第120話

 妖精族の中で一番、自然そのままの中で暮らしているのはどれか?と聞かれると、悩む者たちは多いが逆の質問だと人々は口を揃えて一つの種族を言う。

 それはドワーフだと。


「ドワーフの街は関所があるんだな」


 ウンディーネの里は湖丸ごとでかなりの大きさだったが、関所なんてものは無かった。

 港町に入るときは、簡単な持ち物チェックみたいなのはあったが、ドワーフの関所は砦を兼ねているので巨大だ。


 横幅20メートル程の巨大洞窟の左右に塔があって、そこから鉄の大扉が洞窟を蓋をするようにある。

 もちろん入るときにいちいち大扉を開ける訳ではなく、下の方に五つほどある小さな扉でいろいろチェックされて街に入るのだ。


 ただ、五つの小扉があってもネズミーランドもビックリな行列ができている。

 それにうんざりしている俺のつぶやきにドワーフのジェイが反応した。


「ドワーフ製の物はどれも一級品ですからね。商品や職人を守るためには、どうしてもこんな厳重な体制になってしまうんですよ」


 ドワーフの職人が作る武器防具、その他装飾品等はドワーフの収入源であり、どれもが高級品だから盗まれたり壊されると困るのだろう。


 俺の国と違ってゴーレムによる犯罪の阻止ができないから、まず怪しいやつを入れないところに力を入れてるってことか。

 勉強にはなるがうちでは使わんな。


 暇だったので列を見て回るといろんな国の商人が世界各地の珍しいものを売っていたので、色々買ったり暇を潰した。

 珍しいものが沢山あって面白い。


 これらをドワーフに売って、ドワーフの品を購入して国で売るのだそうだ。


 商人に聞くと、少し前まではここまで行列にはならなかったらしいが、うちのダンジョンを利用する事で安全にすぐ行けるようになり、このような行列になってしまったと言っていた。


 俺が原因か…………なら待ち時間に文句は言えないな。

 そしてドワーフの門兵さん、仕事増やしてごめん。


 更に話を聞くと、俺は商人たちから神様のように崇められているらしい。

 あまりに褒めちぎってたので恥ずかしくなって逃げてしまった。


「くくっ」


「ユースケ様?何かいいことでもありましたか?」


「いいや、何でもねえよ。」


「?」


 思い出し笑いをする俺を他のマスターたちが不思議そうに見ていた。


 数時間待ってやっと俺たちは関所で調査を受けられた。


「SSランク冒険者三人が率いる集団ですね。通っていいですよ」


 数時間並んだのにギルドカードを見せたら一瞬で通してもらえた。

 今までの時間は何だったのかと思ったが、他の商人は十分以上調べられてる。これがSSランクの威光か。


「エターナルブレイブパイセン流石っす!」


「からかわないで下さい!」


「まさかあの門兵たちも我々が全員ダンジョンマスターだなんて思いもよらないでしょうね」


「しっ!静かにしろシースナ。エルフ程じゃないがドワーフは耳が良いんだぞ」


 シースナは、はっとして周りを見回したがどうやら聞かれなかったようだ。

 それもそのはず。門の周りはガヤガヤと騒がしくて門兵は、目の前の相手の声を聞き取るのに必死だからな。

 シースナは俺がニヤニヤしていることに気づいて頬を膨らませた。


「もう!ユースケ様驚かせないで下さいよ」


「お前が一番緊張感無いから気を付けろってことだよ。お前らも気をつけろよ」


「了解」


 膨れ面のシースナだったが、俺がプリンを渡してやるとすぐに機嫌を直した。

 獣人チョロいな。


「ユースケ様、これからの方針はどのように?」


「ジョーカーとソランは宿の確保、ジェイは俺と一緒にやることがあるから来てくれ。他は自由行動だ。さっきのシースナみたいにボロをだすなよ…………後、ジョーカーとソランも宿を確保したら自由行動」


 危ねえ、ソランとジョーカーをずっと待たせるところだった。

 シースナもさっきの事を反省しただろうし他の奴らもボロは出さないだろうからとりあえず安心だな。


 ちゃんと常識あるし騒ぎは起こさないはずだ。

 むしろ起こす可能性が高いのは俺かな?











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