第96話
孔明がダンジョンに来て三日、彼はずっとオフィスに籠もって資料を読み漁っている。
弟の均はずっとPCでFPSゲームをやっていて、未来予測を使って無双していた。
それチートと変わらないんじゃないか?
「お?どうした坊主」
俺が食堂を通ると、マスターソードが先に飯を食っていた。
空の丼がいくつもある。
スライムの無限の胃袋のお陰だな。
「マスターソードか。ちょっとモンスターたちの様子でも見に行こうと思ってな」
「あああいつらか。中々鍛えがいあったぜ。そういやあ進化してたな」
鍛えたのか⁉しかも進化させたなんて……。
ドラドラたちを見に行くと、全員一段階進化していた。
ドラドラはビッグドラゴン、リーヴァはリヴァイア先輩、ヤキトリはファニックスだ。
他の最終進化がSランクを超える有望株モンスターたちも、C〜Bランク程度まで進化している。
「どんなハードな訓練したんだよ……」
「瀕死になるまで俺様とタイマン」
「うっわー」
ドラドラたち可哀想に……心なしか目が死んでる気がする。
「ドラドラたちにはそろそろ自分のフロアを持たせるかな」
そう言うと、ドラドラたちは先程まで死んでいた目を輝かせて俺にすり寄ってきた。
ドラドラは鱗が痛くて、リーヴァは締付けが苦しくて、ヤキトリは熱い。
もう一回進化してじゃれてきたら俺は多分死ぬな。
数日後、ドラドラには草原と山脈広がる広大なフロア、リーヴァには瀬戸内海くらいのサイズの海フロア、ヤキトリには火山のあるフロアを与えた。
ドラドラとヤキトリは広さはこれでもう完成だが、リーヴァは進化してくと瀬戸内海くらいじゃ狭くなるかもしれないから拡張の余地を残した場所に作った。
リヴァイアサンってとにかくでかいってイメージがある。
どれだけ大きくすれば良いのやら。
まあ、三匹共快適そうにしているので何よりだ。やっぱり自分の家があるのと無いのとじゃあモチベーションが違うからな。これからも訓練頑張れ。
頑張ってるモンスタースライムたちに敬礼!
-------------------------------
「ユースケ様、街へのテレポートゲートを使おうとしている者たちがいます」
報告してきたのは街へのテレポートゲートを監視していたヒューマンスライムの一人だった。
こういった監視任務にはマスターたちよりも、24時間休憩無しで作業に没頭できるヒューマンスライムに任せた方が良い。
ダンジョンマスターに任せるとうっかり見逃したりサボりが多いからな。
「冒険者か?」
「いいえ」
新しい移民候補か?いや、だったら分身の俺が指輪を与えてるはずだ。
監視カメラの映像を見ると、貴族風の人間たちが何人かと、その護衛らしき騎士がいた。
「鎧の紋章を見るにセラン王国やガタカ王国、ダルシメン連邦やクロノ帝国……ストリア連合もいますのう。どこも周辺国家ですな」
「なんの目的だろう?」
「それこそコーメイ殿の出番かと思いますがの?」
正論。早速孔明と相談するために彼のオフィスへ行った。
「というわけだ」
「…………出迎えましょう。ですが、昔肖像画を書かれていて私は顔の知られているので、私が行くと雄亮さんが行く以上に警戒されるので行くのは雄亮さんと老師で行ってください」
確かにうちの頭脳である孔明が最初に行ったら警戒されるだろう。でも彼の助けが無いのは少し不安だな。
俺の気持ちを察してくれた孔明は、笑いながらいくつかアドバイスしてくれた。
その一、下手に出ない。その二、あまり情報を喋りすぎない。その三、かと言ってずっと黙りすぎるのも駄目。
良うするに大物ぶっとけばなんとかなるということらしい。
危なくなったら老師に頼ればいい。
至極分かりやすいアドバイスだった。
孔明のアドバイスを心の中で復唱しながらも俺は、緊張しつつ老師を連れてテレポートゲートの上に乗った。
============================
もしも少しでも面白いと思ったら、フォローやレビュー、応援をしていただけると、非常に励みになります。よろしくお願いします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます