヌメして気持ち悪いです』






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