第102話
ある日、ガタカ大使館で私と私の護衛たちが一同に会していた。
「さて、ここに滞在して三週間なのだが……流石に国に戻らないと怒られる」
私の言葉にアニメキャラのTシャツを着た護衛の騎士たちは神妙な面持ちで頷いた。
「そこでだ!代表で一人本国に報告しに行ってくれるものはいるか?」
とたんにブーイングが始まった。
そう、すでに私たちはこの街に骨抜きにされてしまったのだ。
「ゼガン様が大使なんだから自分で報告に行くのが筋でしょう!」
「自分だけいい思いをしようなんていけませんよ!」
ううむ、やはりだめか。
「ゼガン様」
「なんだイーノ?」
「朝一番に一度全員で帰って報告だけして、またすぐに戻れば日帰りで行けると思うのですが」
「それだ!」
その案ならば全員平等かつ、スライムダンジョンから離れる期間が短い。
満場一致でイーノの案が通った。
「その際、家族も連れてきたいのでユースケ殿に許可を頂いてもらえませんか?」
そうだ。私の家族も連れてこよう。
ここは教育の水準が高いようだし、きっと子供たちの為にもなる。
「良いだろう。全員、明日帰国するぞ。準備をしておけ!」
「はい!」
すぐにユースケ殿に許可を頂いて翌日、我々は国に帰った。
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なんか昨日ゼガンさんがきて、家族を連れてくる許可を求めてきたからOKすると、次の日帰国していった。
その動きはとても早かった。何であんなに急いでたんだろう?
なんにせよ、人口が増えることは素晴らしいことだ。
分身の俺はまだ一人も呼んでないようで、まだだれも移住者が来ていないからな。
今頃妖精族の大陸に行く船の上だからそれは仕方ないだろう。
ん?てことは次に来る移住者は妖精族ってことか?
「雄亮さん、聞いてますか?」
「え?何?」
「はぁ、国の名前ですよ。どうするんですか?」
「そうだなぁ、スライム……Slime、エスリメってどうだ?響きも美しいだろ」
「安直ですが、きれいな音の名前ですね。それで行きましょう」
こうして俺たちの国の名前はエスリメとなったのだった。
「次にですが、この国の観光資源です。何を作りますか?」
観光は新しく作った区画まるごと使って観光地区画として作って行くのだが、今はまだ具体的に何を作るのかを決めていなかった。
「何作ろう?」
「まず、歴史的建築物は駄目ですね。歴史一年も無いでしょうこの国。だとすると、水族館、動物園、遊園地といったところでしょうか。ネズミーランドみたいなアトラクション作れるんでしょう?」
「ショップにあったからいける」
「それと、ダンジョン特有のアトラクション……ミニダンジョン攻略なんてどうですか?モンスターやトラップは付けずに謎解きで進んでいく」
「良いなそれ。攻略できた人はタイムによって景品を変えるとか」
そんな方向でうちの観光業の計画は進んでいった。
ゼガンさんたちはその日のうちに戻ってきた。
家族全員に指輪を配って住居を与える。
全員マンション住まいだが、満足してくれたようだ。
子供も多かったし駄菓子屋を作ろう。
チースが暇そうだったので店主にさせた。
「あ、兄貴……俺で良いのか?」
「ああ。お前は元気がいいから子供相手に向いてるだろう」
「うおぉぉぉぉぉ!兄貴に任せられた仕事だ!全力でやらせてもらうぜ!」
顔は厳ついが、粗暴という訳ではなく人当たりはいいほうなので適任だろう。
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