第104話
「遊園地以外は完成したぞ!」
「だぁー!」
「遊園地は5割完成ですか。均も頑張ってるようですね。最近遊んでばかりでしたからちょうどいい機会です」
「あーい!」
「はいはい。お腹すきまちたねー」
「ところでその赤ん坊たちはどうしたんですか?」
俺が連れているのは十数人の赤ちゃんだ。
この前来た子供たちは保護者が居ないので国が育てる、と言うより俺の養子という形になって、とりあえず作った空き家に住んでもらってる。
学校に行けないくらい小さい子たちは、他のマスターやヒューマンスライムたちに見てもらってるが、自分たちの力が強すぎて、世話するのが怖いと言って赤ちゃんは一番弱い俺に預けられた。
うっかり骨折りそう?そんなバカな。
幸いなことに皆首がすわってたので、安心した。
「乳児院や児童養護施設を作るべきだと思う」
「ですね。ここの空き地に作ってください」
話が早くて助かった。
沢山の赤ちゃんをずっと俺の部屋にいさせるわけにはいかないからな。
あ、どうやって俺が十数人の赤ちゃんを連れてるかと言うと、ショップに浮遊ベビーカーと言う魔道具があって、腰くらいの高さに浮かべて押して行けるからカーブとかも楽ちん、狭い所は縦に並べることができて楽。
このベビーカー凄かった。
「コアちゃん、俺が作ってる間この子少しよろしく」
ぐずってた赤ちゃんをコアちゃんが抱っこしたら上から紙切れが落ちてきた。
【尊い】
これ絶対先輩だろ。何してんの?暇なの?
それっぽい建物を選んで設置する。
3階建てで部屋もたくさんある。一部屋でこの子たちはおさまるだろうから他は小さい子や学校に行ってる子たちの分だ。
「さって、お家ができまちたよー」
「うー」
全員分のベッドを置き終えたあと、俺とコアちゃんは赤ちゃんたちのおしめを換え始めた。
Side旅雄亮
ポートリアに着いた俺たちは、妖精族の大陸行きの船を探し、運良くすぐに見つかったので、翌日海に出た。
海風が気持ちいい。
「楽しそうね」
「まーな。一応島国出身だし、船にはよく乗ってたから」
昔から乗り物で酔ったこと無かったから船旅は楽しんでいた。
やはりこの世界の船は日本の物よりも揺れるので、何人かは酔って船尾でゲロゲロしてる。
馬車の中にいれば揺れがないんだが、護衛するとか言って離れようとしない。
必要ないって言ってるのに。面白い奴らだ。
「ヴァイオレットは平気なのか?」
「ふっふーん。あたしにかかればこんな揺れ」
とは言ってるが、ヴァイオレットは羽ばたいていて数センチ浮いている。
「…………それは、卑怯だぞ」
「うるさいわね!」
船首の方へ行って見渡す。海。海。海。
大陸なんてどこにも見えない。
なんとも言えない感慨深さだ。
しばらくすると、遠くの方に大きなアーチが見えた。
「あれは、虹?いや、でも影だよな」
「おや、あれは……」
俺が目を細めて考えてると、ジョーカーが隣りに来てつぶやいた。
「知ってるのか?」
「知ってるも何もボスのペットに居るじゃないですか。リヴァイアサンですよ」
「リーヴァ!?見ない間に随分大きくなったなぁ!」
「別個体に決まってるでしょ!」
そ、そうか。驚いた。
にしても巨大だな。まだ数十キロは離れてるぞ。
それなのにはっきり見えるなんてどれだけ大きいんだ?
「いいえ安全ですよ。体が見えてるということは、頭はもっと別の所にあるということですから。むしろリヴァイアサンの体が見えてない航海のほうが危険です」
船長が来て教えてくれた。
そうなのか。
うーん、リーヴァもあんなに大きくなるのか?
全長何キロメートルなのだろうか。
「一番身近なLランクモンスターと呼ばれてますからね」
そういえばリーヴァは進化したのだろうか。
俺の分身がフロアを作ってるはずだけど、相当大きくしないと大変なことになりそうだ。
リヴァイアサンの胴体は、俺たちが通り過ぎたあとも動き続けて、ついに尻尾を見ることはできなかった。
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