第147話

「おい、どうなんだ?お前の同僚だろ」


『確かに鎧も盾も実在しますが、なにせ大昔のことですから今どこにあるかまでは吾輩も分かりません』


「何で剣だけ有名なんだ?」


「妖精の剣が強すぎたせいでそもそも敵からの攻撃を受けなかったのでは?」


『その通り!』


 あ、こいつ今調子乗ったな。

 つまりは性能だけで言うと妖精の剣並みのチートスペックの鎧と盾ってことか。

 一体どこにあるのだろう?


「妖精の鎧と盾の場所の見当はつかないのか?」


「うーん、人目のつかない場所、秘境?後は妖精王様が持っているとかですかね」


「妖精王?」


「妖精族の頂点に立たれる御方です。種族は問わず妖精族の神に認められた方がなる称号のようなものですが、妖精王は全ての妖精族から愛されその命令に妖精族は逆らえません」


 妖精族に対して凄まじくカリスマ性があるってことか?


「もしお前に俺と妖精王が同時に命令したらどちらに従う?」


「もちろんユースケ様ですよ。ダンジョンマスターになった時点で種族の枷は無くなりますから」


 そうなのか。ともかく妖精王を敵に回したら世界中の妖精族が敵に回るのと同じことなんだな。

 恐ろしやー。絶対関わらんとこ。


「まだ代替わりしたって話は聞いてないので今の王はフェアリーのロメイア様だと思います」


 ロメイア?女性か。女性でも妖精王なんだな。


「気難しい方か?」


「いいえ、誰にでも優しく慈愛女王と呼ばれています」


 セランの姫と聖女交代してもらえないかなぁ。

 妖精王の話は分かったが結局鎧と盾が何処にあるのかは不明だった。

 まあ、一番厄介なやかましの……妖精の剣が手元にあるから良しとしよう。


「ん?そういえば鎧と盾も喋れるのか?」


『もちろん。我らは同じ者に作り出されたので兄弟と言っても過言ではありません。吾輩と同じく喋れます』


 こんなのがまだ二つもあるのか……ストレスで胃に穴が空きそうだ。

 うんざりした俺の顔を見てみんなが可笑しそうに笑った。




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「平和だなぁ、ジョーカー」


「そうですねぇ、ボス」


 馬車の上で俺とジョーカーは隣り合って仰向けになって空を見ていた。


「なあ、ジョーカー、今更なんだけどお前の顔って見たことないんだよなぁ」


「本当に今更ですね」


 こいつが仮面を外したところを俺は見たことが無い。

 食事の時もいつの間にか食べ終わってるし、温泉に入ってる時は付けっぱなしだ。


 留金のような物も見えず、謎の力でくっついてるので、もはや呪いの仮面ではないのかと疑っている。


「それ外せないのか?」


「普通に外せますよ。魔法で自分にしか外せないようにしているだけです……外しましょうか?」


 いざ外しましょうかと聞かれると、うんとは言いたくない。

 こういうのはジョーカーが強敵と戦って激闘の末仮面が割れて覚醒するってのがいいんだよ。

 こいつが覚醒するのかは知らないけど。


「いや、仮面の下は美男ってのがお約束だからな。がっかりしたくない」


「くくくっ、期待の斜め上を行くのが道化です。しかし、ボスの期待の斜め上は難しそうですからあまり期待しないで下さい」


「それでいいのかピエロよ」


 俺とジョーカーがふざけた会話をしている間、御者台ではアキトとイーナがいちゃついていた。


「アキト、ぎゅー」


「あはは、イーナってばくっつき過ぎだよ」


 俺の目の前では二人はある程度きっちりしているが、それ以外だとこんな甘ったるい声で話す。

 あーあ゛。


「ジョーカー、俺上司とか部下とか恩とか関係なくお付き合いしたいよ。良い人いない?」


「ボス、誰に向かって聞いてるか考えてください」


 そうだった。こいつ上司に対してはふざけた事するんだった。


「分かったぞ!さては男を紹介する気だな?」


「そこまではしませんよ。サキュバスクイーンを紹介しようと思っただけです」


「こいつ…………」


 サキュバスクイーンとえちえちなことを男にしてくるサキュバスの頂点で、男はその姿を見ただけで気絶してしまうらしい。

 その後は誰も知らない。多分色々吸われて死んでしまってるんだろう。


「俺じゃなかったら不敬罪だからなー」


「ははは、だから言ってるんですよ」


 そう、ジョーカーは相手を見て嫌がらせをする。

 例えば孔明や老師には一度もしたことがない。

 主に俺とチースが被害者だ。


「本当会った時からお前はいい性格してるよな」


「くくく、お褒めに預かり光栄です」


「はいはい」







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